『夢から醒めた夢』主演に抜擢 18歳新鋭・藤本もあ菜「愛と優しさを真っすぐ届けたい」
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インタビュー
藤本もあ菜 (撮影:荒井健)
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すべて見る1987年に初演された本作は、赤川次郎の同名小説を原作に、浅利慶太が企画・構成・オリジナル演出を手がけた日本を代表するミュージカル。初演以来、リニューアルを重ね、世代を超えて愛され続けてきた本作が、今年4月の公演に続いて、9月16日より自由劇場にて上演される。今回、主人公・ピコ役に抜擢されたのは藤本もあ菜。18歳の新鋭が、本作で舞台初主演に挑む! この春、大学進学を機に上京し、学業と並行して稽古に挑んでいるという藤本が意気込みを語ってくれた。
――9月の公演で、主人公のピコを演じることが決まった時のお気持ちを聞かせてください。
藤本 お知らせをいただいたときは、もう本当に何が起こっているんだ? という感じで信じられませんでした。驚きの気持ちがいっぱいで、私以上に父と母が喜んでくれたのもすごく嬉しかったです。

――4月の公演ではアンサンブルで出演されていますが、そのときの思い出、印象的な経験は?
藤本 自由劇場のステージに立たせていただいたことはもちろん、多くのお客さまを前にソロパートを歌うという経験も初めてでした。とても緊張していましたが、歌いはじめると役を生きることに意識を集中していたからか、緊張も消えていき、少し不思議な感じがしました。歌っているときの客席は真っ暗なので、お客さまの顔はまったく見えませんでしたが、カーテンコールでは温かい拍手をいただけてすごく嬉しかったです。すべてが初めての経験、一生忘れられない思い出です。
――第9回「東宝シンデレラ」オーディション(2022年)でファイナリストになり、芸能界入りされていますが、以前から歌うことが大好きで、ミュージカルに憧れていたそうですね。
藤本 はい、とにかく歌うことが大好きで、「ミュージカル俳優になりたい」という夢はずっと持ちつづけてきました。最初に「ミュージカルに出たい!」と思ったのが、小学校低学年の頃に『アニー』を観た時です。自分と同じくらいの年齢の子が舞台に立っているのを観て、自分もやってみたいと思いました。その後、『リトルマーメイド』を観たとき、(海の魔女の)アースラにひかれて演じてみたいと思いました。
――アリエルではなくアースラを?
藤本 はい(笑)。お友達にCDを貸してもらって、みんなはアリエルの曲を歌っているのに、私はアースラの曲ばかり歌っていました(笑)。

――今回の『夢から醒めた夢』は40年近くにわたり愛され続けてきたミュージカルですが、どういうところが魅力だと感じていますか?
藤本 一度きりしかない人生なので、精一杯生きなければと思ったり、命の大切さを実感していただける作品だと思います。初めてこの『夢から醒めた夢』を拝見したとき、ピコの思いやりの心から、次々と優しさが連鎖していくところが、すごく素敵だと感じました。普段、「思いやりを大切にしないといけない」と頭でわかっていても、なかなかできることではないですが、優しさや人を思いやる心を持ち続けることの大切さをご覧になる方々の心にダイレクトに伝える力をもった作品だと思います。
――ご自身が演じる主人公のピコに対しては、どのような印象をお持ちですか?
藤本 とても好奇心旺盛で、優しくて真っすぐな女の子です。両親からは、小さい頃の私と似ていると言われています(笑)。本当かどうかはわかりませんが、そう言ってもらえたので、その頃の気持ちを思い出して、子供らしく純粋に素直に演じられたらと思っています。

――ご自身の好きなシーンや歌うことが楽しみな楽曲を教えてください。
藤本 「愛をありがとう」を歌うシーンです。走り去ろうとするピコがパッと振り返ったら、“霊界空港”のみんなが優しい表情を浮かべて、ピコのことを送り出してくれる――初めてこの作品を見た時から、その場面に一番グッときました。春の公演ではピコを見送る側でしたが、今度はピコとしてそのシーンの一部になれるというのがすごく嬉しいです。楽しみなのはラストの「二人の世界」です。春の公演の舞台稽古で、そのシーンを客席から見たのですが、照明がすごくキラキラ輝いてみえて、幻想的でとても素敵でした。私もあの空間で「二人の世界」を歌えるのか…とすごくワクワクしますし、同時に緊張もしますが(苦笑)、本当に楽しみです。
――稽古に入られてからの手応えや成長、難しさを感じるところなどを教えてください。
藤本 浅利先生のメソッドを一から学ばせていただいていますが、最初は何もできず、「どうしよう…ん…」という感じでした。例えば、「呼吸法」の訓練では、先輩の背中や顔を実際に手で触らせていただいて、先輩方はものすごく身体が動くのに自分はピクリとも動かない……。身体の使い方が全く違うことに衝撃をうけました。学び、吸収すべきことは尽きませんが、本当にありがたい環境でお稽古をさせていただいています。
もちろん、稽古初期と比べたらできることは少しずつ増えているように感じますし、何よりもお稽古がとても楽しいんです! 稽古を始める前の自分が今の私を見たら、きっとびっくりすると思います!

――本作以前にも朗読劇『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』(2025年)、ミュージカル『舞姫』(2025年)などに出演されていますが、舞台に立って演技することの楽しさをどんなところに感じていますか?
藤本 普段の私はすごく人見知りで(笑)、なかなか感情をパっと表に出せないんですけど、舞台上で役を通してなら、たくさんの人が観ている中でも、すべてを出し切れるみたいなところがあって、それがすごく楽しいです。普段の自分にないものを出すような感覚です。
――今後、どんな俳優になりたいか? 目標や理想像、演じてみたい役などを教えてください。
藤本 私が舞台で演じている俳優さんから夢をいただいたように、私が舞台に立っている姿をご覧いただいて「あっ、ミュージカルやってみたいな!」と思っていただける――今度は自分が誰かに「夢」をお届けできる俳優になれたらいいなと思っています。
演じてみたい役はいろいろあるのですが『レ・ミゼラブル』のエポニーヌや、『ミス・サイゴン』のキムのような芯の強い女性がすごく好きなので、いつか挑戦してみたいです。今、お稽古や学校でも、色々な戯曲の台詞を読む機会が増えて、ストレートプレイにも興味を持つようになりました。色々な役にチャレンジしていきたいです。

――最後に作品を楽しみにされている方に向けてメッセージをお願いします。
藤本 先輩方がすごく大切に演じて繋いでこられた作品なので、大きな緊張もありますが、ピコとして作品に込められたメッセージや愛と優しさを真っすぐみなさまにお届けできるように体当たりで挑んでいきたいです。ぜひ楽しんでいただければ嬉しいです。
取材・文:黒豆直樹 撮影:荒井健・浅利演出事務所
<公演情報>
ミュージカル『夢から醒めた夢』
原作:赤川次郎(『夢から醒めた夢』角川文庫)
企画・構成・オリジナル演出:浅利慶太
2026年再演版演出:野村玲子
【配役と出演】
ピコ:藤本もあ菜
マコ:鹿ノ子ひより
マコの母:坂本里咲
メソ:中村翼
デビル:坂本岳大
エンジェル:都竹悠河
ヤクザ:加藤敬二
暴走族:吉岡慈夢
部長:澁谷智也
老人:山口嘉三/畠山典之
老婦人:服部幸子
夢の配達人:飯田洋輔
ほか
2026年9月16日(水)~9月29日(火)
会場:東京・自由劇場
【ミュージカル『夢から醒めた夢』あらすじ】
好奇心旺盛で冒険を夢見る少女ピコは、夢の配達人に導かれて夜の遊園地で幽霊の少女マコと出会います。
突然の交通事故で命を落としてしまったマコは、一人残され涙に暮れる母親をなぐさめ、お別れを言うために、一日だけ入れ代わってくれる人を探してさまよっていたのです。不思議なことにあこがれるピコはマコの願いを聞き入れて、一日だけという約束で霊界へ……。
ピコの大冒険が始まります。
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/yumesame/
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