「目のお芝居に引き込まれた」道枝駿佑&生見愛瑠、二人だから紡げた紡いだ10年のラブストーリー
映画
インタビュー
(撮影/来家祐介)
続きを読むフォトギャラリー(8件)
すべて見るこの春、道枝駿佑と生見愛瑠の二人でしか奏でられないラブストーリーが誕生――。今作で初共演を飾った二人は、人見知り同士で徐々に距離感が縮まっていったという。歌を作る時間を共にしながら愛情を育んでいった10年間の月日を繊細に煌めきたっぷりに演じ、観る者に涙と感動を届けた。一見、クールビューティーに見えて内側に熱さを秘めている道枝と生見。音楽のように、詩のように、美しく紡ぐ物語とどう向き合ったのか、対談で紐解く。
綾音は猫、春人は真面目で優しい男の子

――本作は、詩作が趣味の主人公・水嶋春人(道枝駿佑)と文字の読み書きが難しい症状を抱えながら歌詞と作曲の才能を持つヒロイン・遠坂綾音(生見愛瑠)が二人しか奏でられない楽曲を生み出すラブストーリーです。本作に臨むにあたっていちばん力を入れたことをそれぞれ教えてください。
道枝駿佑(以下、道枝) 一番大事にしたこと……僕は受けのお芝居を大事にしました。綾音がいろんな球を投げてくれて、猫みたいに駆け引きをしてくれるんですけど、それを春人が「この人はどういう人なんだろうな」って探るような感じでその球を受けるイメージがあるんですよね。戸惑いがベースにある状態で、いろんな感情で受けるっていうのが、すごく難しかったです。アンテナを張るところが多くて、大変でした。
生見愛瑠(以下、生見) 綾音の投げた球を受けるのは、大変でした?
道枝 いやいや、受けやすかったです。綾音のミステリアスで掴めない感じがすごいぴったりで、やりやすかった!
生見 それなら良かったです! 私は今作でギターと歌に挑戦したので、準備期間をいただいて作品に入るっていうのは、初めての体験でした。技術を習得してから、それを自分で書いた歌詞であり、自分で作った曲のように演奏するにはどうしたらいいのかなと思って。綾音の世界に引き込むには、どう伝えたらいいのか、監督と一緒にずっと悩んでましたね。
道枝 そうだったんだね。
生見 そう。撮影初日はあまり手ごたえが得られず、綾音らしい所作みたいなものを掴むまで、すごく時間かかって。でも、演奏シーンを終えたぐらいから、“これでいいんだ”って自分の中で腑に落ちて、そこからは楽しくなっていった感じです。
――綾音らしい動きを見つけるのに時間がかかったんですね。
生見 綾音って自分と似たところもあるけど、違うところもたくさんあったんですよ。いろいろ抱えているものがある人なので、それをオーバーにしすぎず、ひとりの普通の人間として自然に演じるには、どうしたらいいか考えました。
道枝 歌や演奏の練習は1年ぐらい?
生見 1年半ほどレッスンしたので、技術的にはできるようになっても、それを自分らしい歌や演奏にどう改造していくかは時間がかかりましたね。
道枝 僕は練習中の姿は、ほとんど見てなくて、本読みから綾音と向き合った感じだったけど。歌も演奏も本当に未経験と思えないぐらいの域まで辿り着けていて、すごいなって思いました。
生見 え、本当ですか? 嬉しいです。今、初めてそんな感想を聞きました(笑)。
道枝 現場では言ってなかったですっけ(笑)。


――春人と綾音のキャラクターについてはそれぞれ、どう捉えて演じましたか。
生見 ホントに猫! ……っていうのは監督にも言われました。「とりあえず何も考えないで、猫みたいに、自分の持ってる陰の部分を出してほしい」って言われて。それを考えすぎず、意識してるようでしてないみたいな雰囲気を心掛けました。自分では陰の部分を持ってると思ってなかったんですけど、監督に初めて会った時に「陰の部分あるでしょ。それを出してほしいんだよね。「めるる」じゃなくて、一人の人間として、感情にまっすぐ素直に生きてほしい」って言われたんです。繕っているところを一旦取っ払って、普通の人として演じて欲しいというオーダーだったんです。猫っぽい役を演じたことで、猫みたいな人って盛り上がるとこんなに楽しそうなんだとか、人間味があるなと思って、すごい素敵だなと思いました。
道枝 春人は真面目で優しい男の子で、暗くなりすぎないようには意識してたんですけど。自分は何も持っていない側の人間だって思い込んでいたけど、唯一の好きなものが作詞で。やっぱり言葉にするのが得意じゃないからこそ、詩に込めて、それが息抜きになるみたいな献身的な優しい男の子だなと思って演じました。綾音という自分の詩を必要としてくれる存在に出会って、ポジティブになっていく感じが良かったです。
人見知り同士なので探り合いながらの撮影に

――歌を作る時間を共にしながら生きていく二人の10年という月日を演じましたが、その月日の流れを演じるにあたって意識されたところがありましたら、知りたいです。
道枝 10年の月日を表現するにあたって、学生時代と大人になってからの違い、演じ分けられたらいいなと思っていました。10代のシーンでは、まだ未熟な感じの立ち振る舞いというか、アタフタしてるような落ち着きのない感じを意識してましたね。大人になってからは、声のトーンをちょっと下げて、余裕のある感じにしていました。試写で観たときに、高校生時代の動きがクイックになっていて、自分のやり方で間違ってはなかったんだなと思いましたね。
生見 確かに。声のトーン、違いましたね。
道枝 三木監督も「大人になってから、声のトーンは下げ目で」言って下さってたので、あってたのかと。ガッツリ監督と話し合うというよりは、シーンごとに「こういう感じで」っていうのを確認しながらできたと思います。
生見 私は、10年で二人の人生を描くって割と短いような気がして。映画を観ていても移り変わりがスピーディーだなと思いました。撮影では、繋がりを確認して、「ここがこうだったからこうなんだ」というところをちゃんと理解した上で入るのは、いつも以上に心がけていていました。綾音としては、大人っぽくなっていくんじゃなくて、子供に帰っていくような感じで、最初は尖っていたものが春人と出会ったことによってほぐれていく感じをイメージしました。道枝さんとも撮影を重ねるにつれ、どんどん仲良くなっていった印象があったので、それも映像に映ってるんじゃないかなって。
――ちなみにどの年代を演じているときが楽しかったですか?
道枝 学生時代が長かったんで、学生時代かなぁと思いますけど。
生見 確かに。部室で一緒に曲作っているシーンは楽しかった!
道枝 あのシーンで距離が縮まった感じはありましたね。
――撮影の時間を重ねるうちにだんだんとお二人の距離が縮まっていったということですが、お互いにどんな印象を抱いていますか?
道枝 バラエティ番組のイメージで明るい方なのかなって思ってたんですけど、じつは人見知りで。僕も人見知りなんで、最初はあまり会話が正直、弾まなかったですよね?(笑)。本読みの時なんて、あまり目が合わなかった気が……。
生見 そうでしたね(笑)。
道枝 でも、撮影が進むにつれて徐々に仲良くなっていった感じで。
生見 人見知り同士なので、ちょっと探り合いながらでしたよね。天気の話をしたり。私も人見知りだから最初は大丈夫かなと思ったら、すごくほんわかした人柄で、皆で仲良く話すような感じで、現場の空気が柔らかくて、居やすかったです。しっかりしていそうなイメージを持っていたので、ふわっとした、天然な部分が意外だったかも。すごく天然で可愛らしいところもありません?
道枝 え、そう?
生見 サウナの話していいですか?
道枝 サウナ……なんか言ったっけ(笑)。
生見 「俺、最近、サウナに行ったんだけど。前は12分時計を1時間時計だと思ってて」みたいな話。
道枝 あー、はい、はい、はい、はい!
生見 「1時間ってこんな早いんだって思った」って言ったのを聞いて、天然だなと思いました(笑)。
道枝 それは、2年ぐらい前にサウナに行った時にサウナの中にある時計が12分時計ってことを知らなくて。1分経った時、もう5分経ったんだって。1分なのに5分に感じて…。あれ? ちょ、ごめんなさい。何言ってるか、自分で分かんない(笑)。
生見 あはは。
人見知り同士の距離が縮まった瞬間

――人見知り同士の二人がちょっと距離縮まっていった瞬間はありましたか。
生見 あれ、じゃない? あだ名を決めたこと。
道枝 あー、あだ名。
生見 今また「生見さん」「道枝さん」って呼んでいて、恥ずかしいから、もう呼べないけど。路上ライブのシーンでしたっけ。
道枝 確かそう。
生見 割と待ち時間も多かったりした撮影で。私から「普段みっちーって呼ばれることが多いと思うから、違うので呼びたくて。“みちお”って呼んでもいいですか」って提案して(笑)。そしたら「じゃあ“めるお”って呼ぶね」って。そこからこの人は変な人だと思いました(笑)。
道枝 いや、違う、違う、違う! 俺、“めるお”って言ってないで?
生見 言ってないっけ?
道枝 「え、じゃあ、私のことはなんて呼びますか?」って言われて、“めるる”って言ったら、「いや、めるおでしょ」って(笑)。 “めるお”って呼ばされました(笑)。
生見 それで、監督を“みきお”って呼ぼうってなって。
道枝 そうそう。みきおさんね。3人の中でニックネームで呼び合うことになったんです。そこで、ちょっと距離が近くなりました。
道枝さんの目のお芝居が素敵でした

――撮影を振り返って印象に残っているシーンは?
生見 観覧車は普通に乗ることができたのでワクワクしました!
道枝 あの撮影は、夜も遅かった。夜景もキレイでしたね。
生見 キレイだった。撮影のために観覧車を何周もしましたもん。
道枝 僕は印象に残っているのは、綾音がアーティストになってからのライブシーン。そのタイミングで生見さんが歌う劇中歌を初めて一瞬聴いたんですけど、ドライ(リハーサル)からグッときちゃって。三木さんからは、「もう本番でいいよね」って言われていて、本番で初めてきちんと聴いたので、新鮮に挑めて良かったです。
――素敵な涙を流されていましたけど、やっぱり生見さんのパフォーマンスが素晴らしかったですか?
道枝 そうですね。やっぱり春人と綾音が積み重ねてきた日々が歌詞に綴られているので、その場面を思い出すだけで、やっぱりちょっとグッときましたね。あと、印象に残っているシーンは、おじいちゃんとおばあちゃんとのシーンで料理を作る場面。
生見 お料理慣れてる感が……。
道枝 いやいや、それはないですよ。普段、料理しないんで。だから、やり方が全然分からないながらに頑張ったシーンです(笑)。
生見 そうだったの?
――本当に柔らかい空気で、作品の世界観にぴったりな感じのお二人ですが、相手がお互いだったからこそ、引き出せたなと思った場面もたくさんありそうですね。
道枝 綾音のまとっている雰囲気が、生見さんが普段、纏ってる雰囲気とピッタリで。ズレがあんまりなかった印象でしたね。ホントに綾音がそこにいるみたいな感じだったんで、自然とこちらも役になれました。
生見 道枝さんが春人だったから演じられた……ホント全てのシーンがそうなんですけど。道枝さんは引きこまれるような目のお芝居がすごく素敵だなと思いました。シーン的にはあまり目立ってはないけど、好きなシーンがあって。綾音が路上ライブの動画が拡散されているって、振った男の子に言われるシーンの後に、綾音と春人が目を合わせるっていうシーンがあるんです。あそこで普通に初めて目が合った気もして。やっと春人と近くなれたっていうシーンでもあったし、物理的にちゃんと目があったのも初めてだったので目のお芝居が素敵だなって思いましたね。
道枝 僕は、部室のシーンかな。部室のドアを開けた時に、窓とソファーがあるんですけど、ソファーが綾音の定位置なんです。そこに座っていた時、窓から後光が刺していて、すごくキラキラしていたので、そこはハッとしましたね。そんな一瞬の美しい瞬間もスクリーンに切り取られていたらいいなと思います!
<作品情報>
『君が最後に遺した歌』
全国公開中

原作:一条岬『君が最後に遺した歌』(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊)
監督:三木孝浩
脚本:吉田智子
音楽プロデュース:亀田誠治
キャスト:
道枝駿佑 生見愛瑠
井上想良 田辺桃子 竹原ピストル 岡田浩暉 五頭岳夫 野間口徹
新羅慎二 宮崎美子 萩原聖人
©2026「君が最後に遺した歌」製作委員会
■公式サイト:https://kimiutamovie.toho.co.jp/
■公式SNS
・X:https://x.com/kimiutamovie
・Instagram:https://www.instagram.com/kimiutamovie
・TikTok:https://www.tiktok.com/@kimiutamovie
【ストーリー】
ある日、クラスメイトの遠坂綾音に詩を書いていることを知られた。
文字の読み書きをすることが難しい“発達性ディスレクシア”の症状を抱える彼女に代わり、僕が詞を書き、彼女が歌う。“文字”のない君と、夢のない僕。何かが欠けた者同士。
それは僕にしかできないこと、そして彼女にしかできないことだった。
二人だけの歌、二人だけの居場所、二人だけの秘密の暗号。
君と見つけた日々が、たった10年しかないと僕は知らなかった。
あの時、言えなかったけど…本当は…。
撮影/来家祐介、取材・文/福田恵子
ヘアメイク/(道枝さん)miura(JOUER)(生見さん)吉田美幸
スタイリスト/(道枝さん)壽村太一(生見さん)中井綾子
フォトギャラリー(8件)
すべて見る
