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『なつぞら』岡田将生、朝ドラの“寅さん”に? 広瀬すずの兄として、これまでにない一面も

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 『なつぞら』(NHK総合)の放送開始から1カ月が経った。1週毎にガラッと変わる舞台が新鮮でありながらも、瑞々しいなつ(広瀬すず)の感性、北海道の大地のようにたくましい柴田家の生き方が土台にある物語は、安心かつ我々の期待を遥かに超えていく。

参考:『なつぞら』第31話では、なつ(広瀬すず)が漫画映画を制作する「東京動画社」に足を踏み入れる

 勝農演劇部の番長・門倉努(板橋駿谷)がなつに告白するという、第4週の青臭さを微かに残しながら、第5週「なつよ、お兄ちゃんはどこに?」では、佐々岡信哉(工藤阿須加)の訪問を機に、兄・咲太郎(岡田将生)を捜しに、なつと富士子(松嶋菜々子)は東京・新宿へ。

 ベーカリー兼カフェ「新宿 川村屋」、クラブ「メランコリー」、浅草の劇場「六区館」と舞台は瞬く間に移り変わっていく。十勝の大自然をバックに、なつが優雅に絵を描く画から、劇場で開かれる艶麗なストリップショーとの緩急差は、朝ドラ史においても屈指のものだろう。そんな第5週では、川村屋のオーナーであり、マダムと呼ばれる上品な前島光子(比嘉愛未)、角筈屋書店の社長で新宿のことなら何でも知る茂木一貞(リリー・フランキー)、美空ひばり「リンゴ追分」にて見事な歌声を披露したメランコリーの歌手・煙カスミ(戸田恵子)など、次々と刺激的な新キャストが登場する。中でも、注目は咲太郎(岡田将生)に自ずと向く。

 幼少期の記憶として咲太郎(渡邉蒼)自体は何度も出ていたものの、成長した姿は今週が初。その登場の仕方はステージにバン!と出てなつと再会……というものではなく、咲太郎が師匠と仰ぐ芸人・島貫健太(岩谷健司)をふて寝から起こす、とびきり地味な姿だ。舞台袖でダンサーのローズマリー(エリザベス・マリー)から「今夜も待ってる」と誘われる様子からは、メランコリーと六区館の差、咲太郎が今置かれている身分を悟らせる。

 とは言え、咲太郎がステージに登場し、彼のタップダンスでなつが「お兄ちゃん!」と呼び再会するシーンは非常に感動的だった。富士子、信哉を交え、天丼屋でなつと咲太郎が昔話に花を咲かせる様子は、幸せな光景である。

 咲太郎は小さい頃から陽気な性格で進駐軍からも可愛がられていたが、それは今も変わらない。罵声を浴びせてくる客に「うるせぇー! バカヤロー!」と言い返す様子やなつからマダムの名前が出てあからさまに焦り出す仕草など、典型的な愛されキャラの役回りだ。

 昨年放送の『昭和元禄落語心中』(NHK総合)では、主演として色気ある人気落語家を演じていた岡田将生。森繁久彌をリスペクトし、どこか“フーテンの寅さん”をも思い起こさせる咲太郎の立ち振る舞いは、存在感を放ってきたこれまでのキャリアに、兄としての優しさと少しのコミカルな演技が入り混じった、岡田にとってありそうでなかった役柄だ。今はなつにとって後ろめたい立場にいる咲太郎だが、数少ない親族として、柴田家とは違った角度からなつを支えていくだろう。なつにとって柴田家がもう一つの家族としてあるように、咲太郎にとっても母親代わりの女性・岸川亜矢美(山口智子)が今後登場する。彼女の前ではまた新たな咲太郎の表情が見られるはずだ。

 第4週では十勝の夏、第5週では新宿が舞台となったが、第6週「なつよ、雪原に愛を叫べ」では打って変わって季節は十勝の冬へ。なつを正真正銘の家族にするため、泰樹(草刈正雄)は照男(清原翔)に「お前、なつと結婚しろ」と衝撃の一言を告げるラストとなったが、第6週ではなつを巡る天陽(吉沢亮)と照男の恋路がスキー大会を舞台に描かれる。ゲレンデを溶かすほどの熱い恋愛は、果たして生まれるのか。(渡辺彰浩)