【爆風スランプ インタビュー】今の時代だからこそ“のろし”を上げる理由とは――新作ミニアルバムを携えて35年ぶりの武道館公演へ「僕らにとって、武道館は再スタート」
音楽
インタビュー
爆風スランプ / Photo:石原敦志
Text:川上きくえ Photo:石原敦志
デビュー42周年を迎える爆風スランプが、8月11日(火・祝)に35年ぶりとなる日本武道館公演を開催する。5月27日配信のシングル「よしおと爆風の、ええじゃないか盆踊り~武道館で編」では小島よしおを迎え、お祭り騒ぎの圧倒的なテンションを提示。7月22日(水)には往年の名曲を新録したリメイクミニアルバム『今こそ!爆風スランプ』をリリースする。時代に存在を示す「のろし」となる本作は、昔からのファンだけでなく現代の若者の魂も揺さぶる一枚だ。当日は観客の歓喜と感動で、あの“大きな玉ねぎ”が激しく揺れる歴史的な夜になるに違いない。
── 配信シングル「よしおと爆風の、ええじゃないか盆踊り~武道館で編」は爆風スランプのデビュー前からある曲だそうですね。何事もカチッと型にはめがちな現代に、「ええじゃないか」という言葉はパワーワードになるんだなと思いました。
サンプラザ中野くん(以下、中野) それは狙い通りです!ありがとうございます。
パッパラー河合(以下、河合) 1982年に末吉が「バンドやろうよ」って声をかけて集まって。じゃあ最初に音を出してみようぜってやって、最初にできたオリジナル曲なんですよね。
ファンキー末吉(以下、末吉) あの「ええじゃないか」っていう言葉と、「ジャンカジャンカ」っていうリズム。コードもGとEだけで、当時のオリジナルメンバーの江川ほーじんと4人で、その場のセッション的に作っていった曲なんです。デビュー前までのライブでは、一番盛り上がる曲だった。
中野 今思えば爆風の方向性をすべて決めた一曲だった気がする。

末吉 今改めて聴いてみても、パッパラ―河合のキテレツなギターリフとかリズム隊の良さとか、よくできているなあと思う。
── 当時レコード化しなかったのはなぜなんですか?
中野 当時、ライブハウスではめちゃくちゃ盛り上がっていたんですけど、爆風スランプってレコード会社が決まって曲をレコード化するまでに時間がかかったんですよ。その理由がですね、「お前たちがライブハウスですごい人気があるのはわかるし、見ていて面白い。だけど、レコードにしたときに100回、200回聴けるのか?」って言われたからで。デビューするならもっとポップな色合いのある曲を増やさないとダメってことで、色々とお蔵入りしていったんですよね。
── それをこの40年経って今、リリースするに至ったのは?
中野 2年ぐらい前から爆風を動かし始めて、去年、武道館公演ができますよっていう話になって、じゃあ新曲も出しましょうとなったんですね。じゃあ、どうやってこの今の音楽状況で、爆風スランプとして目立つかを考えて。あとは時代的に、“なんか政治が混乱する時代が来るんじゃないかな”っていうのを私が匂ったというか(笑)。「ええじゃないか運動」は幕末に関西の方で流行った踊りなんですけど、その運動によって明治政府ができたんですよね。誰が仕掛けたのかはわからないですけど、時代の変革のときに必要なものなんだなと思った。で、それまでの流れをくっと変える役目のあるこの曲を新曲にしたほうがいいんじゃないかと思ったんです。「ええじゃないか」っていう言葉自体が時代の中で目立つだろう、と。で、より目立つために、小島よしおくんの力を借りよう!ということで実現しました。
── 小島よしおさんの「そんなの関係ねえ」は「ええじゃないか」と通ずるものがあるんだなというのも発見でした。
中野 うん、そうなんですよね。小島くんは僕の大学の後輩でもあるし、元々同じ事務所に所属していた人なんです。
河合 また小島くんがね、リズム感が良くてね。ほぼ1発でちゃんとやってくれて。やっぱ売れている人は違うなと思いました。

── MVもにぎやかな仕上がりですね。
バーべQ和佐田(以下、和佐田) 私はこの曲に関しては初めて演奏するので、すごく新鮮な気持ちでやらせていただいて。すごく躁状態になる曲なんですよね。MVではまさにその感じを表現すべく上から紙吹雪が降ってきたり、すごいなって関心しながら楽しませていただきました。
── 小島さんの後ろで小さく「そんなの関係ねえ」をやっている中野さんが面白い(笑)。
中野 あ、そうでした? 何をやっていいのかわからなかったので、とりあえず真似してます。
── そして、7月にはミニアルバム『今こそ!爆風スランプ』がリリースされます。全曲リメイクだそうですが、どのように選ばれた曲たちなんでしょうか?
中野 意味は『今こそ!爆風スランプ』というタイトルにあるんですけど、「ええじゃないか盆踊り」しかり、爆風スランプがそもそも初期衝動としてやり始めたところが「今なら通じるんじゃないの?」みたいなのが起点なんですよね。
末吉 時代があの曲たちを呼び戻したというか。
河合 そう。時代が曲に追いついた(笑)。
中野 今こそ、ぶつけたらいけるんじゃないの?って思える曲たちなんです。全部リメイクですけど、全部新しい感じで録り直して。今の爆風スランプっていうのがよく出ているアルバムだと思います。
末吉 選曲もね、武道館があるんで「大きな玉ねぎの下で」を久々に入れて。あとこんな時代なんで「東の島にブタがいた Vol.3」とか、あと今の時代に勇気が必要だろうっていうんで「Brave Love, TIGA」とかを入れて。

中野 爆風スランプって音楽界の中でも事件性の高いバンドだと思うので。今の時代、世の中の衛生観念が行きすぎちゃって、音楽的にも影響しているというか、キレイな無味無臭みたいなものを善しとされるところに行き着いちゃった気がするんですよね。そこに一石を投じるバンドとして、今なら爆風スランプを新鮮に聴いてもらえるんじゃないかなと思って、大きくのろしを上げてみたという。
末吉 26年も活動していなかったから、26歳以下の人は動いている爆風スランプを知らないしね。
中野 ただ、今はYouTubeとかでいくらでも過去の作品が見れる。ここでちょっとのろしを上げられれば、シティポップが世界で流行っているのと同じような感じで、再ブレイクも可能なんじゃないかなと思ったんですよね。最大の大ヒット曲を出したいなと! (笑)。虎視眈々と狙っているんです。とりあえず目先の武道館を楽しんでもらうために、選んだ曲たちでもあるんですけど。
河合 やっぱり「大きな玉ねぎの下で」は1985年にリリースして、そこから何度かリメイクしているんですけど、何度やっても飽きないんですよね。あと東西線の九段下駅で、発着メロにこの曲を使ってくれているんです。あのメロディが何の曲かわからなかった人が、このアルバムに辿り着いてくれたらいいなと思います。
和佐田 「Runner」って曲は40年近く前に出た曲なんですけど、去年の『THE FIRST TAKE』で「Runner」をやったときも、普通のバンドなら当時と同じ演奏をすると思うんです。でも、今現在のそれぞれのフレーズで演奏したことが、すごく評価してもらえて。久しぶりに集まっても進化している、すごいバンドだなと自画自賛したんですよね。そういう姿を今回のミニアルバムでも見せられたかなと思います。

河合 演歌の人たちが使うフェイクみたいなのを、さらにカッコよく残すみたいな。そういう我々ならではのテクニックを出せたんじゃないかな。
末吉 単なる懐かしさじゃなくて、ずっと音楽を続けてきている爆風スランプの「現役感」を感じる作品になっていると思います。
── そして、8月11日(火・祝)、35年ぶりの日本武道館です。2年前の40周年のときは「武道館をやる自信がなかった」というお話もありましたが。
中野 とりあえず東名阪ライブをやってみて、「あ、これならいけるじゃん」って手応えがあって、スタッフが「これなら興行として成り立つんじゃないの」って判断してくれたのが大きいんです(笑)。やっぱり僕はフロントマンとして、ものすごく責任を感じているんですよ。だから、一生懸命プロモーションをしているんですけど……僕にとって今回の武道館は登竜門だと思っていて。これを成功させて人数も集められれば、また全国のイベントに呼んでもらえるようになる。武道館公演は、爆風スランプにとっての再スタートなんです。
末吉 また武道館でライブができるのは、単純にうれしいですよ。この26年間、止まっていたわけじゃなくて、僕個人としてもドラムをライブで5,000本くらい叩いてきたし。その進化をバンドに還元して、さらにすごい形を見せたいですね。

中野 みんなで思い切り盛り上がりましょう。
── 熱い武道館になりそうですね。では今、そんな60代後半にさしかかった爆風スランプを突き動かすもの、一番支えている思いは何だと思いますか?
中野 やっぱり「もう一発当ててやる!」っていう気持ちですね。YouTubeとかで世界中に広めやすいし、マーケットは広がっている。次こそ最大の大ヒット曲を出したいと思っています。
和佐田 このメンバーと一緒にいると年齢のこととかどうでもよくなるんです。もう何をやったって「ええじゃないか」っていう感じで、吹っ切れていますから!
河合 枯れているんじゃなくて、油ぎっている感じなのがいいなと思う。
末吉 うん、アグレッシブにいたいよね。
中野 爆風スランプを僕らがめちゃめちゃ楽しんでいるんです。たぶん、26年お休みしていた反動で(笑)。

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<リリース情報>
『今こそ!爆風スランプ』
7月22日(水) リリース
3,000円(税込)

【収録曲】
・よしおと爆風の、ええじゃないか盆踊り~武道館で編
・大きな玉ねぎの下で 2026
・Brave Love, TIGA 2026
・東の島にブタがいた Vol.3 2026
・東京ラテン系セニョリータ 2026
・ええじゃないか 2026
「よしおと爆風の、ええじゃないか盆踊り~武道館で編」
配信中
▼配信リンク
https://BAKUFU-SLUMP.lnk.to/vzjI8b
<公演情報>
『爆風スランプ 2026 LIVE at 日本武道館 ~歌え、大きな玉ねぎの下で』
8月11日(火・祝) 東京・日本武道館
開場 17:00 / 開演 18:00
【チケット情報】
指定席:12,000円(税込)
指定席(18歳以下対象):7,000円(税込)
▼チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/bakufuslump2026/
爆風スランプ オフィシャルサイト
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