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『ストロベリーナイト・サーガ』キャスト若返りは功を奏すか? 二階堂ふみ版「姫川玲子」の魅力

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 二階堂ふみと亀梨和也のW主演によるドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』(フジテレビ系)。今から約9年前に竹内結子が主役を務め(※2010年10月放送のパイロット版)、連ドラ(2012年)、そして劇場版(2013年)も大ヒットしたドラマ『ストロベリーナイト』がキャスト、スタッフを一新し生まれ変わった。

 作家・誉田哲也の「姫川玲子シリーズ」を原作にした本作は、主人公である警視庁捜査一課殺人犯捜査係の姫川玲子警部補(二階堂)が次々と起こる凶悪な殺人事件の謎に立ち向かっていく姿が描かれていく。シリーズ6作品、スピンオフ1作品、累計400万部を突破する超人気シリーズだ。

 ノンキャリアにも関わらず27歳という異例の速さで警部補に昇格した玲子は、男性以上にタフな精神と行動力の持ち主。同時に独自の感性で犯罪者の意識に同調し行動を見破る能力を持ち、事件の解決に大きな役割を果たすことが多い。当然ながら男性社会である警察組織からの嫉妬・羨望・軋轢も激しいが、理不尽な圧力を跳ね除け、信頼できる姫川班のメンバーたちと犯人を追う玲子。しかし、そんな彼女には17歳の夏の夜に強姦されたという壮絶な過去があった。

 犯罪者を追い詰める強靭さと、常に心に抱える不安定さは、そのままアンビバレンツな魅力として玲子を支えており、彼女のキャラクターはそのまま『ストロベリーナイト』の魅力にも直結している非常に大事な要素なのだ。

 それらを踏まえた上での『ストロベリーナイト・サーガ』だが、一番大きいのは二階堂をはじめキャストが全体的に若返った点だ。個人的にはリメイクする以上は同じことをやっても意味がないと思うが、前作のファンにとってはそこが評価を分けるところでもある。

 ちなみに、竹内が最初に姫川玲子を演じたのは30歳の時。これに対して二階堂は24歳。単純に年齢だけで比較することはしたくないが、やはりどうしても“若さ”が前に出てしまうことは否めない。しかし、だからこそ表現できる感情・表情もあると言える。

 それは、自らの研ぎ澄まされた感覚によって犯罪者の狂気に同調してしまうシーンと、その原因ともいえる過去の忌まわしい出来事のフラッシュバックシーンにおいてうかがうことができる。一歩間違うと闇に引きずり込まれる紙一重な危うさと、そう簡単に拭い去れない生々しい痛みの記憶。どこかあどけなさを残した二階堂の表情からはそれらがより切実に、よりリアルなものとして見る側に伝わってくる。

 これまでに多くの作品でさまざまな役を演じてきた二階堂だが、意外にも本作が連続ドラマ初主演にして初めての刑事役。映画や単発ドラマとはまた違った撮影現場でチャレンジングな日々が続くと思うが、得るものはきっと大きいはずだ。

 さらに言えば、前作の竹内には「完成した美しさ」があったが、本作の二階堂には「完成されていく美しさ」がある。まだ青さの残る苺が時間の経過とともに少しずつ赤みを帯びていくように、ストーリーを追うごとに変化していく彼女の顔つきに注目して見ると、より深く『ストロベリーナイト・サーガ』を味わえるのではないだろうか。(文=中村裕一)