八代目尾上菊五郎が語る歌舞伎とテクノロジーの融合、『道成寺』への思いと「MoN歌舞伎舞踊公演」
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すべて見る2026年3月に東京・高輪にオープンしたMoN Takanawa: The Museum of Narrativesの開館記念プログラムとして、7月2日(木)から5日(日) 、MoN Takanawa: The Museum of Narratives Box1000にて「MoN歌舞伎舞踊公演」が開催される。100年先へ文化をつなぐ礎として、現代の最高峰の技芸と映像をあわせて上演し、新しい歌舞伎体験の場を実現する。その第一弾となる本公演で、八代目尾上菊五郎が『京鹿子娘道成寺』白拍子花子を演じる。菊五郎による口上で幕開け、上村吉太朗による「解説 歌舞伎のみかた」、さらにはドキュメンタリー映像も上演される本公演を前に、菊五郎が『道成寺』への思い、伝統とテクノロジーの融合について語った。
──菊五郎さんは昨年5月、襲名披露興行で『京鹿子娘道成寺』白拍子花子を、坂東玉三郎さん、ご長男の尾上菊五郎さんとともに演じられました。安珍・清姫の伝説を題材にした「道成寺物」の集大成とされる作品ですが、菊五郎さんにとってどのような意味を持つ演目なのでしょうか。
私たち音羽屋にとってとても縁のある演目です。10代の頃、祖父の七代目尾上梅幸、父の七代目尾上菊五郎とともに『三人道成寺』を勤めました。当時の私は、女方の舞踊は全く手に入っていませんでしたが、祖父が厳しい稽古をつけてくださり、父と祖父と三人でさせていただいた『道成寺』が、自分の至らなさに気づかせ、音羽屋に生まれたという自覚を持たせてくれました。それから『夫婦道成寺』や『二人道成寺』とさまざまな『道成寺』に取り組み、あどけない少女から恋を知った女性、壮年に至る「女方百体」を、『道成寺』という舞踊の型で学ばせていただきました。
──花子をどのように捉え、演じていらっしゃいますか。
安珍に対する思いを捨てきれずにいる花子が、輪廻転生し、白拍子の形で出てくるわけですが、最初の部分でいつも必ず思うのは、花子自身は常に解脱したいけれどできないでいる。その思いと、執念、恋心が舞台で絡み合うところが、この作品の面白いところだと思います。
──伝統、またそれを継承するということへの思いをお聞かせください。
伝統とは、決して凝り固まったものではなく、その魂を受け継ぎ、本質として守らねばならないものは何かということを考え、どのようにしたら時代時代のお客さまにお届けできるのかということを創意工夫することだと思います。守るべきものを守り、変化を恐れず、本質を変えずにお客さまに伝えることこそが、「かぶく」ということだと思っています。
──では、新しいテクノロジーを用いての歌舞伎の上演についてはどのように捉えていらっしゃいますか。今回の公演ではLEDビジョンを活用されるそうですね。

お客さまに技術をお伝えすることが目的になってはならないと思っています。あくまでも、我々が守ってきた伝統を、テクノロジーの力をお借りしてお伝えする、ということですね。たとえば、いまはもう歌舞伎の舞台で当たり前となっている廻り舞台は、場面転換をスピーディーに行うことでお客さまを飽きさせないようにするものでしたし、宙乗りはお客さまと役者との距離を縮め、役柄の心情にもっと寄り添ってもらえるようにする工夫です。それは歌舞伎とテクノロジーとの融合でした。今回もLEDを使うことで、花子の心情、『道成寺』の舞踊の詞章、景色に、お客さまがより近づけるような工夫、演出ができれば、もっと『道成寺』の魅力を感じていただくことができるのではないかと思っております。
──MoN Takanawaでの歌舞伎公演で、今後取り組んでみたいことはありますか。
高輪には泉岳寺がありますね。『忠臣蔵』を上演するときには必ずお参りに行き、赤穂浪士の魂に手を合わせます。私はMoN Takanawaでぜひ『忠臣蔵』をやりたいと思っているんです。『仮名手本忠臣蔵』そのままでなくても、新作歌舞伎のような形でもいいですね。『忠臣蔵』といわれてもわからないという世代の方が多くなり、『忠臣蔵』が描く武士道は現代から遠く離れたものかもしれませんが、人を思う心はあの時代も現代も変わりません。古典の力を通じて、日本人の美意識、日本人が大切にしてきた人を思う心を、テクノロジーの力も使いながらお伝えできるような舞台づくりができたら、と考えています。
──ではあらためて、今回の舞台への意気込みをお聞かせください。
稽古を重ね、今回はテクノロジーを使いながら、お客さまに『道成寺』の世界により没入していただけるよう、自分もまた新しい花子に出会えるよう、日々精進、日々努力して、舞台に向かいたいと思います。
<公演情報>
「MoN歌舞伎舞踊公演」
一、口上
八代目尾上菊五郎
二、解説 歌舞伎のみかた
上村吉太朗
三、ドキュメンタリー映像
四、京鹿子娘道成寺
白拍子花子:八代目尾上菊五郎
所化:上村吉太朗
所化:市村橘太郎
2026年7月2日(木)~5日(日)
会場:MoN Takanawa:The Museum of Narratives Box1000(JR東日本 高輪ゲートウェイ駅直結)
公式サイト:
https://montakanawa.jp/programs/takanawa-kabuki/
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