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Sonar Pocket、ファンとの約束の積み重ねで築いた10年の軌跡 アニバーサリーツアー最終公演レポ

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リアルサウンド

 Sonar Pocketが4月11日と12日に東京・NHKホールで、昨年10月にスタートした全国ツアー『Sonar Pocket 10th Anniversary Tour flower』の東京公演を開催した。12日は「平成最後の東京ワンマン」とのことで、名曲の数々や最新曲「好き」など、アンコール含めて全23曲を披露。7月20日に三重・ナガシマスパーランドで開催するソナポケ初の野外ワンマン『ソナポケスパーランド』に向け、期待が高まるステージを見せてくれた。

ソナポケ代表曲が満載の名曲ライブ

 始まる前から、楽しむ気満々で熱気に満ちあふれた会場。隣からは「超ヤバイ、どきどきするね」とカップルの会話も聞こえた。会場に「あなたのうた」が流れ、ライブの始まりを告げると、客席には一斉にブルーのペンライトが点灯し、まるで青い花畑のような光景が目の前に広がった。ド派手なEDMのサウンドに続けて、ステージにスモークが立ちこめる。そこに3人のシルエットが浮かび上がると、会場に大歓声が響き渡った。

 オープニングナンバーは、アッパーのダンスチューン「Phoenix」。最新アルバム『flower』の1曲目を飾った楽曲で、ホーンがまるでファンファーレのよう。eyeronのキレキレのラップが炸裂すると、観客も拳を高々と振り上げ〈オーオーオー〉と歌って盛り上がった。間髪入れず、ラテン調の「恋運命」を繰り出す。ko-daiの切なく情熱的なボーカルが響き渡り、DJブースのmattyの動きに合わせて、観客は手拍子をしたり、手を左右に揺らしてリズムと歌を楽しんだ。

 「東京の2日目、38公演目。ホールとしては、今日がファイナルになります。10周年の感謝の気持ちを本気で伝えたい」とeyeron。ステージを所狭しと駆け回りながら、客席のあらゆるところに目を向け手を振り盛り上げる姿はまさに全力で、そんな様子を見ていると、恥ずかしがっているのがバカバカしくなるほど。そんなeyeronの「全員で踊るぞ!」の声で、「やばば」では全員がコミカルなダンスを一緒に踊る。さらに「baby baby」では、キャッチーなサビの大合唱が会場に広がり、最後にはmattyも加わった3人でダンスステップを披露。最後にアイーンのポーズで決めてくれた。

 Sonar Pocketのデビュー10周年を記念したツアーということで、歴代の人気ナンバーも多数披露された。2008年のデビュー曲「Promise」は、ビジョンに映し出されるデビュー当時の懐かしい写真と共に歌声を届けた。「一緒に歌ってほしい」と、客席に声をかけたko-dai。先導するように歌詞のフレーズを伝え、観客がそれに続くと、それはやがて大きな合唱になり、ko-daiは「素敵な歌声をありがとう」と客席に微笑んだ。ピンスポットを浴びながら歌った「好きだよ。〜100回の後悔〜」は、2011年レコチョク年間ランキングで1位を獲得した、ソナポケの名前を広めた曲で、歌詞と自分の経験を重ねて涙する人がいるほど。この日も、歌詞の言葉一つひとつに浸るようにして、歌声に耳を傾ける観客の様子が印象的だった。さらに2011年の「365日のラブストーリー。」は、観客が手を振り手拍子をして、会場がひとつになって楽しんだ。アップテンポのサウンドに乗せて切ない恋心を歌い、サビでは「東京のみなさんにお任せしました」と、ko-daiが客席にマイクを向け、観客だけの歌声が会場に広がった。

 切ないばかりではなく、ユーモアたっぷりに会場を盛り上げる姿もSonar Pocketのライブでは風物詩だ。MCでは「3階席まで近づけるように、10センチの厚底を履いています」「この衣裳で、2回ほどチャック全開で出てしまいました」と、カミングアウトで会場を爆笑させたeyeron。ko-daiは、渋谷ハチ公前などで自撮りした写真をビジョンに映しながら「めちゃめちゃテンション高くいきますんで!」と、意気込んだ。ツアーを通して行われてきた「ご当地即興ソングコーナー」でも、それぞれのキャラクター性を発揮して会場を沸かせる。ko-daiは「竹下通り」をテーマに、mattyが弾くアコースティックギターに合わせて、フォークソング調の極上メロディを披露。eyeronは「東京スカイツリー」がテーマに選ばれ、「え〜待って待って、どうしよう〜」と戸惑いながらも、mattyのアッパーのギターに合わせて「ツツツツスカイツリー」と、コミカルな曲を披露。ノリの良さに惹かれて「ツツツツ」と会場が一体となって歌い、予想以上の盛り上がりにeyeronもご満悦だった。

ソナポケがファンと交わした新たな約束

 背中をやさしく押してくれる応援歌もSonar Pocketの側面だ。「もしあなたが負けそうになった時は、この曲を思い出してください」と歌った「つぼみ」。〈負けるな〉というストレートでシンプルな言葉が胸に突き刺さる。真ん中でギターを弾きくmattyを取り囲むようにしてko-daiとeyeronが向かい合って歌う姿も印象的だ。また「顔晴れ」では、観客は3人のエールに押されるようにして、〈オイオイオイ!〉と声を出して、天井に向けて拳を突き上げた。

 終盤はお祭りのような騒ぎ。「ソナポケ☆DISCO」では、ステージ上の大きな箱の中にメンバーが入ったと思ったら、箱からキッズダンサーが登場するイリュージョン的な演出でも盛り上げた。観客には親子連れや小さいお子さんも多く、楽しいダンスを子どもも一緒に踊る。サンバ調の「ホイッスル!!!」ではタオルを回して、〈ワッショイ〉の声に合わせて声をかけ、客席からもホイッスルが鳴り響く。mattyがエレキギターのソロを聴かせたほか、みんなのノリの良さにeyeronが客席に飛び込むハプニングもあった。

「デビューして漠然と夢を追いかけ、小さな目標を一つひとつクリアしてきたのが俺たちです。いきなりでかいことができるヒーローなんかじゃない。立ち止まって振り返ったこともあった。小さい目標を積み重ねることで、大きな目標を叶えてきた。次の目標は、7月20日に三重で開催するソナポケスパーランドです。交通費と宿泊費を払っても、おつりがくるくらい楽しませるから!」(eyeron)

「みんながいたから歩み続けてこられた。さまざまな感情を共有して。まだ叶えていない夢もある。最後まで見届けてやろうと、思ってもらえるアーティストになります」(matty)

「今日のあなたの笑顔と歓声に救われました。僕らはあなたの笑顔が見たくて、もっとSonar Pocketでいたいと思いました。あなたがいるから、3人はSonar Pocketでいられるんです。もっといい曲、いいライブをお届けできるように、力を合わせて頑張っていきます」(ko-dai)

 今の気持ちを三者三様の言葉で表現した彼ら。本編最後には「あなたのために書いた曲です。あなたのことを思って、何度も何度も書き直しながら書いた、この曲を最後に歌わせてください」と、「flower」を歌った。スケールの大きなミディアムのサウンドに乗せて、胸に手を当てながら、思いを伝えるようにして歌った3人。〈これからも この先も 君と笑顔の花を咲かせ続けよう〉というフレーズが、聴く者の胸に響く。「Promise」で始まったSonar Pocketの活動は、ファンとの約束の積み重ねだ。この日もまた、これからも笑顔でいられるように、ずっと曲を作り続け、ずっと歌い続け、ずっとステージに立ち続けることを、NHKホールに集まったファンと約束してくれた。

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。