高橋一生、『東京独身男子』主題歌の色気とパッション エレカシ 宮本浩次との相性の良さにも注目
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俳優の高橋一生が現在放送中のドラマ『東京独身男子』(テレビ朝日系)で、主題歌「きみに会いたい-Dance with you-」を担当している。高橋は本作の主演(ほか主要キャスト・滝藤賢一、斎藤工)。自身の主演作の主題歌を自身で務めるという、初の経験に挑んだ。
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ドラマの内容はというと、都内に暮らす高スペックな独身男性3人(それぞれ弁護士、歯科医、メガバンク勤務)の恋愛観を軸にしたコメディ。「AK男子(あえて「AETE」結婚「KEKKON」しない男子)」と呼ばれ、独身ライフを謳歌していた彼らが、それぞれの事情から“結婚”に向き合わざるをえなくなり、大いに悩みまくる姿を描いていく。高橋はメガバンクでリサーチ部門のシニアアナリストとして働く石橋太郎役。家事スキルは高いが、3名の中ではもっともこじらせタイプであり、元カノへの未練を断ち切れずにいるという設定だ。
2017年のドラマ『カルテット』(TBS系)で、Doughnuts Holeとして主要キャスト4名(松たか子、満島ひかり、松田龍平)とユニットを組んだり、2018年に発売されたエレファントカシマシのトリビュートアルバム『エレファントカシマシ カヴァーアルバム3~A Tribute to The Elephant Kashimashi~』では、 東京スカパラダイスオーケストラとともに「俺たちの明日」をカバーしたりと、これまでいくつかの音楽作品に携わってきた高橋だが、「きみに会いたい-Dance with you-」は満を持してのソロデビュー作でもある。詞曲提供&プロデュースを手がけたのは前述のトリビュート以来親交のあるエレカシ・宮本浩次だ。宮本にとっても自身のバンド以外に楽曲を提供するのは初の試みとなる。この異色のタッグが実現した裏側には、高橋の「初めてのオリジナル楽曲をお願いするのは、敬愛する宮本浩次しかいない」との熱い思いがあったという。宮本以外にも、ドラムに屋敷豪太、ベースに根岸孝旨、ギターに名越由貴夫ら手練れのミュージシャンが結集している点も音楽ファンなら見逃せないだろう。
では、肝心の楽曲はというと、とにかく溢れ出るパッションに圧倒される。普段、抑えた演技が多い印象の高橋だが、本作では冒頭のシャウトに始まり、腹の底から絞り出すような発声で、文字通りの熱唱ぶり。加えて、かねてより美声が話題になっていた彼だけに、そこかしこに滲む色気にドキリとさせられる。歌詞も〈君に会いたい 今すぐ会いたい 心裸になって君と踊りたい〉〈君を抱きたい 全部奪いたい〉と、どストレートな愛の言葉が並ぶ。普段のエレカシの楽曲とは明らかに一線を画す言葉のチョイスには、宮本の新たな一面が垣間見える。宮本はほぼ全編にわたってコーラスでも参加。情熱的な曲を一層熱く彩る。
今回宮本は、高橋が演じる主人公・石橋太郎をイメージして書き下ろしたというが、劇中の石橋はどちらかといえば斜に構えた、スカした印象のキャラクター。しかし、その実、元カノへの断ち切れない想いは狂おしいほど彼を翻弄する。宮本はおそらくその部分を掬い取ったのだろう。本作のレコーディングにあたって高橋は「敬愛する浩次さんが全力で投げて下さった球です。芯に当たるかどうかではなく全力で振り抜くことだけ意識していたと思います」(引用:オフィシャルサイト)とコメント。一方、宮本も「一生さんの魅力が声に乗ってみんなに届くとことを第一に考えました。一生さんも全力の人なので非常に波長が合ったのではと勝手に思っています」と振り返る。まさに、ふたりのパッションのぶつかり合いが生んだ、渾身の1曲と言っていいだろう。
ドラマのエンディングで流れる「きみに会いたい-Dance with you-」は、さながら恋愛への情熱を忘れ、手軽な関係ばかりを繰り返してきた“AK男子”たちを、再び“戦場”へと駆り立てるような緊張感をともなって響く。三者三様の人生模様に今後どのような展開が訪れるのか、またその時にこの曲がどんな新たな表情を見せてくれるのか、ドラマの行方とともに見守りたい。
■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。