ピーズ、超満員の渋谷クラブクアトロで39周年を祝福「10年前も60年先も」と鳴らした夜
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ピーズ『サンキュー人生リーチ平和1発! ピーズ39年ワンマン』
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すべて見るText:兵庫慎司 Photo:たたみ
2026年6月9日、渋谷クラブクアトロにて、『サンキュー人生リーチ平和1発! ピーズ39年ワンマン』と銘打って、ピーズがライブを行った。6月9日は、ピーズが今はなき下北沢屋根裏にて、初めてライブを行った日で、毎年この当日(もしくは近辺の日)に、ライブを行うのが恒例になっている。2017年の初の日本武道館ワンマンも、6月9日だった。その時は初ライブから30周年で、今回は39周年である。
開演時刻の19時きっかりに、SEのサンハウス「なまずの唄」が止まり、ステージに現れたはる(大木温之)の第一声が、「あのー、なんで、平日なのにこんなに集まれるの? サンキュー!!」だったほどの、超満員のオーディエンスが集結した。はるのギターアンプの上には、花の鉢が2つ。普通はロビーか楽屋に置くお祝い花を、そこに飾ったのだろう。なお、はるは1年くらい前から、ステージ上での自身の立ち位置をセンターから左に移したが、この日はまたセンターに戻っていた。

現在のピーズが普段、月に1〜2回くらいのペースで、新宿紅布や横浜F.A.Dや、千葉LOOKや荻窪TOP BEAT CLUBで行っているワンマンは、3時間ちょっとの尺で、曲数は40から43ぐらい。はる本人に確認したわけではないが、(トラブルや身体の不調がなかったとしても)今日が最後のライブになってもいいように、やれることをすべてやりきりたい、という気持ちで、1本1本のライブに臨んでいるからだと思う。という、普段のライブと比べると、この日はトータルで37曲、尺は2時間40分と、ちょっとコンパクトだった。これも本人に確認したわけではないが、ファン全体の年齢層や、年に一回この日だけピーズを観に来る人のことなども考慮して、そうしたのかもしれない。37曲の内訳は、前半17曲、休憩3曲、後半9曲、アンコール8曲。「休憩3曲」というのは、はるが休憩を宣言し、ベースのみったん(岡田光史)とドラムの茂木左はステージからはけるが、はるとアビさん(安孫子義一)はそのまま残ってふたりで弾き語りで曲をやるので、全然休憩にならない時間のことである。




先に書いたはるの言葉からの1曲目「手おくれか」で、ライブがスタート。サビの「手おくれか 手おくれさ 手おくれさ」を、はるは「手おくれか 手おくれさ イェイ、幸せだぜ!」と歌い、曲終わりで「この手おくれどもがー! なんもかも手おくれだぜ! 手おくれのあっち側へー!」と叫んで、次の「生きのばし」へ入る。その「生きのばし」も、次の「とどめをハデにくれ」も、オーディエンスのポゴダンスと歓声とシンガロングがすごい。後者の「最低だ最低だ最低だ」は、もちろん「最低だ最低だ最高だ」と歌われる。


次の「東の窓」でちょっとクールダウンし、まだ音源になっていないという意味では新曲だが、もうそこそこ長いことライブでやっている「アビリフ」を終えてから、最初のMCへ。はる、「39周年になってしまいました」と挨拶してから、アビさんに「アビさんが選んだの? あのSEは」。「もちろんそうだよ」「ダメじゃないか、79周年の音楽をかけちゃったらさ。俺たちまだ39周年なのに」。サンハウスの菊(柴山俊之)の、79歳の誕生日も今日なのだ。彼は下北沢CLUB 251でライブ。はるは後半のMCでも「下北沢、あっちはもう終わったかな」と、気にしていた。
「今日もアビさんは2時間ぐらいがんばるそうです」「2時間で許してくれるわけねえじゃねえか」という掛け合いのあと、みったんのおかげではるの敷金が返ってきた話や(詳細は不明だが「それだけで俺、3カ月ぐらい元気」とのこと)、ドラムの茂木左が骨折をひた隠しにしていた話をしてから(肋骨らしいです)、2ブロック目へ。今年(2026年)の2月頃からライブでやり始めた、ロックンロールな新曲「SDMR」(サドンデスマッチレース)、この季節にジャストな「初夏レゲ」と、ピーズのレパートリーの中では軽やかな2曲を経て、「三度目のキネマ」でもう一度オーディエンスに火を点ける。「リサイクリン」の中盤では、アビさんがマイクを持ち、前に出て、「♪は〜るばるきたぜ39周年」と「函館の女」を熱唱、咄嗟にオーディエンスも「のりこえてー!」とコールを返す。そのアビさんの歌は、「男はつらいよ」へと進んでいき、それを終えてから怒涛のギター・ソロへ──という謎の展開になる。


10曲目は、この日二度目のクールダウン、というか、聴き手をどっぷり曲に浸らせる時間になった「絵描き」、11曲目は間奏やブリッジでオーディエンスが入れるハンドクラップがきれいに揃った「サマー記念日」。曲を終えてはる、「『サマー記念日』をやれる季節がやって来ましたね」、アビさん「1年中やってるよ」という会話から、39年前の初ライブの話や、はるとアビさんの出会いの話になる。それから、今のところの最新音源『2021』収録の「さらばボディ」、そして名曲「実験4号」。普段全然意識しないが、この曲がリリースされたのはアビさんが脱退した後だったことを、聴きながら思い出す。
「何もできない」と「人ゴミの中にまぎれて このままでいよう」の間に「夕焼け空が ダイダイ」というラインが入るところが印象的な「このままでいよう」を経て、「脳ミソ」でフロアを沸騰させ(「取っちまいたい」の大合唱、すごいボリュームだった)、今の4人になって最初の音源『Summer Session 2019』からの「フォーリン」と、これも数年前からやっているが未音源化の「ドサクサ」。ここまでが前半で、先に書いた休憩ゾーンに入る。「バカのしびれ」「喰えそーもねー」「ゴーラン」の3曲だった。歌う前にはる、奇妙礼太郎が7月3日に初の日本武道館公演を行うことや、今度の土日にSHISHAMOの最後のライブがあることに触れる。はるは日曜に行くそうです。4曲目の「東の窓」は、SHISHAMOに捧げた、とのこと。SHISHAMOのライブは、開演前と終演後のBGMがすべてピーズの曲なのだが、ライブが終わった時に必ずかかるのが「東の窓」だから──と説明するはるに、アビさん、「知ってるよ、そんなん」。

敷金が返ってきたことにもう一度触れる(よほどうれしかったらしい)、などのMCを経て、後半は「Sweet Little 60」でスタート。これも新曲で、還暦の年になった2025年の4月頃からライブで披露している。言うまでもないが、チャック・ベリーの「Sweet Little Sixteen」をもじっている。
2017年の日本武道館のタイミングでリリースしたシングル『異国のブラボー』から「ブラボー」。はるが酒を断った時に作った「温霧島」。アビさんのギター・ソロが最高な「脱線」。はるが「いずれジジイだぜ」を「とっくにジジイだぜえ!」と歌って歓声を浴びた「底なし」。フロアのうねりとシンガロングがひときわ激しくなった「いいコになんかなるなよ」。イントロのアビさんのリフに合わせてオーディエンスが左右に腕を降る(のが2017年の日本武道館から恒例になった)「焼めし」。「フォーリン」と同じくこのメンバーになって最初にリリースした「プリリヤン」。そして、後半で歌も2本のギターもベースもドラムもすさまじい激しさになった「どこへも帰らない」で、本編が終了する。

「火曜日なのにこんなにいっぱい集まってもらえて幸せです。また今度、40周年、どこでやんのか知んないけど、そのうち、イスのあるところでやれたらいいかな」
という、はるのお礼の言葉から始まったアンコールは「ノロマが走ってく」「ドロ舟」「体にやさしいパンク」「どっかにいこー」「デブジャージ」「赤羽ドリーミン(まだ目は覚めた)」「Yeah」「グライダー」。「ノロマが走ってく」ではメンバー全員がサビで声を揃え、「ドロ舟」ではオーディエンスみんなが声を揃えた。「どっかにいこー」は、リリースから36年経っても、どうしようもなくせつなく響く。いつものように「デブジャージ」を歌って歓声を浴びたアビさんは、曲を終えて、うめくような声で「最高だよ」。


最後は、最初期の曲である「Yeah」と、一度目の活動休止明け最初のアルバムのラスト曲であり、2017年6月9日の30周年の日本武道館でも、2022年6月8日の35周年の豊洲PITでも、アンコールの最後に演奏された「グライダー」で、この39周年ライブは終わった。「Yeah」の後半で一度、曲を終えてもう一度「サンキュー人生!」と叫んだはる、「グライダー」の「10年前も 10年先も」を、最後に「10年前も60年先も」と歌う。そして、「元気でねー、できるだけ。またね、ありがとうございました」と挨拶して、ステージを下りた。
次は来年=40周年、日本武道館からもう10年。日本武道館の時は、終わった後のスケジュールは白紙だったが、今回は、以降もいっぱいライブが入っている。来年はどこでやるのか、今から楽しみである。
6月9日に毎年のようにライブをやらせてもらっている、毎年この日は会える、今日も元気で会えてよかった──と、後半の入りのMCで、はるに感謝を捧げられたイベンター、有限会社ヴィンテージロック代表若林敏郎氏に期待したい。

<ライブ概要>
ピーズ『"サンキュー人生リーチ平和1発! ピーズ39年ワンマン”』
2026年6月9日 渋谷CLUB QUATTRO
ピーズ オフィシャルサイト
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