Text:荒金良介 Photo:watanabe"KOOL"syo
開演18時が近づき、場内を見渡すと、会場の四隅までぎっしりと観客で埋め尽くされていた。しかもド頭から凄まじい盛り上がりを見せているではないか。LAST ALLIANCE(以下ラスアラ)が約13年ぶりにニューアルバム『divine』をリリースし、そのレコ発(「Show divine 2026 “唄え、群青のラプソディ。”」)にこれだけ多くの人が祝福に駆けつけ、ありったけの感情を爆発させている。その景色を眺めているだけで、胸にグッと迫るものを感じた。すべては今日という日を迎えるためにあったのかもしれない。そう思えるほど、愛に溢れた空間がここにはあった。
現在、ラスアラはANZAI(vo/g)、MATSUMURA(vo/b)のメンバーふたりにサポート・メンバーのKeita Takahashi(g)、渡部宏生(ds)を加えた4人体制を取っている。ニューアルバム『divine』はバンド史上初めてメンバーふたりでの制作となった。その上で、新たに掲げた目標は再びSpotify O-EASTでレコ発を打つこと。ちなみにラスアラが同会場のステージに立つのは4thアルバム『the sum』のツアー・ファイナル(2008年11月20日)以来、約18年ぶりとなる。
「もう一度O-EASTに立ちたかったんですよ。ラスアラが一番脂が乗っていたタイミングだったから。そこに向けてアルバムも作ったし、そこでアルバムが完成すると思っているから」と新作の取材でMATSUMURAはそう語ってくれた。過去をなぞるのではない。過去に挑み、未来へ繋げる。その気迫が新しいラスアラ像を刻みつけた新作のクオリティの高さに繋がったのは間違いない。
18時10分にSEが流れると、大きな歓声に包まれる中でメンバー4人が登場。ライブは新作の1曲目「イカロスと終の方舟」で火蓋を切った。3rdアルバム収録曲「プロメテウス」同様に神話をモチーフにした曲だ。戦争という絶望的な状況で希望を見出す歌詞が熱い。大人の視座を提示しつつ、キッズ魂を貫く過去最速の2ビートで豪快に攻める。すると観客はドドーッと前に押し寄せ、サーフする人たちで溢れ、フロアは早くもヒートアップ! 曲の後半には男子3人組が肩を組んでヘドバンする姿も見かけられた。イントロからオイ!オイ!の掛け声が起きると、次は「神一重」をプレイ。渡部のドラムがグルーヴを牽引し、Keitaのギターが曲の情感を盛り上げていく。それから「プロメテウス」を織り込み、序盤からトップスピードで駆け抜けていった。
ANZAIとMATSUMURAによるツイン・ボーカルは時にパワフルに、時にメロディアスに表情を変え、豊かなバリエーションで聴かせる。それはデビュー時から変わらぬ魅力だが、今もなお比較対象が見当たらない圧倒的な個性をアピールし続けている。そもそもラスアラは、S★CREATERS、BERMUDAという違うバンドでボーカルを務めていたふたりが肩を並べた稀有な構成だ。自らの血に流れるメロディック・ハードコアを土台に英語と日本語を使い分け、幅広い音楽性と楽曲クオリティの高さで人気を博した。新作はふたりの歌にフォーカスした曲調が多いため、ライブにおけるスケール感は一段も二段も増している。
その証拠に曲が進むにつれて、観客の熱は右肩上がりに上昇。MATSUMURAが亡き母に捧げた「シオン」はその好例だろう。哀愁メロコアで突っ走り、曲の後半に観客がジャンプする光景も見られた。また、「(新作の中で)ANZAIが作った一番好きな曲!」とMATSUMURAが前置きした後に「ループするホープ」へ。「もう一度、自分を愛してよ」とANZAIが高らかに歌うパートが突き刺さる。ストレートな歌詞だからこそ、歌の強度が以前よりも伝わってきた。
そして、驚いたのは中盤に披露された「疾走」である。スクリーンには過去のライブやメンバー写真をコラージュした映像が流れ、ふたり体制となったラスアラのアーティスト写真で締め括られる。ANZAIはこのために100枚ほど写真を掻き集めたそうだ。過去の積み重ねの上に、今日がある。ラスアラの歩みを走馬灯のように魅せる演出に胸が熱くなったのは言うまでもない。
「今年で52歳です。過去イチ攻めている気がする。お客さんがいっぱい来てくれて、待っていてくれてたんだなと‥‥‥幸せです。13年ぶりにアルバムを出しました。ぶっちゃけ、13年あれば俺個人はめちゃくちゃ悔しい思いもしたし、まあ、自分も山ほどいろんな人を傷つけてきて、その後悔もある。背後から裏切りという形でバッサバサ斬られたことも何度かありました。俺は普通の人生より、いろんなカルマを背負ってきた。13年間、それを全部、懐刀でぶった切ってきましたよ。今日は報われた気分です!」と珍しく長めのMCを挟むMATSUMURA。サカナクションの「夜の踊り子」が14年越しにバズったことを引き合いに出し、さらに彼は言葉を続ける。
「いい曲を書けば、10年後、20年後に日の目を見るんだなと勇気づけられたし、今回のアルバムもそういう思いで作りました。苦労もあるけど、大丈夫だよ、何とかなる。よく生き残ってここに来てくれたなと。今日は俺たちにとって報われる1日にしようよ! そんな思いを込めた曲‥‥‥」と説明して、「砂時計の街」へ。ジョシュアやコープランドなどエモ・バンドからインスパイアされた同曲は、悲しみを悲しみのまま吐き出したメロディに感情移入せずにはいられない。盛大なハンドクラップと共に会場は温かな一体感に包まれていった。
「やっぱりホープはループするな。年甲斐もなく、まだバンドやっている。何歳になってもやりたいことをやればいい。トライアンドエラー、それでいいんじゃないかな」とANZAIも少し長めのMCを挟み、中学から一緒だというMATSUMURAとのエピソードを語り、言葉を続ける。「戻って来て、一番大きなハコ。人生には上り坂、下り坂、まさかがあるらしいけど、まさかがあった! 映像で見せたり、面白いでしょ? 23年前に作った曲やるか!」と告げ、「LAST ALLIANCE」を披露。お約束の「イェーイ!」というANZAIの雄叫びから始まるメロコアチューン。03年に出たデビューシングル表題曲で、当時聴いた時も非常に興奮したことを思い出す。そして、今日もオイ!オイ!の歓声が起こり、フロアは興奮のるつぼと化していた。それだけではない。「片膝の汚れ」に入ると、観客はラスアラのタオルを掲げ、銀テープが天井から舞い落ちる演出も。そんなお祭り騒ぎの熱狂をさらに押し上げたのは「愛さえあれば」であった。2025年の名阪ツアーにて、ファンとの絆を改めて感じ、バンド+オーケストラというアイデアを具現化させた新境地ナンバーだ。イントロから観客は拳を振り上げ、耳をつんざくハンドクラップが鳴り響く。その壮観な光景を見て、新たなアンセム誕生を確信せずにはいられなかった。新作を観客と一緒に完成させる。それを有言実行したハイライトと言えるだろう。
ライブはWアンコールを含めて全22曲トータル2時間に及び、最後はBGMとして、12年に出たコンプリート・シングル・コレクション『c.s.c20022011』ディスク3収録の「HEKIREKI~Acoustic ver.~」が流れた。「手のひらに刻んだ 今日にたどり着くための一歩」の歌詞が脳内でリフレインする。希望という名の青天の霹靂は、まさしく今日のパフォーマンスであった。物語はまだまだ続く。それが何よりもうれしい。
そして「イカロスと終の方舟」のインスト音源と共に北海道、愛知、大阪の3カ所を回る『divine tour』を行うことも発表された。
<公演概要>
LAST ALLIANCE
Show divine 2026『唄え、群青のラプソディ。』
2026年6月6日 東京・Spotify O-EAST
【Setlist】
01. イカロスと終の方舟
02. 神一重
03. 幻影革命団
04. プロメテウス
05. Everything is evanescent
06. LAST ALLIANCE Ⅱ
07. シオン
08. TODAY
09. ループするホープ
10. a burning bullet
11. 疾走
12. タナトス
13. 砂時計の街
14. 赤い花
15. 人間に告ぐ
16. LAST ALLIANCE
17. Rebel Fire
18. 片膝の汚れ
19. 愛さえあれば
<アンコール.1>
20. 自転好転雲外蒼天
21. KONOYUBITOMARE
<アンコール.2>
22. HEKIREKI
<ツアー情報>
LAST ALLIANCE『divine tour』
10月11日(日) 北海道・札幌KLUB COUNTER ACTION
開場17:00/開演17:30
10月24日(土) 愛知・新栄シャングリラ
開場17:00/開演17:30
12月19日(土) 大阪・心斎橋Live House ANIMA
開場17:00/開演17:30
【チケット情報】
先行割:5,200円(ドリンク代別)
オフィシャル2次先行:7月1日(水)18:00~7月12日(日)23:59
https://w.pia.jp/t/lastalliance-2026tour/
<リリース情報>
8thアルバム
『divine』
発売中
通常盤:3,300円(税込)
初回限定版(DVD+特製スリーヴケース付):4,500円(税込)
Stream/Download:https://lnk.to/LA_divine
<収録曲>
1. イカロスと終の方舟
2. 神一重
3. 幻影革命団
4. LAST ALLIANCE Ⅱ
5. ループするホープ
6. 盲目のストレンジャー
7. 砂時計の街
8. Rewind
9. 自転好転雲外蒼天
10. シオン
DVD内容(初回限定版のみ)
2025年11月8日 新代田LIVE HOUSE FEVER「BBBが止まらない。」ライブ映像(約50分)
オフィシャルサイト
http://www.last-alliance.com/
オフィシャルX
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