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桑田佳祐、サザン新曲「北鎌倉の思い出」を初オンエア アルバム『海のOh, Yeah!!』収録、「TSUNAMI」への思いも語る

音楽

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リアルサウンド

 7月21日の『ニッポンハム ムーンライト・ミーティング 桑田佳祐のやさしい夜遊び』(JFN系列38局ネット)は、3週間ぶりに桑田による生放送。8月1日にリリースされる、デビュー40周年のプレミアムアルバム『海のOh, Yeah!!』(海の“オヤー”)に収録される新曲「北鎌倉の思い出」が初オンエアされたほか、桑田から「TSUNAMI」への思い入れも語られるといった印象深い放送となった。

 冒頭、レギュラーアシスタントのレコード会社の担当から、豪雨の被害を受けている西日本を中心とした地域に向けてのお見舞いを述べるとともに、『海のOh, Yeah!!』の収益の一部を災害時の緊急支援、復興支援のために寄付することがアナウンスされた。加えて、桑田は昨今の酷暑について言及し、「健康にお気をつけください」とリスナーに呼びかける。重苦しいムードにせず、優しく語りかけるように、リスナーに気遣いをするのが桑田らしい。

 1曲目に流されたのはアルバム収録曲で、7月23日(月)に配信リリースされる「壮年JUMP」だ。すでにこの夏を象徴する定番になりつつあるこの曲には、憂鬱を吹き飛ばす力がある。

 『海のOh, Yeah!!』について、リスナーから「“Daddy”sideの1曲目が『TSUNAMI』というのは驚きました」とのメールが寄せられた。ライブで披露されることにも期待したい、とのメッセージに、桑田は「しばらくこの曲はしまっておこうと思っていたんです」と切り出す。「ライブで歌わないということも、何かのメッセージになるんじゃないかと、実は思っていたんですけどね。サザンとしては、スタッフも含めて、東北のことを忘れないし、まだ震災は終わっていませんから」と、その思いを明かしていた。

 「TSUNAMI」をアルバムの1曲目にするのはディレクターの提案によるもので、桑田も聴いてみて、「これはいいんじゃないか」と納得したという。そして、いつ以来になるのだろうか、桑田の曲紹介で「TSUNAMI」がオンエアされ、<風に戸惑う弱気な僕 通りすがるあの日の幻影>と、聴き慣れたはずのフレーズが新鮮に響き、あらためて感動したファンも多かっただろう。東日本大震災の被災者の耳にも優しく届くようにと、願わずにいられなかった。

 50枚目のシングル表題曲「愛と欲望の日々」に、“Mommy” sideの1曲目に収録された「東京VICTORY」、そして、「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」と、『海のOh, Yeah!!』収録曲が続けてオンエアされ、それだけでも充足した気分になるのだが、この日の放送はそれだけでは終わらない。同アルバム収録曲で、原由子歌唱による「北鎌倉の思い出」の初オンエアだ。

 新曲のオンエアに際し恒例となっている、桑田による歌詞の朗読が始まる。移りゆく季節とともに、北鎌倉の美しい情景が描かれ、歴史の上に佇む儚さが伝わる、叙情的な歌詞だ。そしてオンエアされた楽曲を聴けば、管弦の音色が静謐さを感じさせながら、明るく柔らかな印象が残る。原の歌声と、それに寄り添うような桑田のコーラスが心地よく、幻想的な“思い出”の中に迷い込むような没入感があった。

 ファックスやメールでもさっそく、「胸に染み入るメロディと、原さんの優しい歌声に心がほっこりしました。懐かしくも、この時代を生きる中で変わりゆくさまざまなことへの寂しさなど、いろいろな思いがこみ上げてきました」「きれいな言葉が重なり、鎌倉の四季の移り変わりが目の前に浮かび上がってきました」とのたくさんの感想が寄せられていた。

 社会の矛盾を飲み込んで戦う全ての人々への賛歌である「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」、この日の放送のオープニングを飾り、憂鬱を吹き飛ばす爽やかな風を吹き込んだ「壮年JUMP」、そして幻想的な美しさを湛えた「北鎌倉の思い出」と、今回のアルバムに収録された新曲が持つそれぞれのパワーに、バンドの充実ぶりを感じさせられる。そして、この日の放送を聴いてあらためて思うのは、「サザンオールスターズの楽曲は、夏の夜によく似合う」ということだ。約束された名盤『海のOh, Yeah!!』とともに、ドライブに出かける日が待ち遠しい。(文=橋川良寛)