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日向坂46の名バイプレイヤー 富田鈴花が持つマルチな能力 バラエティ力の高さを軸に考える

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リアルサウンド

 4月から『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)、そして『全力! 日向坂46バラエティー HINABINGO!』(日本テレビ系)の2本の冠番組で、視聴者に笑顔を届けている日向坂46。その中でも、グループの名バイプレイヤーとしてバラエティ力を発揮しているのが、富田鈴花である。

(関連:けやき坂46は“アイドルらしくない”の対極を進む 多様化し、外部とつながるシーンの現在地

 最近の富田と言えば、パリピキャラを押しつつも、本当は真面目なのに無理をしているという迷走キャラで愛されている。そして今、彼女のネガティブな部分が絶賛イジられ中だ。バラエティでは特攻隊長のごとく積極的に動き、玉砕することも多々あった。しかし、迷走キャラが定着したことで、成功/失敗どちらに転んでもネタになるという最大の武器を手に入れた。かつての『欅って、書けない?』(テレビ東京/以下、『けやかけ』)における欅坂46の織田奈那のように、いつ話題が振られても何かしら返すというバラエティ能力の高さが重宝されている。

 昔からアイドル好きだった富田。欅坂の1stアニバーサーリーライブで「不協和音」を観て、同じ世代の子たちが一つになって夢を追いかける姿に感動していたところ、けやき坂46(現・日向坂46/以下、ひらがなけやき)追加メンバー募集のオーディションが発表された瞬間を目にし、これは運命だと応募したという。彼女もまた日向坂の運命に導かれし者の一人だ。

 『けやかけ』に初登場した際に「バラエティ班としても活躍したい」と自己紹介し、パリピキャラとして自作のラップを披露するも、その一生懸命な姿勢がむしろ真面目さを際立たせていた。『FLASHスペシャル グラビアBEST』(2018年4月5日増刊号)で、富田について『けやかけ』番組MCの土田晃之は「努力家の一言。ラップも相当練習しているし、真面目だなと。将来、大化けするのではないかと思います」と絶賛。同じくMCの澤部佑(ハライチ)もまた「失敗しても、しっかりと反省して次に生かしてくる。気持ちが真っ直ぐなコですね」と解説し、その才能を見抜いていた。

 後に日向坂デビューシングル『キュン』の特典映像「富田鈴花」では、(パリピ≒ビビり)と黒板に書く自分に対し、もう一人の自分から「バラエティ舐めんなよ! 何でもやれよ! やる前からビビってんじゃねっつーの!」とエールが贈られ、「やるよ! やってやるよ!」と返す、決意表明のような模様が映し出されていた。

 『ひらがな推し』(テレビ東京)が始まってからの富田は、まさに“やってやるよ!”精神で、モノマネやトークなど積極的に参加し、MCのオードリーと絶妙な掛け合いを見せる。最近では『HINABINGO!』でもMCの小籔千豊に、得意とするニヤニヤしながらの即興モノマネを披露し、「度胸はすごい」と言わせたほど。また受けに回っても、渡邉美穂とのディスり合いで、キャラが迷走していることをツッコまれて意識が飛んだり、小坂菜緒の愛称「こさかな」を最初に言ったのは私だと主張するも、違うことが判明し撃沈したりと、最高のやられ役っぷりで番組を盛り上げている。まさにバラエティの名バイプレイヤーだ。春日が『キン肉マン』たとえでアシュラマンは富田と言っていたが、欅坂ファンからアイドルになり、今の特攻玉砕っぷりを見ているとジェロニモではないだろうか。

 『ひらがな推し』で共演した佐藤満春(どきどきキャンプ)が『ON8+1』(bayfm)で、「キャラ渋滞はツッコまれる余白を作っている。ツッコミやすい余白を作れるのはもうタレントとして超一流」「テロップの採用率が高い」とプロの目線から富田の才能を分析。それに対し、ブログで「ひらがな推しが始まってから、バラエティの頑張り方?というか価値観がすごく変わりました」「全部中途半端なのも、案外長所なのかもしれないですね?果敢に食いつく精神が大切!!!」と富田なりの解釈をしている。

 SHOWROOMの「スナック眞緒」(参考:けやき坂46 井口眞緒は新たな才能を発掘する天才だ 「スナック眞緒」が果たしてきた役割から考察)に出演した際に、井口眞緒の仕草や言動に富田がニヤニヤすると、「ムカつくこの女! ちょいうざキャラ!」と井口が言い出し、ディスり合いを展開。このやりとりに最高の名勝負と呼び声も高いが、番組の最後に富田が「また来たい。楽しかったー」と呟き、波紋を呼ぶ。それを聞いた井口が「ギャップ萌え」と褒めつつ、「昔サバンナの高橋さんが去り際に“楽しかった”と言うと好感度アップみたいなことを言ってた」とコメント。そして「鈴花ちゃんの本性がわからない!」とあの井口が困惑したのだ。地上波では見せない巧みな戦術を繰り広げた富田なだけに、もしかしたらネガティブキャラもすべて計算通りなのでは? と思ってしまうが、おそらくただのノリだろう。しかし、その潜在能力は計り知れない。

 バラエティ能力について触れてきたが、富田は歌もうまく、スタイルも抜群。さらに楽器を弾けるという才能も忘れてはいけない。デビュー当初には、目標とするアイドル像について「パフォーマンスもできてバラエティ、マルチな能力がある方が素敵だなと思います」(引用:『MARQUEE Vol.125』)と語っていたが、今まさに理想を現実にしている富田。バラエティ能力が高いと評される日向坂の中で、きっちりと自分のポジションを全うする富田の存在は、確実に大きいと言える。(文=本 手)