窪田正孝と本田翼が交わしたハイタッチの意味 『ラジエーションハウス』が描いたチームの結束力
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父の背中を追い、たどり着けないもどかしさに葛藤する杏(本田翼)の姿を描いた『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系)の第6話。IVRというおなかや胸を切らずに臓器や血管の治療ができる方法に焦点を当て物語が進み、放射線科のチーム力が再確認できる回となった。
【写真】手術着姿の本田翼
周りには隠しているが医師免許を持つ唯織(窪田正孝)が、放射線技師としてどこまで踏み込めるのかなど、医療行為へのアプローチがリアルに描写される。そして、唯織が医師という立場を選ばない理由も明かされた。医師法に触れるギリギリのラインを攻めながらも、放射線技師として強いやりがいを持って職務を全うする唯織に、杏やラジエーションハウスのメンバーも触発されていることがわかる。IVRに挑むことが決まった杏とラジエーションハウスの面々は、不測の事態でも慌てずに対応し、無事、IVRを成功させる。チームの結束力と、本気で患者を助けたいという思いが強く表れていた。
ドラマ冒頭で運ばれてきた少女をIVRで救えず、傷が残ってしまう開腹手術を選択することになってしまった杏。杏はその患者を、父ならIVRで救えたと自身を責めるのであった。唯織は、こっそりIVRの勉強をし“いつか”の杏のサポートに向け準備を進める。そんな唯織の姿を見て、裕乃(広瀬アリス)や他のラジエーションハウスの面々も勉強を進めるのであった。杏の葛藤や苦しみに対して、かける言葉が見つからない唯織は、態度で寄り添うことを選んだ。そして唯織に寄り添ったのはラジエーションハウスのメンバーである。お互いがお互いを信頼し、サポートしようという強い気持ちで起きたこの連鎖。バラバラだった甘春総合病院が徐々に一つになっていく様子を繊細に描いていて、心が暖かくなる。
医療行為と直面している瞬間だけが医療従事者の姿ではない。新しい技術の習得、他のスタッフのサポート、新たな病気への対策など、業務時間外も吸収しなければならないことでいっぱいだ。命を扱う仕事だからこそ、常に前へ進み続けなければならない。時には強いプレッシャーに押しつぶされて、杏のように立ち止まりたくなる時もあるだろう。そんなリアルな気持ちを本作は丁寧に描いていた。しかし、杏が1人ではなかったように、病院には常にサポートしてくれるスタッフが大勢いる。1人で戦っているわけではないのだ。医療の現場におけるチームの重要性と、信頼という結びつきの強さが浮き彫りとなった。
杏と唯織のハイタッチには、重要な意味が隠されていると感じる。恋愛だけではなく、職場の頼れる仲間としての愛情も、唯織と杏を繋ぐ重要な役割を果たしているのではないだろうか。第1話と比べ、高圧的な態度が減り、素直に気持ちを表現するようになった杏。そんな杏の成長はこの作品の見どころでもあるだろう。
(Nana Numoto)