『名探偵ピカチュウ』4DX版はポケモンファンの“夢”を叶えてくれる!? 臨場感満載のアクション
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『名探偵ピカチュウ』は何よりもポケモン好きにはたまらない作品だ。平成が終わったばかりのタイミングで平成を代表するゲームシリーズがここまで見事に実写化されたことは素直に喜びたい。筆者が見た4DXバージョンは本作の「ポケモンがそこにいる!」「そして自分がポケモンのいる世界観に来ている!」というシンプルな喜びを増大させてくれている。
刑事をしていた父が死んだという報を聞き、都会にやってきた主人公の青年が、その真相を探っていくうちに巨大な陰謀に巻き込まれていくというプロット自体は往年のフィルムノワールのようだが、そこにポケモンと人間が共存する街ライムシティという要素を入れていることで、本作は一切暗くはならず終始キュートで楽しい映画になっている。
主人公のティムは、父の部屋でパートナーポケモンだったというピカチュウに出会うが、なぜか彼だけがそのピカチュウの話す言葉が分かるようになっていた。とにもかくにも、父に何が起きたのか探るためティムは喋るピカチュウと一緒にライムシティを回って情報を集めていく。
“名探偵”と題についているだけあって、いろんな場所での証拠や証言集めをするシーンが多いのだが、それらのシーンにおいてはポケモン同士のやり取りや、そのキャラの個性が発揮されることとなる。
ライムシティはポケモンがモンスターボールに入らず、人間と同じ対等な住民として暮らしている理想都市。あちこちの少しレトロフューチャー感のある景観の中にお馴染みのポケモンたちがゲームやアニメそのままのデザインで存在しているのを見ているだけで目が喜んでしまう。
パントマイム的な動きをしてバリアを張るポケモン・バリヤードとのギャグの絡みなども最高だが、本作はしっかりとアクション描写もやってくれている。
例えば、猿型のポケモン・エイパムの群れに襲われて追われる序盤のシーンは4DXシアターの座席の揺れでビル群の間を高低差を活かして逃げるティムとピカチュウの動きを追体験することができる。また、裏社会の情報を聞き出すために忍び込むポケモンバトルの地下闘技場に行くシーンでは、炎タイプのポケモンの代表格・リザードンと戦うことになるのだが、そこでリザードンが吐く火炎放射の臨場感も座席後頭部を暖かくする演出で表現している。
その直後にも様々な演出を盛り込まれ、水タイプの代表格のとあるポケモン(是非劇場で確認してください)が出てきて盛大に水しぶきを上げるなど次々と畳み掛けてくるのも嬉しいところだ。
子どもの頃にゲームをしたりアニメを見ていて抱いていた「実際に目の前で特殊能力を持ったポケモンが大暴れしたらどんな感じなんだろう」という疑問に十数年越しに答えてもらったようだった。
また、中盤にはポケモンのスケールをはるかに超えた予想外の怪獣映画、もしくはディザスター映画級のド派手な描写もあり、そこは本作の4DXの白眉となっている。岩が崩れ砕け飛んでこっちに向かってくる怖さや激しい揺れ、足場がどんどんなくなっていく様の臨場感を、まさか『名探偵ピカチュウ』というタイトルの映画で味わえるとは思ってなかったので嬉しい驚きだった。
そして肝心のメインポケモンであるピカチュウのアクションはどうなのかというと、電気タイプポケモンとしての彼の見せ場は、とある理由でクライマックスまで焦らされるのだが、だからこそアニメシリーズでもお馴染みの電撃攻撃の描写が炸裂するシーンのカタルシスはしっかりある。そこでもピカチュウが電気をチャージするときのビリビリした空気の揺れやそれを放出する時の衝撃をしっかり4DXで表現しているので、「ついに出た!」という喜びを増幅させてくれる。
またラストのアクションシークエンスは高低差のあるビル群が多いライムシティという舞台を活かした縦横無尽な空中戦まで描かれており、そこでも4DXの臨場感が存分に発揮される。
予想外にアクションとして見どころが多い本作だが、もちろん謎解き要素もしっかりあってそちらも楽しめるものになっている。4DXだと吹き替えで見られるのだが、謎解きサスペンスとしての情報量の多さも吹き替え版ならよりわかりやすくなって見やすい。ライアン・レイノルズがピカチュウを演じているのが大いに話題になっているが、吹き替え版も西島秀俊がピカチュウ役であり、あのクールな西島がピカチュウを演じている事実だけでなんだか面白くなってくる。そして、やはりポケモンのいる世界は日本語が似合う。
臨場感満載のアクション、そしてポケモンが確かにそこにいるという存在感を感じるためにも『名探偵ピカチュウ』4DX版は大いにおすすめしたい。(文=シライシ)