ノゾエ征爾の新作『りんごが落ちる』新国立劇場で開幕 金澤菜乃英「私たちからのエールが届きますように」
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2025/2026シーズン いま、ここに──[3]『りんごが落ちる』より 右から)山口森広、梅舟惟永、大西多摩恵、浜田学、宮川安利 (撮影:阿部章仁)
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すべて見る新国立劇場の小川絵梨子演劇芸術監督にとって任期最後のシリーズ企画となる「いま、ここに──」のラストを飾る、ノゾエ征爾の新作書き下ろし、青年座の新鋭・金澤菜乃英演出による『りんごが落ちる』が、2026年6月13日に東京・新国立劇場 小劇場で開幕した。本稿では舞台写真とともに、演出の金澤、出演者の浜田学、山口森広、梅舟惟永、宮川安利、大西多摩恵のコメントを紹介する。
現代を生きる人々が抱える心の痛みや生きづらさを、ノゾエの誠実でユーモアあふれる筆致により愛情いっぱいに描き出した本作。物語の主人公は、久々の主演舞台の初日に突然セリフを忘れ、ラスト10分を沈黙劇にしてしまった舞台俳優・田端光太郎。その夜、ひとり台所に立つ彼のもとへ、日常に「行き詰まった」人々──学生時代の演劇部の後輩・猿橋、出演舞台の演出家・鴨川、隣の家に住む鶴野が次々と訪ねてくる。さらに、兄を心配する妹・夢子から連絡が来るものの、ふたりの会話は噛み合わない。言えなかったセリフ、届かない言葉、溢れ出す本音──。それぞれの人生で止まってしまったセリフたちは、果たして再び動き出すのか……。時間や空間を飛び越え展開していく、まさに演劇の醍醐味が詰まった作品だ。
ノゾエらしいユーモアにあふれた台詞に客席からは度々笑いが起きる一方で、それぞれの不器用な心情が繊細に紡がれていく。終幕、舞台上にそっと灯るささやかな希望を見事に描き切ったカンパニーに対し、初日の客席からは熱い拍手が贈られた。


初日に際し、金澤は「立ち止まったり足踏みしたり、思わず目を伏せたり耳を塞いだり、そんな時間があるからこそ自身と向き合えて、隣にいる人の存在の大きさに気がつくような。観劇中や終演後、大切な人を思い出すような瞬間がありましたら幸いです。観て下さった皆様に、私たちからのエールが届きますように」とコメントを寄せた。公演は2026年6月28日(日) まで。
撮影:阿部章仁
<公演情報>
2025/2026シーズン
いま、ここに──[3]『りんごが落ちる』
作:ノゾエ征爾
演出:金澤菜乃英
出演:浜田学、山口森広、梅舟惟永、宮川安利、大西多摩恵
2026年6月13日(土)~28日(日)
会場:東京・新国立劇場 小劇場
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2668131
『りんごが落ちる』演出&キャストコメント全文
■演出:金澤菜乃英
いよいよ開幕しました! “世界初演”、新作書き下ろしの醍醐味です。
日常生活を送る中で、時々堪らなく息苦しくなることがある。「頑張る」って、自分の体感と他者から見た様子に落差がある気がします。自分の中で思っているだけでは伝わらない、まとまらなくても少しずつ言葉を発していく、次第に会話として掛け合っていく、だんだんと波動が生まれて、少しずつ自身の中の凝り固まったものが変容していく。そんな感覚がこの作品に散りばめられています。
立ち止まったり足踏みしたり、思わず目を伏せたり耳を塞いだり、そんな時間があるからこそ自身と向き合えて、隣にいる人の存在の大きさに気がつくような。観劇中や終演後、大切な人を思い出すような瞬間がありましたら幸いです。
観て下さった皆様に、私たちからのエールが届きますように。
■田端光太郎役:浜田学
とうとうこの日がやってまいりました。
『りんごが落ちる』初日を迎えました。
そして田端と私はこれから千秋楽まで毎日、舞台の初日を終えた夜を迎えます。
なんて贅沢な毎日なのだ。
役者として背筋が凍るような恐ろしい毎日を過ごす事にもなるわけだけど、そんな初日の夜の不可思議な体験を皆様と一緒に面白おかしく味わえればと思っております。
そして、その行き着く先に少しでも明るい未来が見えることを願っております。
■猿橋通役:山口森広
稽古中はずっと、ノゾエさんの頭の中を、みんなでグルグル冒険しているような感覚でした。
皆で試行錯誤していると、毎日たくさんの発見があり、それは宝箱をみつけるように楽しい探索でした。
隊長の菜乃英さんは、我々隊員を心強く導いてくれています。
この芝居は良い意味で安定してはいけないと思います。人間そのものが不安定な生き物ですから、千秋楽まで、不安定なまま、僕らの頭の中の冒険は続くのだと思います。
この、不安定で、弱くて、優しくて、滑稽な登場人物たちをぜひ観に来てください。
最後はきっと、ちょっと元気になるはずです!
■鴨川言役:梅舟惟永
『りんごが落ちる』ついに開幕いたしました。座組のスタッフキャストの皆様がとにかく格好良くて温かくて尊敬することしきりで、なんて幸せな環境なんだろうと一日一日を噛み締めてきました。
この愛すべきチームの醸し出す唯一無二の空気感をぜひともお客様に味わっていただきたいです。作品に取り組む中で、たくさんの愛や思いやりを受け取りました。
どうかお客様の心にも温かい灯りがともりますように。劇場でお待ちしております!
■田端夢子役:宮川安利
この1カ月半、
演出・金澤菜乃英さんに導かれ、この戯曲『りんごが落ちる』を通して、「人間」に向き合ってきたような気がしています。
私という人間。他者という人間。
面倒くさくて、身勝手で、不器用で、それでもどこか愛おしい。
戯曲の中に出てくる人たちを見ていると、
「こんな人いる!」
「あの人に似てるな」
「あれ、これ私かもしれない」
そんなふうに、誰かや自分自身と重なる瞬間があります。
劇場を出る頃には、自分や誰かのことを、少しだけ優しく見つめられる。そんな時間になったらうれしいです。
劇場でお待ちしております。
■鶴野郷美役:大西多摩恵
初めてのノゾエ征爾さんの世界に、どっぷりと浸かって?ハマって?しまっていた数カ月も、とうとう初日を迎えました。
演出の金澤菜乃英さんと、俳優、スタッフ、全員一緒になって、ひとつひとつの輝きにときめきながら、ジグソーパズルのピースのようなその台詞を、ト書きを、拾い上げては繋げ続けて来た稽古場。
劇場で、お客様がまたひとつのピースをつなげてくださる予感がしています。
たくさんのお客様と一緒にこの輝くピースをつなげ続けたい!
「ヒーローがあなたのご来場を待っています!」
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