『名探偵ピカチュウ』監督が、キャラクター造形へのこだわりを語る!
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ロブ・レターマン監督
世界的な人気を誇る日本発祥のゲーム“ポケットモンスターシリーズ”の『名探偵ピカチュウ』をモチーフにハリウッドで実写映画化された『名探偵ピカチュウ』。本作でメガホンをとったのが『モンスターVSエイリアン』や『ガリバー旅行記』などアニメ、実写のそれぞれで監督経験があるロブ・レターマンだ。キービジュアルのピカチュウを観ただけで“抱きしめたくなってしまう”ような愛らしいポケモンたちを誕生させたレターマン監督が、作品への強いこだわりを語った。
探偵帽をかぶってつぶらな瞳で見つめるピカチュウ。このビジュアルを見ただけで、手を差し伸べたくなるような感覚になった人も多かったのではないだろうか? 事故にあった父親ハリーを捜すために、ポケモンと人間が共存する街ライムシティにやってきた主人公のティム(ジャスティス・スミス)。そこで遭遇したのが、ハリーの相棒だったピカチュウだ。
レターマン監督は「“ポケモン”の実写化は今回初めてということで、とにかくファンの方が実写作品を観たときに気に入ってもらえるためにはどうしたらいいのか、原作者やゲーム会社の方と綿密にデザインの調整は話し合いました」と明かす。
特にこだわった点は「リアリティ」だという。実際、実写として描かれている街に、数々のポケモンたちが普通にいる光景に違和感はまったくない。特にピカチュウに関しては、ズームで寄ったときの“生きている感”は半端ない。「ピカチュウに関しては、原作のデザインを忠実に描くことは前提として、観ている人に『抱きしめたい』と思ってほしかった。毛1本1本すべてコンピューターでシミュレーションして、風で毛がなびく感じや、濡れてしまったとき、泥にはまって汚れてしまったとき、すべて綿密に計算しながら、現実世界で存在する説得力を持たせることに注力しました」
ロンドン、モントリオール、バンクーバー、インドなど世界各国のビジュアルエフェクトのアーティストたち総勢1000人以上が、ポケモンたちのデザインに関わった。実写の撮影も、フィルムでレンズにもこだわり、ライティングも最新の技術を駆使し、作り上げたポケモンたちが溶け込んでも違和感がないように細心の注意を払った。「一流のプロたちの英知が結集した作品」とレターマン監督も胸を張る。
そんなキャラクターたちに彩りを添えているのが、ティム役のジャスティス・スミスや、相棒となるルーシー役のキャスリン・ニュートン。さらにはピカチュウの声を担当したライアン・レイノルズだ。レターマン監督は「彼らはみなポケモンへの愛にあふれている。特にキャスリンはアーティストとしても活躍していますが、彼女が最初に描いた絵がピカチュウだったと言っていました。本当にスタッフ、キャストすべてがポケモンを愛している。この作品は、ポケモンに対するラブレターなんです」と熱い思いを吐露した。
また日本発祥のポケモンを題材にした作品なので「どうしても日本人キャストに参加してほしかった」とレターマン監督は思いを打ち明ける。物語のカギを握るヨシダ警部補役として渡辺謙、ティムの日本語吹替え版を担当する竹内涼真が、ポケモントレーナー役でカメオ出演している。
「もともと僕は謙さんの大ファンだったんです」とレターマン監督は笑顔を見せると「今回製作にあたったレジェンダリー・ピクチャーズは以前、謙さんも出演していた『GODZILLA ゴジラ』を手掛けていました。そのつながりで、プロデューサーに『ぜひ謙さんにオファーしてほしい』と懇願したんです。ライムシティには東洋と西洋をミックスした佇まいが必要でした。存在感のある日本人俳優に出演してほしかったんです」と経緯を語る。
一方、竹内に対しては「昨年行われた東京コミコン前日の記者発表会のとき、竹内さんと初めてお会いしました」と語ると「そのあと一緒にディナーに行って、出演のオファーをしました。すごく忙しいなか、奇跡的にクリスマス休暇の1日、スケジュールが合い、ロンドンで撮影したんです」と当時を振り返った。
「すべての世代に満足していただけるように」と登場するポケモンたちのチョイスにもこだわったというレターマン監督。インタビュー中、何度も「ファンのために」という言葉が出てきたが、原作にリスペクトし寄り添いつつ、新たなポケモンの世界が堪能できる本作。最後に「多くの世代がひとつにつながってくれれば」と映画に込めた思いを語ってくれた。
『名探偵ピカチュウ』
5月3日(金)より日本先行公開
取材・文・撮影:磯部正和
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