DABO&DJ HAZIMEがCYRENに託した“リアル” 10代の5人が鳴らす本物のHIP HOP 初ライブ&インタビューで見えた、CYRENの現在地
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10代ガールズHIP HOPグループ・CYRENが、4月24日にシングル「CYREN」でデビュー。さらに5月1日にはEP『ONE』をリリースし、デビューショーケース『Page One』を開催した。
全編撮影OKという自由な空気のなか、5人は未完成だからこそ放てるリアルな言葉とパフォーマンスをぶつけ、会場を熱気で包み込んだ。小中学生時代に大阪で出会い、現在は共同生活を送りながら活動するCYREN。彼女たちのHIP HOPを支えているのは、日本のHIP HOPシーンを長年牽引してきたラッパー・DABO、DJ/プロデューサーとして数々の現場を支えてきたDJ HAZIMEだ。「HIP HOP好きが聴いてもかっこいいものを作りたかった」と語るDJ HAZIME、そして「完成されてなくていい。その“いびつさ”を活かしたかった」と話すDABO。ふたりがCYRENに求めたのは、借り物ではない“自分たちの言葉”だった。
初ライブとインタビューから、CYRENというグループの現在地と、“本物”を鳴らそうとする10代5人のリアルに迫る。
◼︎ CYREN DEBUT EP RELEASE SHOWCASE “Page One”/ 2026年5月9日(土)
ショーケース開演前、ステージに現れたDABOがマイクを握ると、それまでラウンジのように漂っていた空気が、一瞬でライブの熱を帯びたものへと変わった。自身がCYRENのラップディレクションを担当していることを明かし、「僕がやったことは、かっこいいラップを教えること。そして彼女たちのラップをかっこよくブラッシュアップして歌わせること」と説明。笑いを交えながら語りつつも、その言葉の端々からはCYRENというグループに対する本気度が滲み出る。
「今は誰でもラップする時代。でもだからこそ、“かっこいいラップ”と“そうじゃないラップ”の違いもみんな分かるはず。CYRENのラップはいかつくてかっこいいぞ。なんでだと思う? 俺が作ったから」長年ヒップホップシーンの最前線を走ってきたDABOだからこそ放てる説得力。さらに、「これは“1と2”の違いじゃない。“0と1”の違い。今、何かが始まる瞬間」と、この日の意味を言葉にする。「どれだけレコーディング技術が進化しても、ライブだけはごまかせない。CYRENはAIじゃない。生きている人間だ。5人の女の子が今から魂を飛ばしてラップするぞ!」 その叫びにも近い煽りとともに、CYRENのデビューショーケース『Page One』が幕を開けた。
「CYREN」のロングイントロバージョンの重低音がフロアを揺らすなか、5人がゆっくりとステージへ現れる。緊張感を漂わせながらも、その表情は真っ直ぐ前を向いていた。デビューしたばかりのグループ特有の初々しさは確かにある。しかし、それだけでは終わらない。観客の視線を真正面から受け止める姿には、すでに“ステージに立つアーティスト”としての覚悟が宿っていた。続くダンスパートでは細かくシンクロさせたフォーメーションと、鋭く切り込むビートアプローチ、身体全体を使ったグルーヴを表現。派手に煽るわけではなくとも、5人それぞれの身体から放たれるエネルギーが、じわじわとフロアの温度を引き上げていく。
そして「Story Of My Life」では空気が少し変わってゆったりとしたメロディに乗せて届けられるラップとボーカル。先ほどまでの鋭い空気感とは異なる柔らかな表情を浮かべながら、それぞれの声で楽曲世界を描き、5人は言葉を確かめるように丁寧にマイクを繋いでいく。強さを打ち出すだけではない、等身大の感情を滲ませるようなパフォーマンスが印象的で、ラップグループでありながらも、“聴かせる”ことにしっかり重心を置いた構成がまたいい。その歌声にはすでに“誰かに届けようとする意志”が宿っていた。それまでスマートフォンを高く掲げていた観客たちが、自然と画面越しではなくステージそのものへ視線を向け始める。華やかなショーケースのなかで、「Story Of My Life」はCYRENというグループの内面を静かに映し出すような時間になっていた。
3曲終えると、「みなさんはじめまして、CYRENです。デビューショーケースにお越しいただきありがとうございます! 短い時間ですが最後まで盛り上がっていきましょう」と挨拶。初ステージらしい緊張を感じさせながらも、その声は驚くほどしっかりと会場に届いていた。そこから投下された「Hey Boy」は、それまでの空気を滑らかに塗り替えていく。浮遊感のあるトラックに、跳ねるようなビート。どこか00年代のJ-POP/HIP HOPクロスオーバーを思わせる都会的なグルーヴが心地よく響き、観客はスマートフォンを片手に、それぞれのリズムで身体を揺らしていた。
「みなさん、盛り上がってますか? みなさんの声聴かせてください!」
メンバーの呼びかけに応えるように、会場には「CYREN!」のコールが響き渡る。その熱量を受け止めるように始まった「Girl’s
Power」は、この日の中でも特に印象的な一曲だった。ダークなトラックの上で、鋭いラップと視線をぶつけていく5人。愛らしさが残る10代の少女たちが、“かわいい”ではなく“かっこいい”を真正面から掴みにいく。そのアンバランスさこそがCYREN最大の魅力なのかもしれない。誰かに作られた“ティーン像”ではない。自分たちの意志で、自分たちのスタイルを掴み取ろうとする強さ。その姿が、パフォーマンスの端々から伝わってきた。
ライブ後半、「Dear My Friends」では再び空気が変わる。「私たちは小中学生のころに大阪で出会いました」そう語られたあとに披露されたこの曲には、故郷を離れ、音楽のために上京した彼女たち自身の思いが重なっていた。仲間と出会い、夢を抱き、見知らぬ街で未来を掴もうとする。その過程にある不安や希望が、エモーショナルなメロディとともにフロアへ広がっていく。派手な演出ではない。しかし、そのリアルな感情こそが観客の胸を打っていた。ステージの上で歌っているのは、完成されたスターではない。夢の途中にいる、5人の“今”そのものだった。
終盤のMCでは、最年少メンバーのIROHAが「私たちは新人なんですけど、そんなこと関係なく、10代のトップになります」と宣言。「まずはLIQUIDROOMでのライブを目指して、最終的には日本武道館に立ちたいと思っています」と、自らの未来を真っ直ぐに見据えるた大きな夢。この日のCYRENには、その言葉をただの“理想論”で終わらせない熱が確かにあったと思う。
「最後に私たちの決意表明として聴いてください」披露されたラストナンバーは、その名を冠した「CYREN」。冒頭とラストを同曲で締める構成によって、この日のショーケースはひとつの“始まりの物語”として鮮やかに輪郭を持った。
DABOが語った“0と1の違い”。まさにこの日、CYRENは“0”から“1”へと踏み出したのだと思う。
ライブ終了後もDJタイムは続き、観客はそれぞれの余韻を楽しみ、フロアには5人の写真がプリントされたケーキも登場。記念撮影を楽しみながら、この特別な一日を噛み締めていた。
CYRENはまだ始まったばかりだ。けれど、この夜確かに見えたのはCYRENというグループが、ここから大きな景色へ向かって走り出していく、その最初の輪郭だ。
◼︎CYREN×DJ HAZIME&DABOスペシャルインタビュー
──まずはデビューショーケースを終えた率直な感想を聞かせてください。
IROHA:本当に緊張しました、泣きそうなぐらいに。でもすごく楽しかったです。ライブ終わったあと、「ここもっとこうしたかったな」とか改善点もいっぱい見つかったんですけど、それも含めてすごく大きな経験になりました。
── DJ HAZIMEさん、DABOさんはCYRENと出会い、制作を進めていく中で、どんな可能性を感じていましたか?
DJ HAZIME:僕は立ち上げの時から、「HIP HOPでやりたいグループがあるんだよね」って話をもらっていて、「じゃあ、やろう」と。そのなかで彼女たちの可能性を見るというよりは、“どこまで本気で一緒にやれるか”がテーマだったんですよね。ただ歌わせて、「はい、これやってください」みたいなグループにはしたくなかった。どこまで本気で向き合えるか。その部分をすごく大事にしていました。この半年ぐらいで、本気度はかなり変わってきたと思います。
── DABOさんはいかがでしたか?
DABO:僕、人にラップを教える仕事って今回が初めてだったんですよ。僕やHAZIMEが少しでも力になっていたらいいんですけど、僕も貴重な経験させてもらってるし、特に「今の10代の子たちとラップを作るってどんな感じなんだろう」って未知だったところもある。僕の作業って、みんなが書いてきたリリックを見て、「ここはこうした方が伝わるな」とか、「ここは足そうか」とかブラッシュアップしていく感じなんですけど、最初の丸裸の状態の歌詞を見るのがすごくエモくてね。娘でもおかしくない世代ですけど、MOMOKAが「Dear My Friends」の歌詞に、”あの空気の苦味”っていう言葉を書いたんですよ。普通だったら、“空気が重い”とか言うじゃないですか。でも、“空気を苦味”って言っていて。「なんだその表現、めちゃくちゃ面白いな」って思ったんです。もちろんプロとして整える部分は整えるんですけど、その完成されてない“いびつさ”を消したくなかった。借り物じゃない言葉、完成されてないからこそ出る言葉とか空気感ってあると思うんですよね。
── かなり“本人たちの言葉”を大事にされているんですね。
DJ HAZIME:そこは徹底してます。売れるために変にポップに寄せたり、“なんちゃってHIP HOP”みたいなことはやりたくなかった。HIP HOP好きが聴いても「ちゃんとかっこいい」って思えるものにしたかったんです。だから、まず全員に書いてもらう。そこからDABOくんがブラッシュアップしていく。本人たちの言葉をベースにするっていうのは、CYRENの大きな強みだと思っています。
── メンバーの皆さんは、最初からリリック制作に慣れていたんですか?
MOMOKA:全然です(笑)。最初はトラックを渡されても、「何を書けばいいんだろう?」って感じだったし、“韻を踏む”っていう意味も分からなかった。でも今は、本気で楽しいです。みんなで夜中までリリックを書いて、次の日そのままレコーディングして……っていう時間も全然苦じゃなくて。それぐらい、今は音楽を作ることが楽しいです。
── 皆さんは共同生活もされているそうですね。
AN:はい。小中学生のころに大阪で出会って、今は5人で共同生活しています。もう家族以上ぐらいの感覚です。
── 共同生活って貴重な時間の共有ですよね。
DABO:若いうちしか、友達と一緒に暮らす経験ってできないじゃないですか。僕、それしたことなくて、後悔したことのひとつだったからちょっと羨ましいんですよ。そのうちみんな、自分の生活になっていくから。今しかできない経験だと思うし。
DJ HAZIME:僕はDABOくんと長い付き合いですけど、一緒に住みたいと思ったことは一回もないです。それはそれ、これはこれ(笑)。
── ライブを終えて、新しく見えた部分もありましたか?
DABO:ありましたね。スタジオで録る声と、ライブで出る声って全然違うんですよ。 今日初めて、生のテンション感でラップしてるのを聴いたんですけど、「お前そんな声出るんか!」っていう発見もあった。だから、今日見えたものは今後の制作にすごく活きると思います。
MANAMI:今まで経験したライブとは違いましたね。声の出し方も違ったと思うし、レコーディングとも全然違って。でも、新しく見つかったこともいっぱいあったし、改善点もいっぱい見つかったので、すごく意味のあるライブでした。
── “10代でHIP HOPをやる”ということについて、おふたりはどう感じていますか?
DJ HAZIME:僕がやろうと思っていたのは、“HIP HOP好きが聴いてもかっこいいもの”にすることなんですよ。売れるために変なことはやらない。それをCYRENの強みにしたかった。まずそれをベースにして、誰かに書いてもらったリリックじゃなくて、自分たちでまず表現する。10代だろうがなんだろうがそこは徹底する。そこから出てくるものこそ等身大ですからね。それこそが彼女たちのHIP HOPなんじゃないですかね。全員に書いてもらって、それをDABOくんにブラッシュアップしてもらう。彼女たち本人の言葉がベースにあるから、それがCYRENのHIP HOPになると思うんです。
DABO:10代の気持ちは、10代にしか書けないんですよ。昔を思い出してって曲だったらいいけど、そうじゃない限りリアルは50代の僕にはもう書けないし、逆に10代の子は50代の歌詞を書けない。若い子ぶって歌詞を書いたら、一気にリアルじゃなくなるじゃないですか。だから、その時の自分を表現することが、一番リアルな音楽になると思う。完成されてなくていいんですよ、荒削りでいい。CYRENって、“完成された状態”でデビューしたグループじゃないと思ってるんです。でも、それがいい。その未完成さとか、いびつさとかを、僕は活かしたかった。
── デビューしてスタートラインに立ちました、CYRENとして、これからどんなグループになっていきたいですか?
HINANO:私たちにしか出せない10代の想いをリリックにのせて、世代を代表して世の中に発信していく存在、そんなアーティストになります。
IROHA:音楽が好きな人たちに、「CYRENを聴いてる、観てる」って言ってもらえる存在になれるように、もっと音楽の精度を高めて、いい音楽を作れたらいいなって思います。
AN:ステージっていうところが苦手なんですけど、でもこの5人でやってきたからこそ自分があるなって思っていて。いろいろな環境があっていまがあるので、その感謝を伝えていきたいです。
MANAMI:私たちだから発信できることがあると思うので、同世代に共感してもらって、上の世代の方にも「こんな感情持ってたことあったな」って懐かしく感じてもらえるようなリリックを書いていきたいし、現場も盛り上げていきたい。聴くだけじゃなくて、唯一無二というか、私たちだからできる音楽を発信していけるグループになりたいです。
MOMOKA:グループなので一人ひとりの個性が際立っていると思いますし、同世代を引っ張っていけるような、憧れてもらえる存在に一人ひとりがなっていきたいと思います。
── 最後に、これからのCYRENに期待していることを聞かせてください。
DABO:僕もHAZIMEもSUIも、みんなで育てている意識が強いんです。もっと良くなる、ヤバくなっていくCYRENを見て、楽しんで、いつか彼女たちが思う舞台に辿り着いたらいいですね。急がなくていい。少しずつ少しずつ、でも着実に。あと、“僕がいなくなること”がゴールだと思ってるんですよ。最終的には、自分たちだけで全部できるようになるのが一番いい。だから、これからもっと良くなっていく過程を、みんなで楽しみながら見ていけたらいいなと思ってます。
DJ HAZIME:「CYRENって知ってる?あのグループうちの父ちゃんがやってんだぜ」って言われるぐらい、大きなグループになってほしいですね。以上です(笑)。
<リリース情報>
1st EP
『ONE』
配信リンク:https://linkco.re/uTQPqGFc
CYREN Instagram
https://www.instagram.com/cyren_jp/
CYREN X
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