内田也哉子、森山直太朗、山崎育三郎らが“母への感謝”を歌と朗読で紡ぐ『Happy Mother’s Day!~母に感謝のコンサート2026 in TOKYO~』オフィシャルレポート到着
音楽
ニュース
『Happy Mother’s Day!~母に感謝のコンサート2026 in TOKYO~』 Photo:福岡諒祠(株式会社GEKKO)
続きを読むフォトギャラリー(17件)
すべて見る好評の上に好評を重ね、5回目の開催となる今年も満員御礼の大盛況。『Happy Mother’s Day!~母に感謝のコンサート 2026 in TOKYO~』が、5月6日、東京・サントリーホールで開催された。「この世界のすべての母親に感謝の思いを込めて、音楽の花束を贈ろう」というテーマは、今年も同じ。変わり続ける世界の中で、変わらぬ思いを伝え続けること。今日は年に一度、その思いを新たにする日だ。

360度をぐるりと座席が取り囲む、クラシック音楽の殿堂に、須原杏ストリングスによる「Overture」の流麗な調べが響き渡る。華やかなオープニングに続いて、5年連続でホスト役を務める森山直太朗、内田也哉子の名コンビが、柔らかなトークで客席の緊張感をほぐしてくれる。オフィシャルピアニストの桑原あいも含め、お馴染みのメンバーの家に誘われたような心地よい空気の中、それぞれの思いを乗せた母に感謝のコンサート、いよいよ開幕。


最初にステージに登場するのは、俳優、アーティストなど様々なジャンルで活躍する生田絵梨花。赤とピンクの可憐なワンピースに身を包み、日本版声優を担当したディズニー100周年記念作品『ウィッシュ』の劇中歌「ウィッシュ~この願い~」を歌う、透明感溢れる歌声と豊かな表現力に、ステージ上の椅子に腰かけて見守る森山、内田、そして観客も全身を耳にして聴き入るのみ。2曲目の「今も、ありがとう」は、コンサート当日の5月6日にシングルリリースされた楽曲で、ステージで歌うのは初めて、しかも母への感謝をテーマにした楽曲という、まさにこの日のために用意されたような楽曲。今日ここで聴けた人は、とてもラッキーだ。

ここで森山を呼び込み、念願だったというデュエットを披露。6年前に、テレビの音楽番組で初共演した際に歌った「愛し君へ」は、森山のアコースティックギターをバックに、凛として美しく。そして、生田が大好きだと言う森山の楽曲「花」を、あたたかく包み込むようなピアノと弦楽四重奏の響きと共に。ミュージカルの舞台で得た歌唱力、表現力を存分に発揮し、時に可憐に時に気高く、歌の中の物語と感情を引き出す素晴らしいパフォーマンスに、4曲を歌い終えて満場の拍手が鳴りやまない。

続いては、同じく舞台俳優として活躍中、ミュージカル界のプリンスとして絶大な人気を集める山崎育三郎。投げキッスを振りまきながらの派手な登場に、「早く来なさい!」と突っ込む森山と山崎は、朝の連続テレビ小説『エール』での共演以来、大の仲良しだ。1曲目「君に伝えたいこと」は、森山からの提供曲で、作者の弾くギターとハーモニーに支えられ、一つ一つの単語に感情をたっぷりと込めて歌う、伸びやかな歌声が会場いっぱいに広がる。続く「愛のカタチ」は、高校時代に共に暮らした祖父、祖母との思い出を呼び起こすという、彼にとってとても大切なレパートリー。年齢と共に変わりゆく愛の形を、真摯に綴る歌詞、物悲しいメロディ、切々とした歌声が心に沁みる。物語が目の前に浮かんでくる。

7月8日にリリースされるニューアルバム『19BOX~STARMAN~』のアレンジは、ミュージカルの作曲でも活躍する桑原まこ。その妹が、今ここでピアノを弾いている桑原あいで、姉妹と山崎とは旧知の仲。音楽が繋ぐ縁の素晴らしさを語りながら、ニューアルバムから郷ひろみのカバー「言えないよ」、さらに生田絵梨花を呼び込んで、ミュージカル『モーツァルト!』より「愛していれば分かり合える」をデュエットで、見つめ合い、歌い合う。なんと贅沢な時間だろう。本物のミュージカル、本物の歌の迫力、ここにあり。

ここからは「也哉子の部屋」と題して、生田、山崎、内田のクロストークに花が咲く。生田の母はパワフルで前向き、何でも話し合える間柄で、幼い頃から音楽の道への後押しをしてくれた大切な人。山崎の母は音楽教師、幼い頃から共に歌い、照れ屋の育三郎少年を現在のミュージカルスターへと導いた、とても大きな存在。今日この会場に来ているというふたりの母は、「お母さん、いつもありがとう!」と呼びかけるふたりの声を、どんな感慨を持って聞いただろう。

そしてこの日の3人目のアーティストは、歌手ではない器楽奏者として初めて「母に感謝のコンサート」に出演する、ギタリストの村治佳織。黒地に赤い花、色鮮やかな衣装で左ひざを立てて椅子に腰かけ、メロディと伴奏を同時に奏でるトレモロと呼ばれる右手の高度な技巧で、豊かな音を紡ぎだす。曲は、ゲーム音楽を取り上げた最新アルバム『Eternal Fantasy』から、奈良の薬師寺をイメージして作曲した「エターナル・ファンタジー」、そして桑原あいのピアノと共に奏でる、アフリカの大地に思いを馳せた「バガモヨ~タンザニアにて」。前半はしっとりと、後半はギターのボディを叩きながらリズミックに盛り上がる、クラシックギターのイメージを軽やかに超える自由な演奏が素晴らしい。

「ギターでも“歌う”ことを意識しています」と、持論を語りながらもう1曲、須原杏ストリングスも交えて送る「タンゴ・アン・スカイ」は、タイトル通りにタンゴのリズムに乗って、激しく妖しく情熱的に。弦を叩く音も軽やかに、ギターの楽しさと奥深さを感じさせるパフォーマンスに、あたたかい拍手が降り注ぐ。演奏を終えたあと、森山、内田とのトークでは、小学校教師という職業、ギターの師匠である父のサポート役、家庭を切り盛りする役と、ひとり何役もこなしてきた母への尊敬を込めて、「大人になってから、ひとりの人間として向き合えるようになりました」と語る。今日もこの会場で娘の演奏を見守っているという、素敵な関係だ。

ここで毎年恒例、内田也哉子による“この世界のすべての母親に感謝の思いを込めて”綴る詩の朗読へと場面が変わるが、今年は村治佳織のギターと共に朗読するスペシャルバージョンで、内容も昨年よりアップデート。“この世界が平和であるという奇跡”を強調した、メッセージ性の強いものに進化した。聞き役、進行役、そして音符の代わりに言葉の力で、イベントのメッセンジャーを務める内田也哉子は、「母に感謝のコンサート」の全体を包み込む、母親役と言っていいかもしれない。


内田が静かにスポットライトから外れると、森山が中央に立ち、村治のギターとストリングス、ピアノをバックにそっと「優しさ」を歌い始める。朗読の余韻を次の曲のメッセージへと繋げる、スムーズな転換はコンサートというよりは演劇的な見事さで、感動の余韻が途切れない。続けて歌う「愛々」は、「母親を含めて、大切な人に向けて作った」(森山)、4月にリリースされたばかりの新曲。ギターを持たずにハンドマイク、ピアノとストリングスと呼吸を合わせながら、観客の一人ひとりに語るように歌う、美しいハイトーンが心を洗う。そして最後はやはりこの曲、代表曲「さくら」を心を込めて歌い上げると、一瞬の静寂の後、嵐のように巻き起こる盛大なアプローズ。内田也哉子が母親ならば、司会進行に加え、すべてのアーティストのステージに参加して盛り上げる森山直太朗は、「母に感謝のコンサート」を力強く守る、父親役と言っていいかもしれない。


鳴りやまないアンコールの手拍子に応え、ステージに戻った森山直太朗が山崎育三郎を呼び込み、山崎が大好きだという森山の曲「生きてることが辛いなら」を歌いだす。死と生をめぐる命についての考察を、詩的に綴った美しいフォークバラード、真摯なメッセージが、じんわりと心に沁みてゆく。そして最後にもう1曲、生田絵梨花、村治佳織を加えた今日の出演者勢ぞろいで、「母に感謝のコンサート」から生まれたテーマソングと言うべき「ロマンティーク」(作詞・内田也哉子、作曲・森山直太朗)を、会場いっぱいの手拍子と共に、歌声と笑顔をリレーしながら歌い繋ぐ、心あたたまるグランドフィナーレ。今年もまた、この歌が聴けた。こうして歴史は作られ、歌は歌い継がれてゆく。


ありがとうございました。来年もまたお会いしましょう――。約束を胸に会場を出る、出口ではステージセットに使われた赤いカーネーションを一輪ずつ持って帰れる、粋なプレゼントが待っている。“この世界が平和であるという奇跡”を信じて、次の「母に感謝のコンサート」を楽しみに待とう。演出も構成も、毎年どんどん進化している。感動のリレーは来年へと受け渡される。
Text:宮本英夫、Photo:福岡諒祠(株式会社GEKKO)
<公演概要>
『Happy Mother’s Day!~母に感謝のコンサート2026 in TOKYO~』
5月6日 東京・サントリーホール
ストーリーテラー:内田也哉子
出演:森山直太朗 / 山崎育三郎 / 生田絵梨花 / 村治佳織
オフィシャルピアニスト:桑原あい
オフィシャルバンド:須原杏カルテット
フォトギャラリー(17件)
すべて見る
