昨年(2025年)に続いて行われた、ホール・ツアー『GRAPEVINE SPRING TOUR』。昨年は福岡・名古屋・大阪・東京の4都市5公演だったが(その東京のレポはこちら)、今年は大阪・福岡・東京・名古屋・宮城の5都市6公演、と、ちょっと拡大している。以下、そのツアーの3本目=東京・LINE CUBE SHIBUYA 2デイズの1日目、4月28日のレポをお届けする(写真は2日目)。
この日演奏されたのは、本編19曲・アンコール3曲の計22曲。この『SPRING TOUR』は、リリース等の具体的な何かに紐づいたツアーではないが、昨年はサード・アルバム『Here』から25周年なので『Here』の曲を多めにやる、という裏テーマがあり(24曲中8曲だった)、アンコールで田中和将がそのことを告げた。今年は、そのようなアナウンスは特になかったし、何かの周年というわけでもなかったが、22曲中7曲が、1999年リリースのセカンド・アルバム『Lifetime』からの曲だった。「いけすかない」「SUN」と、頭2曲がいきなりそうだったし、その後も8曲目に「光について」、11曲目に「青い魚」、14曲目に「HOPE(軽め)」、本編ラストの19曲目に「望みの彼方」、そしてアンコールで「スロウ」が演奏された。
その次に多かったアルバムは、最新作である2025年の『あのみちから遠くはなれて』(以下『アミーチー』)の4曲で、「天使ちゃん」「どあほう」「ドスとF」「my love,my guys」。いずれの曲も、セットリストの中において、強烈なインパクトを放っており、『アミーチー』がいかにとんでもないアルバムであるかを、改めて示していた。なので、終わってから、「あ、でも『NINJA POP CITY』はやらなかったな。『追憶のビュイック』も聴きたかったな。『カラヴィンカ』も……」などと思ってしまった。この『SPRING TOUR』の次は、今年で25周年のサード・アルバム『Circulator』の再現ツアーが控えているが(8〜9月、16本)、その次の再現ツアーは『アミーチー』にしていただきたい、と願うほどである。
1曲目の「いけすかない」では、曲を始める前に「はいこんばんはー! 渋谷ー!」と二回挨拶し、間奏では「渋谷ー! こんばんはー! 渋谷2デイズよろしくお願いします!」などと、声を限りに叫ぶ。2曲目の「SUN」を歌い終えると、ギターを下ろし、それぞれにマイクとブルースハープを持った両腕を真横にピンと伸ばし、そのポーズでしばしフリーズ。それによって、次が「天使ちゃん」であることを察したオーディエンスの歓声と拍手をしばし浴びてから、その「天使ちゃん」に入る。サビでは、歌いながら右腕を上げて振り、オーディエンスがそれに倣う。続くMCでは、今年は29周年、30周年に向けてがんばっていく、という話をしたあと、客席に「2階! 3階!」と呼びかけ、歓声を浴びてから、「初めてやった」。
というふうに、ライブの初っ端から、田中和将、今日はなんだかアクティブ、かつオーディエンスにフレンドリーな印象。「天使ちゃん」「雀の子」「ねずみ浄土」と、最近のGRAPEVINEの最重要曲3曲を並べて前半に持ってきたり、8曲目の「光について」の次に「猫行灯」を続けたりと、セットリストの随所にも、「あ、こうくる!?」と言いたくなるようなうれしさがある。特にしびれたのは、「411」「青い魚」「ドスとF」「Gifted」が続いた、10〜13曲目のゾーン。2011年・1999年・2025年の、それぞれの方向に超ドープな3曲を経た末に歌われるのが、「神様が匙投げた 明らかに薹の立った世界で 狩る者と狩られる者と ここでそれを笑っている者 どれもこれももういい さよなら」という「Gifted」、という。今だから、世の中がこんな状況だから、よけいリアルに響く……とか思いかけたが、いや、そんなことはなかった。いつでも、こんなふうに、時代を映す歌として響いてきた。この曲も、GRAPEVINEのほかの曲も。
田中、人生2回目の「2階! 3階! 1階!」コールをやってから(「1階!」が増えた)、改めて『Circulator』再現ツアーの告知をし、ただしアルバムを完全再現できるわけではないので、「当時の方が良かった!」ってなりに来てください──という、いかにもこの人らしいMCで笑いと拍手を浴びてから、後半のブロックへ。歌とギターと鍵盤とハーモニーでひっぱって、サビでガツンと亀井亨&金戸覚のリズム隊が加わって来るのがたまらない「HOPE (軽め)」。アウトロで某ル・ヤングの某曲のフレーズが織り込まれる(と、いつも書いているが、聴く度に書きたくなる)「my love,my guys」。西川弘剛のねちっこいリフも、それ以外の各楽器も、もちろんボーカルも、とてもファンキーな「実はもう熟れ」(もちろん田中は曲頭で「アモーレたちよ!」と呼びかける)。ストレートな8ビート感がこのバンドにおいては新鮮な「ジュブナイル」。亀井亨の美しいメロディと田中のカオスなリリックと共に高野勲のテルミンがうねりまくる「CORE」──と、オーディエンスをゆらゆらと踊らせ続け、本編ラストは『Lifetime』からの「望みの彼方」で、おそらく田中のキーの最高レベルのシャウトを聴かせて、本編が終了する。
アンコールは「smalltown,superhero」「スロウ」「Alright」の3曲。曲に入る前に田中、『Circulator』と当時のライブ作品『NAKED SONGS』『NAKED FILM』がリイシューされて発売になることを告知する。デジタルレストアで映像がきれいになっていること、未収録ライブ映像なども追加されることを伝え、「やらしい商売してますけど」と締めてから、「あ、今年はフジロックも」。そして「2階! 3階! アリーナ!」と、人生3回目のコールをしてから(「アリーナ!」になった)、前述の3曲に突入した。
なお、あとで調べたところ、翌日のLINE CUBE SHIBUYAの追加公演は、本編は19曲すべてこの日と同じだが、アンコールは「1977」「スロウ」「Arma」だった。そうか。でも良しとします、「Alright」、大好きな曲なので。リリース当時「うわ、直球のファンクみたい」と、びっくりしたのを憶えている。が、「ねずみ浄土」や「雀の子」や「天使ちゃん」のびっくり度は、その比ではなかったことも、今、書きながら思い出した。
<公演概要>
『GRAPEVINE SPRING TOUR』
4月28日 東京・LINE CUBE SHIBUYA
【Setlist】
1、いけすかない
2、SUN
3、天使ちゃん
4、雀の子
5、ねずみ浄土
6、どあほう
7、君を待つ間
8、光について
9、猫行灯
10、411
11、青い魚
12、ドスとF
13、Gifted
14、HOPE(軽め)
15、my love,my guys
16、実はもう熟れ
17、CORE
18、望みの彼方
En1、smalltown,superhero
En2、スロウ
En3、Alright
<リリース情報>
『Circulator+NAKED SONGS』
7月1日(水)リリース
3,850円(税込)
仕様:CD2枚組
Blu-ray/DVD
『GRAPEVINE LIVE 2001 “NAKED FILM” and MORE』
7月1日(水)リリース
Blu-ray:6,380円(税込)/DVD:5,830円(税込)
特装盤BOX(通販限定)
CD+映像作品セット(受注限定生産)
<ツアー情報>
『GRAPEVINE IN A LIFETIME CIRCULATOR tour』
8月1日(土) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
8月2日(日) 広島クラブクアトロ
8月8日(土) 熊本B.9 V1
8月9日(日) 福岡DRUM LOGOS
8月11日(火・祝) 松山W studio RED
8月22日(土) 京都磔磔
8月23日(日) Live House 浜松 窓枠
8月29日(土) 金沢EIGHT HALL
8月30日(日) 長野CLUB JUNK BOX
9月6日(日) 札幌ペニーレーン24
9月12日(土) 新潟LOTS
9月13日(日) 仙台Rensa
9月18日(金) 東京EX THEATER ROPPONGI
9月19日(土) 東京EX THEATER ROPPONGI
9月22日(火・祝) 大阪 なんばHatch
9月23日(水・祝) 名古屋ダイアモンドホール
GRAPEVINE Website
https://www.grapevineonline.jp