『アベンジャーズ/エンドゲーム』サノス攻略の鍵はネビュラ!? アメコミファンが展開を予想
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いよいよ4月26日に公開する『アベンジャーズ/エンドゲーム』(以下、『エンドゲーム』)。10年以上に渡る壮大なサーガは描いたマーベル・シネマティック・ユニバース(以下、MCU)だが、本作をもってインフィニティ・ストーンとサノスを巡る物語は完結ということになる。しかしその全貌は公開直前にも関わらず、未だ明らかになっていない。コミックスを通じて今後の展開を予想すると共に魅力を解説していきたい。
参考:『アベンジャーズ/エンドゲーム』への期待 MCUの一大シリーズ10年の歩みを総括する
本作において、ベースになっている作品として挙げられるのが、1991年刊行の『インフィニティ・ガントレット』(以下『IG』)である。まずは『IG』がどういった作品なのか解説する。『IG』のストーリーは、無限の力を持つ6つのインフィニティ・ストーンを手に入れた異星人サノスが、死神(デス)の寵愛を得るために全宇宙の制覇に乗り出す。アベンジャーズをはじめとするヒーローたちは、サノスの野望を阻止すべく、全知全能ともいえる相手に立ち向かう……というマーベル・コミックスの中でもひときわスケールの大きい物語だ。冒頭ですでにサノスはインフィニティ・ストーンをすべて手に入れており、例の“指パッチン”によって全宇宙の人口を半分にしてしまう。いうなれば映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』以降の物語ということになる。神のごとき力を持ったヴィランに立ち向かっていく姿は、ヒーローの資質や神髄を追求した思わず熱くなってしまう内容であり、マーベル・コミックスの中でも指折りの傑作であるといえる。
さて、この作品では、鍵となる人物が2人いる。1人はアダム・ウォーロック。MCUファンならば、この名前を聞いてピンときた方も多いのではないだろうか。そう『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』のポストクレジットで黄金の肌をもつ惑星ソヴリンの女王アイーシャが「アダムが復讐をする」とつぶやき存在を匂わせていた人物のことである。コミックスでの彼は「エンクレイヴ」という悪の科学者集団によって作り出され、黄金の肌と髪、超人的な身体能力、回復能力、飛行能力、超感覚、天才的な頭脳に加え、テレパシーやエネルギーの操作能力、そして魔法まで身に付けた究極の人造人間である。
『IG』ではヒーローたちの筆頭に立ち、リーダーとして彼らをまとめ上げた。ファンの間ではサノス攻略の鍵としてささやかれていたが、監督のルッソ兄弟の発言から、『エンドゲーム』では登場せず「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の続編で登場すると思われる(参考元:https://comicbook.com/marvel/2018/05/07/adam-warlock-is-not-in-avengers-4/)。
もう1人の重要人物はご存知、サノスの娘であるネビュラだ。宇宙海賊だったネビュラは、サノスに捕えられ、腐りかけのグロテスクな姿に変えられてしまう。しかし戦いが混乱を極めた一瞬の隙をついてガントレットを奪い、本来の姿を取り戻し、今度はサノスを追い詰めていく、という展開を見せる。ちなみにこの時、ネビュラはタイムストーンの力で時間を逆転させてサノスによって消された人物を生き返らせるという離れ業を披露する。このことからネビュラは『エンドゲーム』においても重要な役割を担うのではないだろうか。
ここまでコミックスの展開をもとに映画について予想してきたが、アメコミ映画における原作コミックスの位置付けは、正確に言うと“原案”である。いずれもベースとなる物語は存在するものの、日本の漫画原作の映画のように明確に「この作品に準拠している」というものがないのである。例えば前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を例に挙げると、先述した『IG』をベースとしながらも、2013年に刊行された『インフィニティ』の要素も多分に含まれていたり、時代の違う様々なコミックスを混ぜ合わせて絶妙なバランスで成立させている内容である。MCU上ではコミックスは無視したオリジナルの展開、設定、キャラクターが無数に存在している。つまり映画オリジナルの世界観なのである。そしてコミックスと違うという部分が、まさにMCUの魅力であるとも言える。原作ファンであっても、そうじゃなくても誰もがその展開に驚き、感動することができる。もちろんコミックスを読んでいればより一層映画を楽しむことができるのもまた事実だ。
日本だったら「原作と違う!!」とか「これだから実写化は……」などと叩かれてしまいそうなものだが、そもそもアメコミは同一キャラクターを異なる作家が描くという手法によってヒーロー達を時代と共にブラッシュアップして描いてきており、またそれに伴うパラレルワールド(=マルチバース展開)の発生を当たり前のように認めている。こういった観点からもアメコミファンはコンテンツは常に刷新されるものという考えが根付いており、一つの原作が原点にして頂点! という意識がそこまで強くないのかもしれない。
いずれにせよ4月26日公開の『エンドゲーム』は皆が楽しめる作品であることは間違いない。(青木大空)