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9mm Parabellum Bulletはなぜ15年間輝き続ける? 特別な場所・野音でのフリーライブを見て

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 9mm Parabellum Bulletが、結成15周年を記念して『9mm Parabellum Bullet ~15th Anniversary~『東西フリーライブ』を開催した。東=東京公演は、4月14日の日比谷野外大音楽堂。事前に入場券抽選受付を行ったところ、なんと総数約2万人もの応募があったことから、急遽1日2回公演と相成った。ここでは、1公演目の模様をレポートしたい。

(関連:菅原卓郎&滝 善充が語る、キツネツキを通して気づいたこと「9mm自体の面白さを見つけた」

 天気予報は、曇りのち雨。ハラハラする空模様とライブ前のドキドキが入り混じる空気を切り裂くように、爆音のSEが響き渡り、15周年バージョンのバックドロップがせりあがる。そしてステージにメンバー4人と、サポートギターの武田将幸(HERE)が登場! 早くもテンションのダムが決壊しそうな客席とは裏腹に、バンドはマイペースな雰囲気をたたえていた……が、1曲目「Living Dying Message」を鳴らしだすとバチーンとスイッチが入る。あっという間に狂気と歓喜が渦巻く轟音に支配されて、「ああ、これぞ9mmとしてプロフェッショナルなライブである!」と思わずにはいられなかった。

 日比谷野音は椅子席であるため、1曲1曲のオーディエンスのリアクションが鮮やかに伺えた。「Survive」のイントロで、前の席にいた女の子が、隣にいた男の子に嬉しそうに微笑んだ表情。瞬時に血が沸き上がる「Cold Edge」の歴史を経てきたならではの一体感。高まる熱気の中で、中村和彦(Ba)はグルグルと回り、滝 善充(Gt)は台の上でギターを掲げ、菅原卓郎(Vo/Gt)はエモーションを帯びた歌声で、そしてかみじょうちひろ(Dr)は一打一打で心を射抜くように、自分たちの今を表現していく。屋台骨のような武田のギターも、今の9mmのサウンドにフィットしていた。

 「ちょっといい天気すぎるから……これからもっと最高になるんで、みんなぶっ飛ばしてくれますか?」と、今にも泣き出しそうな曇天に向けてチャーミングに宣戦布告する菅原の言葉に、大歓声で応えるオーディエンス。実際に、最後まで雨が降らなかったのだから、9mmとオーディエンスの破格のパワーは、ここで実証されたと言っても過言ではない。

 とにかく、この日の9mmのパフォーマンスは“気持ちよかった”。野音という開放的な会場も影響していたとは思うが、阿吽の呼吸で決まるユニゾンや、スムーズにノれるスピード感が、歴史を凝縮した鉄壁のセットリストの中で存分に発揮されていたのだ。特に会場との親和性を感じたのは「黒い森の旅人」。木々とビルの間を突き抜ける伸びやかな歌声に身を委ねると、異世界にいるような感覚に陥ることができた。

 続くMCで、菅原が今日のライブが過去の野音の模様も含めた映像作品になることを告げる。9mmとファンにとって野音は特別な場所だ。滝の腕の不調があった2016年、そしてリベンジを果たした2018年。15周年という節目のフリーライブがこの場所で行われたことも、意味を感じずにはいられない。その物語の刻み方、そのものが希望にも思えてくる。続いて演奏された「名もなきヒーロー」の〈生きのびて会いましょう〉という言葉が、身に染みて聴こえてきた。

 ハンドクラップが祝祭のように響いた「Discommunication」、シンガロングが美しかった「Termination」、そして武田も含めてフロントの4人がピッとセンターに集まったところがカッコよすぎた「新しい光」と、文字通り光の中に連れていくようなエンディング。全11曲、1時間という、長くはないライブだったが、彼らの偉業を噛み締めるには十分だった。打ち上げ花火のようにロックシーンに現れた彼らが、15年もの長きにわたって輝き続けているという事実。それは大げさではなく奇跡的なことだと思う。これからツアーもあるし、アルバムのリリースも控えている。引き続き追いかけたい。(取材・文=高橋美穂)