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使命を胸に、獅童が放蕩者の虚しさ表現「オフシアター歌舞伎」本日開幕

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オフシアター歌舞伎「女殺油地獄」ゲネプロより。

オフシアター歌舞伎「女殺油地獄」が本日5月11日に東京・寺田倉庫で開幕する。これに先駆け、昨日10日にゲネプロと囲み取材が行われた。

「倉庫で歌舞伎をやってみたい」という中村獅童の思いをきっかけに立ち上がったオフシアター歌舞伎は、倉庫やライブハウスといった劇場以外の場所で上演を試みる企画。オフシアター歌舞伎の幕開けを飾る演目には、近松門左衛門が書き下ろした世話浄瑠璃「女殺油地獄」が選ばれた。脚本・演出は赤堀雅秋が手がける。

去る3月の取材会で獅童が明かした通り、今作のステージは四方が客席の囲み舞台となっており、舞台を囲むように幕が吊るされ、開場中にはそこに映像が投影された。舞台美術は至ってシンプルで、四方のうち1箇所の客席に花道が設置されている。

獅童が演じるのは、大坂天満にある油屋河内屋の息子・与兵衛。2006年の「三越歌舞伎」でも同役を勤めた経験のある獅童は、放蕩者の与兵衛が狂気に陥る様と、彼が抱える虚しさを丁寧に描写し、与兵衛の同業者である豊嶋屋七左衛門の女房・お吉と、芸者の小菊の2役を演じる中村壱太郎は、気立てのよいお吉としたたかな小菊を見事に演じ分ける。また、お吉の夫・七左衛門と山伏の白稲荷法印を演じる荒川良々は、張り詰めた空気を軽妙な演技で和らげ、観客の笑いを誘った。

ゲネプロ前に行われた囲み取材には、獅童、壱太郎、荒川、赤堀が出席。オフシアター歌舞伎の発起人である獅童は「倉庫やライブハウスで歌舞伎をやるのが長年の夢だったので、気持ちが高まるばかりです。観劇しているというより、与兵衛がお吉を殺害した当時にタイムスリップして、事件を目撃したような感覚になっていただければ」と見どころを語ると共に、「伝統を守りつつ革新を追求して、古典の新たな可能性に挑戦したい。歌舞伎を観たことがない若い方たちに振り向いてもらうこと、それが自分の使命だと思っています」と決意を新たにする。続く赤堀も「歌舞伎を観たことがない層の方々に足を運んでもらうきっかけになったら」と展望を述べた。

記者から意気込みを問われた荒川は、獅童を見つめながら、「中村獅童を食うつもりで挑みます」とコメント。また壱太郎は「空間が特異なので、この舞台とどのように向き合ったらよいかを考えていきたい」と意欲を見せた。

寺田倉庫での公演は5月17日まで。その後、5月22日から29日まで東京・新宿FACEで上演される。

オフシアター歌舞伎「女殺油地獄」

2019年5月11日(土)~17日(金)
東京都 寺田倉庫 G1-5F

2019年5月22日(水)~29日(水)
東京都 新宿FACE

作:近松門左衛門
脚本・演出:赤堀雅秋
出演:中村獅童、中村壱太郎、上村吉弥、嵐橘三郎、赤堀雅秋、荒川良々 ほか