今年1月に東京・LINE CUBE SHIBUYAでのワンマンをソールドアウトさせたことも記憶に新しい大阪・高槻発の4人組ロックバンド、TRACK15。急速に広がりを見せ、勢いに乗る彼らが、バンド史上最大規模となる全国ツアー『TRACK15 ZEPP ONE MAN Tour 2026』の東京公演、Zepp DiverCity(TOKYO)を7月5日に開催した。ソールドアウトしたフロアには、若い世代を中心に多くの観客が集まった。
開演時刻と同時にフロアが暗転し、SEに乗せてメンバー4人が一斉にステージに現れる。寺田航起(g)の奏でるアルペジオに乗せて蓮(vo/g)が「夏色日記」を歌い始めると「会いたかったよ、東京!」と呼びかけ、ライブがスタートした。寺田と高橋凜(b/cho)は向かい合わせで演奏したり、ステージ前に躍り出て観客とアイコンタクトを取るなどし、前田夕日(ds/cho)は楽曲の展開に合わせたビートを刻み、ドラマチックにドライブする。そこに蓮のソフトな歌声が重なり、会場は爽やかかつ鮮やかな情景が広がった。
華やかなメロディとカラフルな照明が美しく舞った「ダーリン」、観客のクラップも演奏の一部にしてエネルギーを増幅させた「ハルハル」、サビでフロアからシンガロングが起こった「私的幸福論」とたたみかけ、ポジティブな空気で会場を導く。蓮は歌詞を引用して「ありのままの言葉伝えに来たよ」と歌うなど、観客一人ひとりに感謝を伝えるように優しい声を響かせた。
満員のZepp DiverCityを見渡して「すごい景色や」と感慨に浸る蓮は、大阪出身のバンドが東京のZepp公演をソールドアウトできたことや、観客が自分たちをアットホームな空気で迎えてくれたことへの喜びをあらわにする。「ここにいるひとりでも多くの人が、音楽を通して、あわよくばTRACK15を通して幸せになってくれればいいなと思っています。バカみたいに騒いで帰りましょう!」と笑顔で呼び掛けると、「シティーライト、今夜」へ。ジャンプを求めるとフロアはジャンプで応えるだけでなくクラップをしたり、4人の奏でるロマンチックでピュアな音色に身を委ねるなど、思い思いに4人の音楽を楽しむ。蓮が「歌える?」と問いかけると観客も全力で歌声を届け、その光景はステージの4人とフロアの観客が、TRACK15の音楽で待ち合わせをするような高揚感に満ちていた。
メンバー紹介から「青い夏」につなぐとステージも青く染まり、4人は一音一音に熱を封じ込めるように丁寧に演奏すると、蓮が「今日は(これまでの2公演から)ちょっとセトリを変えてみようと思う」と告げ、「プラネタリウム」へ。歌詞に綴られた“あなた”への想いにいま湧き上がる観客への想いを乗せ、そこには音楽を通して出会えたことへの歓喜の念があふれる。幻想的なギターの音色の導入から観客を引き込んだ「月」では、甘美さや純粋性、真摯さ、憂いなどを含んだ音色と歌声が会場を包み込んだ。TRACK15の音楽は、大切にしている相手へのとめどない愛情だけでなく、大切だからこそどうしても自分自身の心の奥に生まれてしまう弱さや悲しみ、やるせなさまでをも含んでいる。そんな人間くささが、奥ゆかしさをもって丹念に描かれているからこそ、リスナー一人ひとりの感情や記憶と深く結びつくのだろう。それを再確認する、静謐かつ気魄が漲る熱演だった。
折り返し地点のMCでは蓮、高橋、前田が東京での思い出トークを繰り広げ、寺田はその様子を黙って聞きながら時折ジェスチャーやギターの音でリアクションを取るなどして和気あいあいとした空気を作る。そして東京での初ライブとなった『TOKYO CALLING 2022』下北沢Flowers Loftでのステージを振り返り、観客は10人に満たない程度であったものの東京にも自分たちの音楽を聴いてくれている人がいるという事実に感動したことや、当時のハプニングを語り会場を笑いに包んだ。
前田は「そんな僕らがZepp DiverCityという素晴らしい会場でワンマンライブをソールドアウトなんて、ほんまに胸がいっぱいです」と感謝を告げ、蓮が「音楽に対する必死な気持ちや、みんなに俺たちの音楽を伝えたいという気持ちは今も絶対に変わっていないと言い切れます」「ここまで歩んできたすべての思い、誰かに言ってもらったことや悔しかったこと、全部ひっくるめてみんなの心に置いて帰ります」と熱い眼差しで伝えると、「君ノーベル」で清らかな甘い空気を作り出す。その後はおもむろに蓮が単身ギターを弾き始め、徐々にその音は鋭い集中力が宿り、会場は一気に息を呑むほどの緊迫感に包まれた。
静かに後悔を思わせる歌詞を歌い始めると、蓮は「誰かを一途に思う気持ちが今夜報われますように」と告げ、「ブーケ」を歌い出す。楽曲に綴られた複雑な心情を細やかに伝えるボーカルと、それをより豊かに響かせる演奏が、観客一人ひとりの心にじっくりと染み渡った。そして「今歌った曲と同じやつに向けて書いた歌をもう1曲」と告げ、「ふゆのうた」を披露する。4人はさらに一丸となり、同じ熱量をもって楽曲に向き合った。不器用すぎるほどに純度の高い愛情が綴られたバラードは、観客一人ひとりの悲喜こもごもに火を灯す。より輝かしい未来を求めるような願いにも近い歌と音色には、一点の曇りもなかった。
再度4人を代表して感謝を告げる蓮は、観客がほぼいなかった時期や当時抱えていた空漠とした思いを振り返り、「こんなでっかいステージに立たせてもらって、ありがたいことにソールドアウトで。キラキラした世界にいるように見えるかもしれないけど、それはほんの一部で、当たり前に苦しいことばっかりなんです」と言い、これまでの人生で様々な苦悩を抱えてきたことを打ち明ける。そして「“なんで自分ばっかりこんな目に遭うんだ”と思うこと、みんなもあるでしょ? まったく同じなんです。ただ歌が好きだからここに立っているだけ」と続け、「世の中は強そうに見えて弱いやつ、幸せそうに見えて泣いてるやつばっかりなんです。俺はそんなやつに歌が歌いたい。俺と俺みたいな弱いやつに思いを届けたい。全員救いたい」とまっすぐに思いを伝える。それと比例して、彼のかき鳴らすギターの音も熱を帯びていった。
「俺はあなたにしか歌いません。俺みたいな弱いやつに、自分の人生を賭けた歌を届けていきます」と堂々と告げると、「千年計画」にその思いをしかと込め、観客と心を通わせる。続いての「話したいこと」では4人全員が晴れやかな笑顔を浮かべ、観客も高く掲げた拳と大きな歌声で4人に思いを届けた。そして蓮が「愛してるよ東京! 俺らの人生がハッピーエンドでありますように」と叫び、「ハッピーエンドで」で本編を締めくくる。開放感のある楽曲と伸びやかな演奏、観客のシンガロングや溌溂としたワイパー、自然体でありながらも頼もしい4人の佇まいなど、どこを切り取っても幸福感しか存在していなかった。
アンコールでは「最後にどの曲をやろうかすごく悩んで、みんなで話し合って決めました」と言い、「夜と僕の話」を届ける。全15曲、彼らはただただ目の前の観客に自分たちの音楽といま湧き上がる感情を伝えることを重んじ続けていた。そんな実直な姿勢が、観客一人ひとりの心に根付いたTRACK15の音楽を、より強固なものとしていた。ステージにもフロアにも、終始健やかな空気が流れたZeppファイナル公演。と、11月1日(日)の『TRACK15 ONE MAN LIVE at 大阪城音楽堂』では、またさらにスケールを増した、情熱的なステージを見せてくれるだろう。信念と覚悟を持って未来へと向かう彼らの姿は、とても凛々しかった。
<公演概要>
『TRACK15 ONE MAN Tour 2026』
7月5日 東京Zepp DiveCity(TOKYO)
【Setlist】
01. 夏色日記
02. ダーリン
03. ハルハル
04. 私的幸福論
05. シティーライト、今夜
06. 青い夏
07. プラネタリウム
08. 月
09. 君ノーベル
10. ブーケ
11. ふゆのうた
12. 千年計画
13. 話したいこと
14. ハッピーエンドで
en. 夜と僕の話
■TRACK15 ZEPP ONE MAN Tour 2026 / セットリストプレイリスト
http://track15.lnk.to/ONEMANTOUR2026
<公演情報>
『TRACK15 ONE MAN LIVE at 大阪城音楽堂』
11月1日(日)大阪・大阪城音楽堂
開場16:00/開演17:00
【チケット情報】
前売 5,500円(税込)
▼オフィシャル3次抽選先行中
受付期間:9月13日(日)23:59まで
Official Web Site
https://track15.jp/