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古田新太に触発される道枝駿佑と心を閉ざす永瀬廉 『俺スカ』が示す「ダイバーシティ」とは?

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リアルサウンド

 職業体験の授業で探偵事務所の仕事を体験するという、一見トリッキーなストーリーを展開した『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)第4話。しかしそこで語られたのは、「ありがとう」と「ごめんなさい」という言葉がいかに重要であるかという真っ当な教えだった。探偵事務所に舞い込んだ「人探し」という依頼から物語は動き出し、東条(道枝駿佑)や明智(永瀬廉)ら生徒たちが、「他人」の姿を見ることによって「自分」を見つめ直していく様が描かれていく。

参考:場面写真はこちらから

 冒頭、「食事代を払ってくれた人にお礼が言いたい」という依頼から、探偵事務所に職業体験をしていた原田や東条、若林(長尾謙杜)らは人探しを始めることに。一方、明智たちが体験に訪れた工場では、「機械を壊しても責任を取れない」という工場長(岡部たかし)の無責任な発言からなかなか仕事をさせてもらえない。そんな工場長に反発した明智らは、職業体験をボイコット。しかしその行動も校長(いとうせいこう)や工場長から責められて……。そうしたストーリーのなかで、徹底的にダメな上司として悪態をついていた日の出製作所の工場長に、生徒たちの先生として潔く土下座をしてみせた原田のぶお(古田新太)。この対比を軸として、大人たちの言動から良いところを学び、悪いところを反面教師とするような生徒たちの姿が印象的だ。

 初回放送から本作が一貫しているのは、学園ドラマにはありがちな「先生の説教によって改心していく生徒」という見せ方にこだわらず(むしろ積極的に回避し)、極端な行動やキャラクターを携えた様々な大人たちの行動から、生徒たち各々が各々の見方で学んでいく姿勢を捉えているところだ。だからこそ、アクションを起こす大人たちと、そのリアクターとなる2年3組の生徒たちの行動が印象的に映る。とりわけ今回のストーリーの鍵になっていたのは、明智と東条のリアクションとその差異。明智は大人に失望する一方で、東条は目の前で繰り広げられた光景に心を動かされ、除け者にしていた若林に謝罪することを決める。

 駒井和真(堀家一希)の善行と、探すのに苦労しながらもその行動にお礼を伝えるおばあちゃん。そこに関連する、上司が後輩のために優しくしたりごはんを奢ってあげるという描写や、人探しに奮闘する姿。それを見てなのか、若林に謝罪した東条。そのようなちょっとずつ「良いこと」や「誠実さ」のようなものが伝播し、人と人とのつながりができていくのが爽快で気持ちいい。

 他方で、明智の心境はまだ計り知れず、以前、心を閉ざしているように見える。しかし一般的には「良いこと」が展開されても、人の気持ちのありようはそれぞれなのだから、明智のように心に刺さらないということがあっても当然だし、むしろその方がリアルだ。豪林館学園高校の掲げる(おそらくこのドラマの主題でもある)「ダイバーシティ」というものも、そうしたところにこそ潜んでいるのかもしれない。それでもやっぱり、他人への寛容性というものを明智には少し期待したくなる。そう簡単には他人に影響されそうにない明智が、『俺スカ』および原田の今までにない教育法によってどのように変わっていくのか、そこが今後の見どころだろう。

※高橋ひかるの「高」はハシゴダカが正式表記。 (文=原航平)