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壮一帆が再び挑む『心中・恋の大和路』──12年を経て、今新たな忠兵衛へ

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壮一帆 (撮影:吉原朱美)

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1979年の初演以来、宝塚歌劇の“日本物の名作”として語り継がれてきた、忠兵衛と梅川の命を懸けた恋を描く『心中・恋の大和路』が、umegei朗読シリーズ第2弾として朗読歌劇版で蘇る本作。忠兵衛・梅川を瀬戸内美八・南風舞、壮一帆・愛加あゆの2組が演じることも大きな見どころだ。 2014年に雪組トップスターとして忠兵衛を演じた壮一帆は、12年の時を経てこの役とどう向き合うのか。男役を離れた今だからこそ見えてきたもの、新たな表現について聞いた。

初演から受け継がれる『心中・恋の大和路』の心

――『心中・恋の大和路』に出演が決まった時、どう思われましたか。

壮一帆(以下、壮) 正直な気持ちとしては、「私でいいのだろうか」という思いがありました。今回は宝塚歌劇の初演で忠兵衛を務められた瀬戸内美八さんもご出演されますし、私にお話をいただけるとは思っていなかったんです。ですから、「出させていただけるなら喜んで」とお返事しました。タカラジェンヌは本当に皆さんお元気なので、先輩方のご活躍を拝見すると、自分はまだまだだなと思わされます。

――2014年に雪組で忠兵衛を演じられたときの思い出がありましたら。

 当時は、トップスターとしての役への向き合い方が、そのままでは忠兵衛に活かせなかったという思いがあります。長く愛されてきた作品であり、忠兵衛と梅川という、二人で一つの恋人の形も奥が深く、なかなか掴みきれず苦労したのを覚えています。 「上方の二枚目」と言われ、頭では分かっていても、実際に演じると違和感がありました。今で言えばダメな男性なのに、周囲に愛され、手を差し伸べられる。その感覚を掴みきれなかったのは、男役であることが自分の中で枷になっていたからだと思います。

――12年を経た今、忠兵衛にどう向き合えそうですか。

 人生経験や年齢を重ねたこと、何より男役という鎧を脱いで、新しい表現を経験してきたことで、受け止められるキャパシティは少し広がったのかなと思います。忠兵衛にある「受け身」の部分も、当時は怖さがありましたが、今は相手の表現を受け入れて返すことが、あの時よりはできるのではないかという感覚があります。また、忠兵衛の持つ緩さや柔らかさみたいなものも、以前よりは役として纏えるのではと思っています。 瀬戸内美八さんバージョンでは、私は別の役でも出演します。違う役割を経験することで、忠兵衛に戻った時の心持ちや解釈も深まると思うので、楽しみにしています。

時を重ねた二人で向き合う、忠兵衛と梅川の普遍の愛

――朗読歌劇として意識されているアプローチがありましたら。

 朗読シリーズ第1弾の『忠臣蔵』では、普段の舞台とは違い、本を持つことで動きが制約される部分もあるのだと感じました。でも、そうした制約を感じさせないほど世界観がしっかりあって素晴らしかった。むしろ制約があるからこそ、言葉や心情がより生々しく伝わるのかもしれません。この朗読歌劇ならではの表現を見つけていきたいです。

――歌はどのように入るのでしょう。

 『忠臣蔵』では主な曲はすべて入ったと聞きました。今回も主演の歌はほぼ入るようです。歌は定期的に歌っていますし、細胞が覚えてくれているので、当時のキーでいけます。ただ、この作品は2014年以来なので、男役の発声とは変わっていると思いますし、表現の仕方もだいぶ変わっているのではないかと思います。

――梅川を、元トップコンビの愛加あゆさんが務められることも話題です。

 めちゃくちゃうれしいです。退団後は女優として共演したり、宝塚を一緒に観て感想を話したりする中で、現役時代より作品や役について深く語り合えるようになりました。今回もディスカッションできるのが楽しみです。

――男役女役として組むのは退団後初ですね。

 干支を一回りして、ひとつのターニングポイントになりそうな気がします。お互いが、この先俳優としてどう進んでいくのか。その始まりにもなるような感覚があり、稽古で話し合えることを、今から楽しみにしています。

――忠兵衛がみせる愛についてはどのように。

 もう究極ですよね。すべてを犠牲にしてでも貫こうとする愛。その極限状態にある愛の崇高さに、人は憧れたり共感したりするのかもしれません。そのギリギリの美しさが、この作品にはあると思います。

――改めてお客様にお届けしたいこの作品の魅力、そして役に臨まれるにあたっての心境を教えてください

 人間はいつだって恋に、愛に悩んでいる。そして、それは一向に解決しない。人間が抱え続けてきた普遍的な愛の物語だからこそ、何百年も変わらず多くの人の心に届き、愛され続けているのだと思います。その本質をきちんとお届けできたらと思っています。
忠兵衛については、ひるむことなく受け入れ、しっかり地に足をつけて存在すること。そして、自分の中にある苦しさや悔しさも飾らず役に乗せながら、宝塚における日本物の伝統を、OGキャストとしてきちんと伝えていきたいです。

取材・文:島田薫 撮影:吉原朱美

<公演情報>
朗読歌劇『心中・恋の大和路』

オリジナル脚本・演出/潤色・演出:菅沼潤/谷正純
上演脚本・演出:荻田浩一
音楽:吉﨑憲治

出演:
瀬戸内美八、南風舞/壮一帆、愛加あゆ
日向薫、未沙のえる、未来優希、彩吹真央
美郷真也、寿つかさ、羽純るい、久路あかり、和海しょう

【役替わり】忠兵衛:瀬戸内美八、梅川:南風舞<初演ver.>
【役替わり】忠兵衛:壮一帆、梅川:愛加あゆ

※各回【役替わり】の詳細はチケット販売ページよりご確認ください
※瀬戸内美八、南風舞、日向薫、未沙のえるは、<初演ver.>のみ出演(その他のキャストは全公演出演)。

【東京公演】
2026年6月24日(水)~28日(日)
会場:草月ホール

【兵庫公演】
2026年7月2日(木)・3日(金)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/roudoku-koinoyamatoji/

※吉﨑憲治の「吉」は「土」に「口」が正式表記

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