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窪田正孝と本田翼が互いに引き出す表情 『ラジエーションハウス』はあたたかみのある医療ドラマに

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リアルサウンド

 患者ではなく遺体について描かれた『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)第5話は、CTやMRIを使って遺体の死因を究明するAi(オートプシー・イメージング)がテーマとなった。

 Aiのスペシャリストである威能(丸山智己)の勤める甘春総合病院に、公園で倒れていたという少年・直樹(南出凌嘉)が運ばれてくる。その後、死亡が確認された直樹は、死亡理由が不明瞭な異状死であったが両親はAiを拒否しており、その理由を検査で調べることができない。

【写真】子犬のようにキラキラした瞳を見せる窪田正孝

 直樹の死には、父親による虐待も疑われていた。直樹の母は最終的にAiを受け入れ、診断することで直樹の死亡理由が肝臓破裂と発覚すると、何者かによる殺人の可能性も浮上。病院で直樹の弟・雄太(斎藤汰鷹)と近所に住む少年・山村肇(小林喜日)が待っている様子を見た唯織(窪田正孝)は、Aiの検査結果と、これまでの観察からとあることに気づく。

 結果として殺人事件だと描かれた第5話は、親子の絆や繋がりが描かれた。それとともに、Aiによって解明される異状死の理由や、Aiを受けることの重要性が説明された。医療機関の中でAi受け入れを縮小したいという意見が出ているシーンも挟まれ、現在の医療の現場での問題がリアルに映し出されていた。こういった医療現場の裏側がドラマで描かれることで、一般の人々にも検査の重要性が広く知れ渡る啓蒙の力も秘めているだろう。

 さらに第5話では、冒頭から杏(本田翼)が唯織を頼る場面があり、信頼を置いているという様子がはっきりと見えてくるようになった。そんな杏を見て喜ぶ唯織の表情もこの作品の見どころである。医療ドラマとなると、どうしても今回のように少し悲しい内容や、健康でない人ばかりがフィーチャーされてしまい気分が沈みがちだ。しかし唯織の笑顔や、変顔ばりの顔芸によって見せられる感情の豊かさは、そういった暗い雰囲気を吹き飛ばす。窪田はそうして、このドラマを重すぎない、あたたかさのある作品としてバランスをとっている。

 さらに、子犬のようにキラキラした瞳で、呼ばれれば「はいっ!」と寄ってくる唯織を演じる窪田の器用さは、杏の前と本音の時とで声の高さが大きく違うところだ。唯織は普段高くて可愛らしい声で話す。しかし読影の時や、杏の前でかっこつけるときは低い、全く違う声色を出すのであった。芝居においてここまで巧妙に声を使い分けるのは、表現方法としてもとても面白く、視聴者にとっても自然とメリハリが生まれる。作品に緩急をつけてより魅力的にしているのは、窪田の力でもあるだろう。

 威能と妹のように、悲しかったり心が痛むエピソードもあるが、それでも最後は前向きになれる。ひとりひとりの放射線技師に順番にスポット当てながら、成長や人間性が描かれていく。そして我々視聴者は、キャラクターについてより深く知ることができるのだ。次回は誰がスポットライトを浴びるだろうか。

(Nana Numoto)