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川島如恵留、人生で初めて惰性に向き合う──舞台『惰性クラブ』

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チケットぴあ

川島如恵留 (撮影:石阪大輔)

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Travis Japanの川島如恵留が主演する舞台『惰性クラブ』が、2026年6月東京グローブ座、7月梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。作・演出は劇団「小松台東」主宰の松本哲也。
川島演じる主人公の山崎直哉ら高校時代の同級生たちは、理由もなく地元の倉庫に集まり、何をするでもなく過ごす日々を送っているが、そこに町内で不審な男を見かけたという噂が……。
本作は、やるせなさや挫折を抱えながら生きる者たちの姿をユーモアと痛みを織り交ぜ描き出すが、「“惰性”とはほど遠い人生を歩んできた」と語る川島は、“惰性”にどう向き合うのか? 稽古の開始を前に話を聞いた。

――“何もしないための来る場所”と劇中でも説明されるとおり、ドラマチックな出来事が起こるわけでもなく淡々と進む印象の本作。脚本を読まれての感想は?

川島 脚本を繰り返し読ませていただき、落とし込んでいる最中ですけが、たしかに、大きな事件が起きてそれをみんなで解決していく、みたいな展開ではありません。ですが、だからこそ日常の中で誰にでも起こりうるというか、仮に惰性で生きてきた自分を想像していただいたら、「自分にもこういう人生があったかも……」と感じさせてくれる作品だと思いました。そして、僕はすごく好きなんです、この作品。すごく面白いなって。この面白さを早くちゃんとした形でお届けしたいと強く思います。

――具体的に、この静かな作品のどの部分に強く惹かれているのでしょうか?

川島 もどかしいんです。自分だったら、こういうマイナスな状況に直面した時、「いやいや、それは違うんです」とか「実はこうで……」と弁明したり、訂正したりすることができると思うんですけど、直哉や「惰性クラブ」のメンバーたちは、あまり突っかかっていかない。「なんで言わないのよ?」「本当のことを言えばいいのに」みたいなもどかしさを感じるところが結構あって。
僕はお芝居で“もどかしさ”を観られる瞬間がいつもすごく好きなんです。性格の良い俳優さんが、すごい悪役を演じている時に感動するような。「あぁ、これがお芝居なんだ!」と。そういった部分こそ、俳優のすごさ、演出のすごさだと思っていて、脚本を読んだだけで、そこまで想像できるということは、絶対にこの作品は面白くなるという確信があるんです。

――直哉はセリフが多いわけではなく、沈黙や間が大事になりそうですね。

川島 はい。脚本の上では、直哉は「……」だらけ(笑)。これはどういう表情で、どんな感じ方をするのか? 松本(哲也)さんがわざわざ「……」を入れているということは、何を伝えたいのか? その理由を深掘りしていく、そこにあるもどかしさを探求していく作業がすごく楽しいです。

――全編宮崎弁での演技となりますが、松本さんから音声データを受け取ったそうですね?

川島 最初に標準語で書かれた台本を読んでいたので、物語の内容を理解した状態で宮崎弁のセリフを聴いたはずなんですが、「いま、何て言ったんだろう?」「どういう意味?」という感じで、最初はうまく入ってこなかったんです。
ところが2回目に聴いてみたら「あ、宮崎弁に慣れたらすごく意味がわかる!」となったんです。英語のテキストを読む時に、英語を理解している状態とそうではない状態ではまったく入り方が違いますよね、そんな感じでした。もちろん、お客さまは一回限りかもしれない公演を楽しみに来てくださるわけですから、表情や動きも含めてセリフの意味をしっかりお伝えできるよう精進したいと思います。僕が宮崎弁をしゃべることに違和感を抱かせたくないので、日常でも出していこうと思っています(笑)。

山崎直哉の生き方もきっと愛おしい

――現時点で直哉をどのような人物として捉えていますか?

川島 惰性で生きている、要は“なあなあ”に生きてしまっている人物ではありますが、その中でも、実は何かに抗って生きてきたのではないか? そんな強い部分も持った人物では? と現時点では感じています。
いろいろなことに挑戦はしてきたけど、挫折したり、諦めてしまったことが、ある種のコンプレックスになっていて、惰性で生きるという選択肢を取った――ある意味、その選択をしたということは惰性でないかもしれないけど、傍から見ると惰性で生きているように見えてしまっている。なにか薄い靄(もや)というか、カーテンが目の前にかかった人生を歩んでいる人なのかなとも。

――直哉像を探求していくと、印象が変わった感じですか?

川島 そんな直哉が僕はすごく愛おしいです。きっと世の中には、頑張っているのに、頑張ってきたはずなのに、タイミングが合わず報われなかったりした経験がある人はたくさんいらっしゃると思います。僕自身にもそういう部分はありましたが、いろんな人の助けをお借りして乗り越えられたし、前を向くことができた。でも、直哉は周りと自分を切り離して考えてしまっている部分があって、もったいないというか、少し背中を押してあげたいなと思うような、そんなかわいい──強さも弱さも持っているかわいいやつなのかなと思っています。

――改めて“惰性”というものを川島さん自身はどのように捉えていますか?

川島 僕、惰性で生きたことがないんです(笑)。変化や挑戦が好きな、アグレッシブにどんどん変わっていこう、成長していこうとする生き方を選んできましたから、惰性とはほど遠い生き方をしてきたつもりです。ですから、惰性についてたくさん調べました(笑)。惰性って、ちょっとネガティブなワードではあるんですけど、決して悪いわけではなく、無理に力を加えない、力まない生き方という意味ではポジティブな捉え方もできると思っています。
僕が生きてきた31年間で、たまたま惰性に触れてこなかっただけ。マイナスに捉えることなく、僕自身、力み過ぎて疲れてしまう部分があることもわかっているので、ある意味、惰性をうまく取り入れて、ひとつ頑張ったら、その力に乗ってしばらくは滑ってみるということも、生き方としてはあるのではないか? ご覧いただいたみなさんにも、そんな脱力の良さをこの『惰性クラブ』から感じていただければと思っています。

取材・文:黒豆直樹 撮影:石阪大輔

<公演情報>
舞台『惰性クラブ』

作・演出:松本哲也

出演:
川島如恵留
広田亮平 富田健太郎 金澤美穂 見津賢 瑞生桜子 佐藤達/
中村まこと/村田秀亮 那須佐代子

【東京公演】
2026年6月8日(月)~28日(日)
会場:東京グローブ座

【大阪公演】
2026年7月3日(金)~5日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/dasei-club/

公演オフィシャルサイト:
https://dasei-club.com/

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