Jホラーの文脈を覆す新作映画『インビジブルハーフ』先行特別上映イベントレポート
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『インビジブルハーフ』先行特別上映イベントより
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すべて見る6月22日東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて、西山将貴監督による長編映画監督デビュー作『インビジブルハーフ』先行特別上映イベントが行われ、背筋(作家/『近畿地方のある場所について』)、佐藤直子(脚本家/ゲームデザイナー)、西山監督が登壇した。
背筋、佐藤、そして西山監督の3名は、ホラークリエイターユニット「バミューダ3」として活動していることから、この日の登壇が実現。「バミューダ3」が2025年に共同企画したホラー体験型展覧会『1999展 ―存在しないあの日の記憶―」は10万人以上を動員するなど注目を集め、7月11日(土)からは大阪巡回展の開催も予定している。
西山監督は、19歳から約6年もの時間をかけて、完全な自主製作のスタイルで本作を完成させた。ミックスルーツを持つ人物を主人公にしたホラーを手掛けた理由について「ミックスルーツの知り合いの女性が『日本にも外国にも居場所がない気がする』と言っていた。そのときの表情の意味を知りたい、と思っていました。僕自身、学生時代、映画監督になりたい、と思いながらも、それを表に出すのは恥ずかしい、というもうひとりの自分がいました。そんな葛藤を、エンタメという形でホラー映画というジャンルを通して皆さんに伝えられれば」と明かした。
背筋から「今の時代にミックスルーツを扱う意義や意味」を問われた西山監督は「ミックスの主人公のアイデンティティの葛藤を巡る物語という意味での『インビジブルハーフ』ではあるけれど、夢を叶えたい自分とそれを否定するもうひとりの見えざる自分という意味での『インビジブルハーフ』でもあります。作品を最後まで観ていただいたときに、『インビジブルハーフ』とは何の半分なのかを考えて埋めていただけたら」と回答した。
タイトルの『インビジブルハーフ』に関して、司会者からの「映画はフィルムに映るものがすべてで、登場人物の心までは写せない、とよく言われます。しかしこの映画は〈インビジブル〉=〈見えないもの〉を画面に写し込んだ、すごい映画ですね」という賛辞に、西山監督は喜びの表情も見せた。
そして、Jホラー以上に洋画ホラーに影響を受けている、と明かし「最近の洋画ホラーは社会的なものを描きつつ、エンターテインメント性との両立にトライしている。怖い思いをしに映画館に行ったのに、映画を通して社会を知る、というような体験をしたことがあり、この作品でもそういう体験をしてもらえれば、と思っています」と述べた。
先んじて本作を鑑賞した背筋は「邦画ではあるけれど雰囲気は海外チック。そこには単純に憧れとして海外を真似ただけではない独自性がある。湿度の高い日本ならではのストーリーラインと相まって、これまで観たことのない味になっている。それが随所に感じられて驚き以上に新鮮さを感じました」と絶賛。佐藤は「いわゆるJホラーという文脈から断絶した新しいホラー映画が生まれたと思いました。一番近しいと感じたのは『イット・フォローズ』(2016年)以降の海外ホラー。A24もそうですが、そういう海外ホラー的感覚が西山監督の中に自然と生み出されていることが凄い」と分析した。
西山監督は、中学時代にA24等の新たな世代のホラー映画の洗礼を受けたといい、「これまでとは違った文脈でホラーを作っているような意識はある一方で、Jホラー的な表現もあったりして和洋折衷的な作風になっていると思います。海外の映画祭でも『イット・フォローズ』的なホラーであると言われました。ちなみに『イット・フォローズ』を観て育った若い世代が映画を撮っているという事実に驚かれる方も多かったです」と報告した。
ひと足先に公開された監督の地元・愛媛県での先行上映では意外な反応もあったという。「怖い思いをしに来たのに泣いた、感動した、という声もありました。その逆で、怖かったという人もいた。観てくれた皆さんがどのような感情を受け取るのか凄く楽しみ」と期待を込めていた。
続けて監督は「ホラーにはJホラーのようなゾクゾクするホラーと、ワクワクするホラーがあると思うのですが、僕は恐怖に立ち向かっていくような、ワクワクする体験をしてもらう映画を作っていきたい」と語った。
また、「バミューダ3」が映画監督としての創作活動に与える影響を聞かれた西山監督は、「ホラーを作られている尊敬するおふたりを間近で見ることができて、まるで無料の映画学校で勉強をさせてもらっているみたい」と喜ぶと、佐藤は西山監督を「映画学校にも行かず、助監督経験などもなく、ただただナチュラルボーン映画監督として生きている謎の生命体」と評して「この作品の公開はそんな謎の生命体のひとつの門出。そしてここから始まる。西山監督純度100%の本作を是非とも観ていただきたい」とアピールした。
背筋も「佐藤さんと一緒に考えたキャッチコピー“ホラーというジャンルを超えた”に嘘偽りはありません。『インビジブルハーフ』は恐怖だけではない感情を想起させるものになっています。私と同じような気持ちになる方がこれから増えていくと思う」と激賞。西山監督は「この作品は自分の人生をかけて頑張って作った映画です。映画館で上映されるのかも分からない状態で6年間作ってきましたが、ありがたいことに全国20館以上で公開させていただくことになりました。インディーズ映画としては稀なことではあると思うので、『インビジブルハーフ』をひとりでも多くの方に広げていけたらと思います」と意気込みを語った。
<作品情報>
『インビジブルハーフ』
7月31日(金)公開
公式サイト:
https://invisiblehalf-movie.com
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