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屋比久知奈×清水美依紗×ルミーナ インタビュー 『ミス・サイゴン』3人のキムが届ける平和への祈り

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インタビュー

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左から)ルミーナ、屋比久知奈、清水美依紗 (撮影:You Ishii)

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ベトナム戦争下での愛と人間模様、その後の人々の苦しみをダイナミックな歌で綴る『ミス・サイゴン』が2022年以来、4年ぶりに還って来る!
キム役には2020、2022年に続いて3演目となる屋比久知奈、初登場となる清水美依紗とルミーナ。3人が製作発表の後に思いの丈を語り合った。

3人が共鳴するキムの人間臭さ

――製作発表を終えて、今の心境は?

屋比久 去年、『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役で3人一緒でした。当時は「あと1年あるね」と話していたのに、もう半年切って(製作発表時)。怖さとワクワクが混ざり合っています。

清水 夏から稽古が始まりますね。製作発表では3人で歌えて嬉しかったです。

屋比久 キムが3人揃って歌うのはこれ1回しかないから。

ルミーナ 貴重ですね。

――ルミーナさんは『レ・ミゼラブル』に続いて大作ミュージカルへの出演となりますね。

ルミーナ 光栄です。また成長した姿をお見せできたらと思っています。『レ・ミゼラブル』のエポニーヌを韓国でやって、日本でやって、そして今度は『ミス・サイゴン』のキム。自分でも未だに不思議で実感が湧かないくらい、感謝でいっぱいの毎日です。

――現時点で、キムという役の魅力と共感できる部分を教えてください。

屋比久 キムは初めて観た時も初めて演じた時も、気持ちの流れを苦労することなく理解できる役でした。そこは自分の感性と感覚を信じて、今回もキムとして生きていきたいと思っています。この作品の登場人物は全員、すごくできた人間ではないんですね。もちろん作品自体が戦争という重いテーマであるからこそ、その状況にいざるを得ないキムがどのように生きたのか。彼女は彼女なりに正しいと信じ、最善の生き方をしていると思っています。けれども強い部分や弱い部分、人生の選択を考えると、決して理想的な女性ではないのかもしれない。それが彼女の魅力であり、ひとりの人間ゆえ。その人間らしさ、人間臭さを大事にしていきたいと思っています。

清水 登場人物がみんな人間臭いんですよね。それぞれのキャラクターが持つ人間臭さや弱さに、力強い音楽が重なった瞬間、 『ミス・サイゴン』の世界が生まれるように感じています。キムという役は最初はピュアな状態で登場しますが 、さまざまな経験をしていく中で、子供を産み、いろいろな選択をしながら、 彼女の内面も少しずつ変化していく。きっと舞台上でキムとして生きてみないとわからないことも多いと思うので 、その変化を感じていけることが今から楽しみです。

ルミーナ キムは本当は愛を受けて育った子ではないかと私は思っています。お母さんや家族を大事にする姿があるんですよね。愛を知っているからこそ、人を愛すことができる。そこが魅力だなと思います。ベトナム戦争という厳しい環境下をひとりで生き抜くこと、何かを守り抜くということ。その芯にある強さも魅力だと思います。

――キムのソロ「命をあげよう」はこの作品の代表曲であり、エネルギーを要する手強い曲です。キム経験者の屋比久さん、この曲を攻略するコツがあれば教えてください。また清水さんとルミーナさんは歌ってみての感想と、どのように向き合っていきたいか、お聞かせください。

屋比久 何回歌っても常に緊張するし不安もあります。自分の感覚では、この曲は絶対に歌いこなせないんだろうな、と。特に本番は何かを考えて歌えるようなタイミングでもないので、毎回、本当に必死に歌っています。もちろんシンプルに音を当てるなどの練習はします。しかし気持ちが入ると、正直それどころじゃなくなってしまう。私は稽古でもかなり苦労しましたし、気持ちを入れることで歌が崩れるのも悔しくて。今回も必死に歌い続けるんだろうなと思います。
私、まだふたり(清水・ルミーナ)がソロで歌う「命あげよう」をフルで聴いたことがないんです。だから稽古で早くそのシーンに行ってほしい(笑)。それを聞いて、私も刺激を受けることがあるだろうから早く聴きたいです。

清水 本当に一生懸命歌うしかない曲ですよね。私は以前、英語でこの曲を歌っていたので、まだ日本語に慣れないところもあります。もちろん日本語の美しさがあるのだけど、情報が少なくなる分、感情と歌重ね合わせて表現することが難しいです。オーディション期間は何回歌ったんだろう?というくらい、たくさん歌いました。感情が高ぶるにつれてメロディーを上手くのせられなくなる、そんな壁を感じましたね。でも、感情をセーブしすぎるのも違う。その感情から滲み出る必死さが人間臭さに繋がるんだろうとも思います。

ルミーナ 本当にその通りですね。ひとつの大切な命、息子のタムを守るというキムの強い思いがお客様に伝わるように歌いたいです。もちろん音程と発声はとても重要で、お芝居の中でコントロールすることも大切。『ミス・サイゴン』の音楽は既に完成されているものなのでこの音楽を信じて、あとは自分が伝えることを意識して歌っていけたらと考えています。

ミュージカルの素晴らしさとともに、芸術で届ける平和の願い

――キムの強さの根源は何だと思いますか。

屋比久 私自身は日々生きていて、今日はこれがあるから頑張れる!と思ったりするので、キムにもそういうものがあるのかもしれませんね。個人的にキムはあの環境下なのに、ピュアでめちゃくちゃ強いと私は思っていて。ピュアでいられる強さがあり、まっすぐさもある。同時に脆いところもある気もします。

清水 今、私がキムに感じる印象は、自分を信じる力が強い女性だな、と。もちろん繊細な部分もあって、強くいられる時もあるし、壊れてしまう瞬間もある。でも常に自分が選んだ道を信じて前に進む力が、彼女の強さの根源なのかなと思います。そこに人間らしさ、泥臭さがあると今は感じています。

ルミーナ いろんな場面で正直に全部表現していく。その素直さはもしかしたら親から受け継いだものかもしれません。家族をすごく大切にしているので。もちろん家族を失う瞬間を目の当たりした、その状況から立ち直らないといけない、自分がどうにか生きていかないということも影響しているのでは?親の愛、家族を亡くした経験、自分が壁にぶつかった経験、救われた経験を通して、その強さが生まれていくのかなと今の段階では思っています。

清水 そうですね。もちろん母となった強さもあるのかな。

屋比久 そして頑固。こうです!と自分を貫くところがあって。

ルミーナ 本当に芯がある子だと思います。

――この作品からお客様に伝えたいこと、届けたいメッセージは何ですか。

清水 世界情勢ですね。今もどこかで、『ミス・サイゴン』の世界で起こっていることが実際に起きていると考えたら。今、私たちが暮らす日本は平和で、ニコニコ笑うこともできます。でも、どこかで子供も大人も泣いて苦しんでいる。その悲劇を伝えていかなければいけないし、この現実を忘れてはいけないと思います。だからこそ、この作品を責任を持って届けていきたいです。

屋比久 美依紗が言った通りだと思います。ありがたいことに日本では平和に生きることができて、普通に飲み物や食べ物があって、仕事もできて、終わったら家に帰ってお風呂に入って寝るという、当たり前の生活ができています。それが当たり前だから、ニュースで世界情勢を見ると衝撃を受けてしまう。それでも、どこか他人事なんですよね。俳優という仕事が特殊なのは、こうしてキムという人間を舞台上で生き、経験することができる。ある意味、他人事じゃなくなる瞬間を経験できるんです。そして同時に、観客の皆さんも体験できるわけで。これは私が観劇が好きな理由です。戦争が描かれている作品で、だからこそ目を背けたくなる瞬間がたくさんあります。今の時代、この日本で上演する意味を含めて、観客の皆さんがシンプルに平和がいいよねと思うことで何かが変わるかもしれない。そこに私は希望を持っています。この作品が提示する状況がいかに良くないかという反省の気持ちは絶対に伝わってほしい。同時にミュージカルとして、音楽や芸術のその素晴らしさも感じていただけたら。それが戦争を伝える手助けをしてくれる。芸術の強さだなと思います。

ルミーナ おふたりがおっしゃる通りです。残念なのは、『ミス・サイゴン』が描いている時代は、映像も残っているくらい最近の話なんですよね。今もどこかで同じような状況が起きていて、この現実がある。ミュージカルという芸術を楽しむこと、生きることの意味も合わせて、観る方によってこの作品も解釈も変わってくるでしょう。それぞれの解釈で、心で感じていただけたら嬉しいです。


取材・文:三浦真紀 撮影:You Ishii


<公演情報>
ミュージカル『ミス・サイゴン』

オリジナル・プロデューサー:キャメロン・マッキントッシュ
作:アラン・ブーブリル/クロード=ミッシェル・シェーンベルク

【キャスト】
エンジニア 駒田一/東山義久/桐山照史(交互出演)
キム 屋比久知奈/清水美依紗/ルミーナ(交互出演)
クリス 甲斐翔真/小林唯(交互出演)
ジョン チェ・ウヒョク/金本泰潤
エレン エリアンナ/加藤梨里香
トゥイ 岡シモン/吉田広大
ジジ 則松亜海/藤森蓮華

伊藤広祥 伊藤稚菜 岩﨑巧馬 植木達也 江口颯人 大久保徹哉 小形さくら 柿内アリマ 笠行眞綺 河本佳佑 木村つかさ 工藤彩 小林遼介 小林良輔 近藤真行 今野晶乃 齋藤信吾 坂本皓 佐渡海斗 鈴木大菜 鈴木満梨奈 仙名立宗 高瀬育海 髙田実那 田中奏 田中啓介 茶谷健太 土屋神威 常川藍里 土倉有貴 中嶋尚哉 早川一矢 深堀景介 古川隼大 三浦優水香 光由 森田茉希 安井聡 横田剛基 蘆川晶祥(五十音順)

【東京公演】
2026年10月16日(金)~11月29日(日)
会場:東急シアターオーブ

【大阪公演】
2026年12月5日(土)~17日(木)
会場:梅田芸術劇場 メインホール

【福岡公演】
2026年12月24日(木)~27日(日)
会場:福岡市民ホール 大ホール

【静岡公演】
2027年1月8日(金)~11日(月・祝)
会場:アクトシティ浜松 大ホール

【北海道公演】
2027年1月17日(日)~24日(日)
会場:札幌文化芸術劇場 hitaru

関連リンク

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/miss-saigon/

公式サイト:
https://www.tohostage.com/miss_saigon/

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