山田洋次が“先輩”橋田壽賀子の名を冠した賞に感激、大泉洋は「観てない」に驚愕
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第27回橋田賞授賞式にて、前列左から宮崎あおい、内藤剛志、橋田壽賀子、山田洋次、松坂慶子、大泉洋。後列左から藤尾隆、永野芽郁、菅田将暉、安住紳一郎、いとう菜のは、三谷武史。
第27回橋田賞の授賞式が本日5月10日に東京・ホテルニューオータニで行われ、受賞者の山田洋次、大泉洋、宮崎あおいらが出席した。
脚本家の橋田壽賀子が理事を務める橋田文化財団によって設立され、日本人の心や人と人のふれあいを温かく取り上げてきた番組と人に対して与えられる同賞。2018年6月にTBS系で放送されたドラマ「あにいもうと」からは脚本を担当した山田、キャストの大泉と宮崎が橋田賞を受賞した。山田は60年以上前に神奈川・松竹大船撮影所で助監督を務めた時代に思いを馳せ、撮影所の脚本部に橋田がいたことを述懐。「当時は女性の映画人が本当に少なかった。橋田壽賀子さんという女性が僕たちの先輩なんだというのが印象的で。“先輩”からこのような光栄な賞をいただけて本当にありがとうございます」と深い感謝を述べた。
同ドラマで兄を演じた大泉は、かしこまった口調で「何から話していいのか……」と悩んだ末にドラマ撮影時のエピソードを早口でまくしたてる。宮崎から懐妊の知らせを受けたエピソードや、山田が現場見学に来た際に監督と並んで演出し始めたことを面白おかしく回想。「至福の時間だったなあ。これからもこんなドラマがたくさん作られていけばいいなと思います」と夢見心地でスピーチを締めたが、橋田からは「ちょうどクルーズで旅に出ていたので『あにいもうと 』は拝見できなかったんです」と衝撃の言葉が。「この賞、誰からいただいたんですか!?」と嘆く大泉を、橋田は「(選んだのは)選考委員です。私は理事長、何もしない女です。でもほかの作品でたくさん拝見していますよ。素晴らしい俳優さんだと思っています」とマイペースに褒めたたえた。
2018年10月に第1子を出産した宮崎は「こんなにキラキラした場所に立つのは久しぶり」と笑顔。「役者としてこれから自分が何をできるかわかりませんが、コツコツ丁寧に積み重ねていければいいなと思います。橋田先生に今日お会いできたことが一番うれしいです」とスピーチする。橋田は大泉と同様、宮崎にも「『あにいもうと 』は拝見できてないんですけど、ほかのドラマでは拝見しています。ファンです!」と声を掛けていた。
またテレビドラマ「昭和元禄落語心中」で受賞した岡田将生は本日欠席のため、ビデオメッセージの上映が。岡田は準備期間からクランクアップまで約9カ月も落語漬けの日々を過ごしたことを振り返り、「まだ八雲という役が僕の体に宿っていて、ドラマの撮影の日々が頭の中に記憶として残っております。このドラマでこの賞をいただけたこと、本当にうれしいです。素晴らしいドラマに出会い、もっと素晴らしいお芝居ができるよう精進していきます」と気持ちを新たにする。
さらに授賞式では、NHK連続テレビ小説「まんぷく」などに出演した松坂慶子が「橋田先生を見習って、私も20年、30年とがんばっていきます」と誓った。テレビドラマ「警視庁・捜査一課長」「科捜研の女」シリーズなどの内藤剛志が「64歳でこの賞をもらうとは、まだまだ可能性が残ってるからがんばれと言われているよう。体も気持ちも続く限りこの仕事を続けたいと思います」と話す場面も。アナウンサーとしての功績をたたえられた安住紳一郎は「なぜ私が橋田賞を?という気持ちでしたが、人間とは怖いもので。この目録の中には現金が入っているようで、しっかりした重さがあります。これを握った瞬間誰にも渡さないという気持ちになりました。橋田賞、確かに受け取りました」と饒舌に語り、「私たちのような脇役に陽を当ててくださり、本当にありがとうございます。これからも皆様の活動を力の限り後方支援していく所存です」と誓った。
※宮崎あおいの崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
第27回橋田賞 受賞結果
橋田賞大賞
該当なし
橋田賞
山田洋次(テレビドラマ「あにいもうと」などの脚本に対して)
松坂慶子(大河ドラマ「西郷どん」、NHK連続テレビ小説「まんぷく」での演技に対して)
内藤剛志(テレビドラマ「警視庁・捜査一課長」「科捜研の女」シリーズなどでの演技に対して)
大泉洋(テレビドラマ「あにいもうと」での演技に対して)
宮崎あおい(テレビドラマ「あにいもうと」での演技に対して)
岡田将生(テレビドラマ「昭和元禄落語心中」での演技に対して)
菅田将暉(テレビドラマ「トドメの接吻」「dele」での演技に対して)
安住紳一郎(長年にわたりバラエティや報道番組で活躍してきた功績に対して)
橋田賞新人賞
永野芽郁(NHK連続テレビ小説「半分、青い。」での演技に対して)
平成30年度橋田賞新人脚本賞
入選作:「蜘蛛の糸」いとう菜のは
佳作:「52歳のエレジー」三谷武史