中条あやみは“愛すべきキャラ”になれるか? 『白衣の戦士!』で堪能する“ナースドラマ”の醍醐味
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中条あやみと水川あさみがW主演を務めるドラマ『白衣の戦士!』(日本テレビ系)が、想像を超えるコメディ作品として話題を呼んでいる。これを機に、観月ありさ主演『ナースのお仕事』(フジテレビ系)について振り返る視聴者も多い中、あらためてナースドラマの魅力について考えてみたい。
『白衣の戦士!』の主人公は、天真爛漫で型破りな“元ヤン”新米ナース・立花はるか(中条)。「今年中に結婚退職!」を目標に婚活中の“がけっぷち”先輩ナース・三原夏美(水川)から厳しい指導を受けつつ、仕事に恋に奮闘する物語だ。
昨今の病院を舞台にしたドラマと言えば、『コード・ブルー』(フジテレビ系)、『コウノドリ』(TBS系)、『グッド・ドクター』(フジテレビ系)など、医療関係者からも高い評価を受けるほどリアリティを追求した作品も多いが、『白衣の戦士!』はそれらとは土俵が異なるドラマ。専門用語が飛び交う緊迫したシーンはなく、主人公・はるかが “ありえない”ミスをおかしながらも、ナースとして成長していく様を描くコメディドラマである。
まるで吉本新喜劇のように、ナースたちが揃ってズッコけてみたり、アニメーションを用いて登場人物の喜怒哀楽を演出してみたりと自由自在。そのコミカルさは『ナースのお仕事』を超えるレベルで、あらゆる意味でその衝撃はなかなかのもの。“古い笑い”とも捉えられるが、命の現場を舞台にしている以上、中途半端なコメディではなく、ここまで振り切った作品にしなければ成立しないという“今の時代”ならではの作風といえるのかもしれない。
さて、医療モノが人気を呼ぶ要因のひとつとして“一話完結”というところがあるが、もちろん今作も同様。毎回違う患者にフィーチャーするため、各話ごとにテーマがわかりやすいのである。その上で、心に傷を負っている患者が多いという点は、看護師ドラマならでは。医療モノには、医師の手腕を物語の軸とする作品も多いが、看護師ドラマではそれが成立しない。裏を返せば、医療モノでありながら、治療ではなく患者との心の触れ合いをメインに描かれるのが、看護師ドラマのおもしろさといえるだろう。
一生懸命な新人ナースが、患者や上司たちの心を動かす人間ドラマであることが基本セオリー。その中で『ナースのお仕事』の朝倉いずみ(観月)は、ドジでおっちょこちょいだが、どこか憎めない愛嬌が最大の魅力だった。一方『白衣の戦士!』のはるかは、中条の美しさが際立っているとはいえ、元ヤン設定も相俟って今のところ“愛すべきキャラ”とは言いがたい。仕事ができず、さらにはキレやすい看護師を、長期入院患者から慕われる朝倉のような愛らしい看護師へと昇華させることができるか。そこが、物語がヒットするか否かのキーポイントとなりそうだ。
何はともあれ、権力争いなどお堅いイメージのある医療ドラマとは真逆の位置にあるナースコメディ。「こんなナースはイヤだ」とツッコを入れつつ、ただ笑い、ホッコリする。これが『白衣の戦士!』の正しい鑑賞法であることは間違いない。難しい考えは一切排除。はるかの看護師としての成長に、中条の女優としての成長を重ねながら、第4話以降も「かわいい」連呼で、ドラマを楽しみたいと思う。
(nakamura omame)