聴き手を演奏家の世界へ。横浜市招待国際ピアノ演奏会の魅力
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©藤本史昭
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すべて見る今年11月7日(土)に横浜みなとみらいホール 大ホールで開催される「第44回横浜市招待国際ピアノ演奏会」に向けたプレイベントが、6月8日、横浜市役所アトリウムで開催された。
入場無料で行われたイベントには多くの来場者が詰めかけ、会場は満席。司会を務めた朝岡聡の進行のもと、企画委員長の海老彰子と、今年から企画委員に加わったピアニストの福間洸太朗が登壇し、本演奏会に出演する4人の若手ピアニストの魅力や、11月公演への期待を語った。
1982年に始まった横浜市招待国際ピアノ演奏会は、国際舞台で活躍する若手ピアニストを世界各国から招き、その才能を横浜から発信してきた演奏会シリーズだ。これまで200人を超える演奏家が出演し、世界の舞台で活躍するピアニストも数多く生まれている。
今秋の第44回公演に出演するのは、アリエル・ラニ(イギリス)、カラム・マクラクラン(イギリス)、ドミトリー・ユージン(アメリカ)、そして中川優芽花(日本)の4人。いずれも国際コンクールなどで高い評価を受け、今後の活躍が期待される若手ピアニストたちだ。

プレイベントでは、出演者それぞれの個性や演奏予定曲が紹介された。福間は、アリエル・ラニについて知的で冷静な表現力、カラム・マクラクランについては独自の視点を持つプログラム構成などに触れた。また、ドミトリー・ユージンについては、海老が「これからが楽しみな演奏家の一人」と期待を寄せた。
中川優芽花はビデオ・メッセージで登場。前回の横浜市招待国際ピアノ演奏会を客席で聴いた経験に触れ、「大きな刺激を受けた」と振り返り、今回出演者として舞台に立てることへの喜びを語った。演奏予定曲についても紹介し、ショパン《ノクターン Op.62-1》やラヴェル《ラ・ヴァルス》への思いを語った。
さらに、中川優芽花の演奏データをヤマハの自動演奏システム「Disklavier(TM)(ディスクラビア)」で再現する特別企画も実施。本人の演奏表現の細部まで繊細に再現される技術に、来場者は熱心に耳を傾けた。また、福間のソロ演奏によるシューマンやリスト、海老と福間の連弾によるブラームス《ハンガリー舞曲》第4番、第5番も披露され、会場から大きな拍手が送られた。

イベント終了後の取材会では、今回の出演者選考に込められた思いや、この演奏会が大切にしてきた価値についても語られた。
海老は、選考で重視している点について「聴き手が本当にその演奏者の世界に引き込まれていけるかどうか」を挙げた。技術や完成度だけではなく、演奏を通してどのような世界を届けられるか、それが、この演奏会で大切にしている基準だという。
今回初めて選考に参加した福間も、演奏家それぞれの個性に注目したと振り返る。「自分とは全然違うアプローチなのに引き込まれる演奏があった」と語り、違いを新鮮な感動として受け止めたことが評価につながったと明かした。
福間自身も、この演奏会とは深い縁を持つ。第33回の出演者として舞台に立った経験を持つ福間は、「実は応募して2回落ちているんです」と明かし、「3度目の正直で選んでいただいたので、自分にとって本当に特別なシリーズ」と思いを語った。
また福間は、この演奏会の特色として、出演者同士の交流の深さにも触れた。単に本番で共演するだけではなく、事前の交流や学校訪問などを通して親交を深める機会があることを挙げ、「本当の意味での交流ができた。今でも当時の出演者との関係が続いている」と語った。
さらに海老は、中川優芽花についても期待を寄せた。以前から成長を見てきた演奏家のひとりとして、「以前よりもずっと成長している。これからが楽しみな演奏家」と評価している。
コンクールの順位や受賞歴だけでは見えてこない、それぞれの個性と音楽世界。その魅力を持つ若手ピアニストたちを紹介し続けてきたことが、横浜市招待国際ピアノ演奏会の大きな特色だ。
海老が語る「聴き手をその演奏家の世界へ引き込む」4人のピアニストが、11月、横浜の舞台でどのような音楽を届けるのか。世界へ羽ばたく才能の現在地に触れる、貴重な機会となりそうだ。
「第44回横浜市招待国際ピアノ演奏会」は11月7日(土)、横浜みなとみらいホール 大ホールで開催される。

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2669136
文:宮本明
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