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地引雄一 × 峯田和伸 スペシャル対談(前編)

音楽
PR 第7回 2026年3月26日
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3月27日(金)より公開される映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』。田口トモロヲ監督と脚本家・宮藤官九郎が、『アイデン&ティティ』(2003年公開)以来、23年ぶりにタッグを組んで手がけた作品だ。

1970年代後半、本質的な意味での「日本のロックシーン」を切り開いた「東京ロッカーズ」と呼ばれるバンドたちと、そのムーブメントを再現した映画で、原作はこれら若者たちと、行動を共にしてきた地引雄一による『ストリート・キングダム』。
キャストは主演の「ユーイチ(地引雄一)」役の峯田和伸、「モモ(リザード・モモヨ)」役の若葉竜也を筆頭に、吉岡里帆、仲野太賀、間宮祥太朗、中島セナ、大森南朋、中村獅童ほか。異なる強い個性を持つ役者たち。それぞれの立場がつぶさに表現された群像劇で、エネルギッシュでリアルなそのストーリーが観る者の心を熱くさせる。

原作者の地引雄一と、地引をモチーフにした「ユーイチ」役を演じた峯田和伸とのスペシャル対談を前編・後編に分けてお届けする。前編となる今回は、主に峯田から見た地引のイメージと、地引がパンクに出会い深く関わっていくまでの経緯を聞いた。

Text:松田義人(deco)

「峯田くんが僕の役をやることに最初は『どうなのかな?』と思った」(地引)

── まず、峯田和伸さんから見た「地引雄一さんのイメージ」をお聞かせください。

峯田 映画の中でもたびたび出てくるのですが、「細かく記憶して物ごとを冷静に見ている人」というイメージです。今も昔も、バンドマンの中にはやっぱりテキトーだったり、アナーキーな人もいると思うんですけど、地引さんはそういうタイプとは明らかに違う印象があります。むしろ、普通の人よりももっと真面目というか、物事をちゃんと記録している人だと思います。あと、「東京ロッカーズ」のバンドの皆さんは僕にとっては大先輩ですけど、「シャレた人たち」というイメージ。「労働者階級の人たちがパンクバンドを始めた」というよりは、海外の音楽にもアンテナを張って、音楽ファンの人たちがたまたまパンクを始めた、という印象を抱いていました。その地引さんと「東京ロッカーズ」の映画で、僕が地引さん役(映画の中ではユーイチ役)を演じることになったわけですけど、まず撮影に入る前に地引さんに直接お会いしたんです。今言ったような「冷静で物事をちゃんと記録している人」という印象を抱いたけど、僕は誰かをそのまま模倣したり、演じたりすることはできないんです。だから、地引さんの印象を頭に入れながらも、できるだけ「自分のまま」で演じればいいかなって思いました。

地引 峯田くんという人が、僕の役をやることに対して「どうなのかな」と思ったのが最初の感想です。峯田くんは普段はミュージシャンじゃない? ミュージシャンは人前に立つ人だから、やっぱり存在感が僕みたいな普通の人間とは全然違うんだよね。映画の前半で描かれている頃、僕自身は本当にロックの世界を何も知らなくて、いきなりすごい個性のアクの強い連中の中に入って、かなり頼りない感じでオタオタしてたんじゃないかと自分では思うんです。そのオタオタした僕の役を第一線でやっている峯田くんが演じることが適切なのかどうか最初はわからなかったんです。でも、実際に峯田くんに会って話をして、さらに映画の撮影を観ているうちに、だんだん峯田くんが自分自身に見えてきて、だんだん気持ちが同一化していくところもあって。だから今、映画の予告編とか動画で観て、峯田くんが画面に出てくると、自分が映っているみたいで、なんか恥ずかしく思うようになったりして(笑)。

「僕がパンクに惹かれたのは『自分で何かやってみよう』というところ」(峯田)

── 前後しますが、峯田さんとお会いする前に、地引さんはどんな印象を抱いていましたか?

地引 峯田くんと会う前、銀杏BOYZと、前のバンド・GOING STEADYの音楽をみんな聴いたんです。アルバムだけでなくシングル盤も含めて。聴いてたら「これはすぐに友達になれるな」と思った。やっぱり、どこか共通する、同じものを持った人ということをすぐ感じて、気持ちを伝え合える相手だな、という感覚がすぐにわかりました。銀杏BOYZって、長い活動の中で途中でサウンドがガラッと変わるじゃない。改めて思ったことは峯田くんのバックグラウンドというか、それこそ「東京ロッカーズ」からの時代までを継承した上で、今の銀杏BOYZがあるんだなということがわかってきて。峯田くんの「音楽的な背景」みたいなものも知ることもできて、そこも共通点・一致点みたいな印象を抱いたかな。

峯田 僕がパンクに惹かれた一番の理由は、サウンドだけじゃなくて「自分で何かやってみよう」「この人に興味があるからインタビューさせてもらおう」とか、「誰かに頼るんじゃなくて、自分で何かを始める」っていうところなんです。そして、「自分で始めたこと」が、自分の想像を超えたあり得ないことに繋がっていくのも本当におもしろくて。僕はたまたま楽器を持って自分で曲を作って「バンドをやろう」というほうに転びましたけど、地引さんのように、バンドをやっていないのに、バンドたちに深く関わるといったところも「パンクのあり方」そのものだと思っていました。

地引 僕の場合、音楽には関わっていたけど、「音楽で何かを表現する」ということではなくて、最初は「写真」を通じてでした。ただ、写真を撮るということは、対象となる世界に深く関わっていくことだと思うんだけど、あの頃は「東京ロッカーズ」の世界に関わること自体がおもしろくて、ああいうことになっちゃったんだと思うんだけどね。確かに、表現のやり方はそれぞれ音楽だったり、写真だったりと違っていたけど、そういう部分での共通点はあったのかもしれないなとは思いました。

「『パンク』と呼ばれるものすべてが新しくてかっこよかった」(地引)

峯田 例えば、ロンドンのパンクシーンを追いかけていたカメラマンの写真とか作品を、当時の地引さんは見ていたんですか?

地引 いや、そこまでは。最初に僕がパンクを知ったのは、当時あった『平凡パンチ』という若者雑誌で、「ロンドンでパンクロックというものが流行っている」という小さなニュース記事でした。そこに写っている写真は、よくパンクのシンボルみたいに使われる、若い女の子が髪の毛を短くして安全ピンを頬に刺しているみたいな写真だったんだけど、それに衝撃を受けちゃって「これからはパンクだ」みたいになっちゃったんだよね。それまでの僕はロックをいっぱい聴いていたんです。ツェッペリン、ジミヘン、クリームとかね。でも「60年代」というのがロックのひとつのピークの時期で、70年代はその山を越えて、落ち着いちゃった時代で。「激しくて、最先端を行く音楽がロックだ」と僕は思っていたんだけど、「それがないな」と思っていたときにパンクが出てきて「これだ」と思ったんだよ。

峯田 実はうちの父と地引さんが同じ年くらいなんですね。地引さんとは、同世代の友達と話している感覚があるんですが、父の話も昔から聞くのが好きで。ビートルズが武道館に来たとき、父はものすごい衝撃を受けて、次の日には楽器屋に行ってギターを買ったらしいんです。

地引 へえ、やっぱりそういう血筋なんだ。

峯田 それで、父はグループサウンズのバンドを組んだらしいんですけど、そのバンド名は「タゴサク・エコー」。なんか語感が「銀杏BOYZ」に近いんですよね(笑)。ただ、父はやはりビートルズがサイケデリックな感じになってからは興味を失ったらしくて、そのままバンドは辞めちゃったそうです。父は初期のビートルズが好きみたいですね。

地引 僕も中学・高校とビートルズに熱中していて。中学の頃は、学校に弁当を持って行っていたんだけど、弁当が新聞紙で包んであってさ。その新聞紙にビートルズの記事が載っていたのが「初めてのビートルズ」みたいな経験があるんです。「ビートルズがアメリカで大旋風を起こしている」という大きな写真入りの記事があって。「なんだろう、これ」と思ったら、そのうち日本のラジオでも流れるようになった。高校くらいになると、「自分たちが考えていること・感じていることは、全部ビートルズが表現してくれている」みたいに思うほどのめり込んでいきました。

ただ、峯田くんのお父さんと違って、僕は初期よりもサイケデリックな『リボルバー』『ラバー・ソウル』とかの、ちょっとコンセプチュアルになってからのビートルズにすごいのめり込んで、熱を入れちゃったんだけどね。それから70年代に入りビートルズもいなくなって、ロックというものがだんだんプログレッシブになっていき「若者の心を掴む」というよりかは、音楽ファンとか音楽マニアという人たちがのめり込むものになっていったからね。

峯田 そこでいきなりパンクが日本に入ってきた。

地引 そう。『平凡パンチ』の記事を最初に見て、まず輸入レコード屋さんにパンクのレコードを探しに行ったんです。当時はまだあんまり入っていなかったんだけど、「新宿レコード」っていうレコード屋さんの入り口にあった小さな段ボール箱に、パンクのシングル盤だけのコーナーがあって、それを漁るように買い集めたんだけど、同時に『BOREDOM』というミニコミが売られていて。日本人の緑川姉妹(緑川真智子・彩子)っていう姉妹がロンドンに行き、パンクを体験してきたことを書いていて。そこで初めてパンクの写真……向こうの新聞とか雑誌のコピー写真とか、手書きの文字とかを見て、その全部がかっこよくて。

峯田 もうミニコミ、写真とかも、パンクとしてはレコードと同じ扱いですよね。

地引 そう。その全部ひっくるめて「パンク」と言われるものすべてが新しくて、すべてがかっこいいという感じでどんどん惹かれていった。そして、やっぱり「日本にももっとこういうものがなきゃいけない」「さらにあるんじゃないか」って探し出したのがミニコミ『ロッキン・ドール』(編集:ZELDA・チホ)だった。映画で描かれているあのシーンそのままでした。本人の直筆で手紙が添えられてあったりとかも。実際のあのシーンは、僕が預けた実物のミニコミや手紙を元にして作られたものが使われていました。そのミニコミを通して紅蜥蜴(べにとかげ/リザードの前身バンド)を知り、彼らに接触し関わるようになっていったんです。

3月27日(金)18:00 公開予定『地引雄一(原作者)×峯田和伸 スペシャル対談(後編)』もお楽しみに!

映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』本予告

映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』

3月27日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
出演:峯田和伸 / 若葉竜也
吉岡里帆 / 仲野太賀 / 間宮祥太朗 / 中島セナ
神野三鈴 / 浜野謙太 / 森岡龍 / 山岸門人
マギー / 米村亮太朗 / 松浦祐也 / 渡辺大知
大森南朋 / 中村獅童
監督:田口トモロヲ
原作:地引雄一「ストリート・キングダム」
脚本:宮藤官九郎
音楽:大友良英
エンディング曲:「宣戦布告」(峯田和伸/若葉竜也)
企画製作・配給宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
©2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会

『ストリート・キングダム 最終版 東京ロッカーズと80’sインディーズ・シーン』

地引雄一 写真・文
判型:A5判
ページ:約350ページ
発売日:2026年3月27日(金)
発売:SLOGAN / indies press

映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』サウンドトラック

音楽:大友良英
発売日:3月20日(祝・金)
価格:3,500円(税込)
仕様:CD 1枚組(23曲収録)
Licensed by ハピネットファントム・スタジオ
Ⓟ2026 Distributed by ディスクユニオン

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