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広瀬すずの葛藤と、吉沢亮の厳しさ 『なつぞら』に生まれ始めた不協和音

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 NHK連続テレビ小説『なつぞら』第39話では、主人公・なつ(広瀬すず)の母である富士子(松嶋菜々子)と兄の照男(清原翔)が、なつの命の恩人である弥市郎(中原丈雄)と砂良(北乃きい)の家を訪れた。

 第38話にて、「アニメーターになりたい」という願望ではなく、「なる」という決意を天陽(吉沢亮)に示したなつ。ところが世話になっている家族には、“東京の兄を支えたい”ということを名目に、上京したい旨を切り出してしまう。これにはいつだってなつの味方でいる祖父・泰樹(草刈正雄)も珍しく激昂し、彼女は自棄になる。穏やかなドラマ自体にも、不協和音が生まれ始めたのだ。

【写真】2年前の吉沢亮

 その尾を引いての本日の第39話だが、幼馴染みであり、なつにとって“親友”でもある天陽との間にも妙な居心地の悪さが生まれてしまった。“東京の兄を支えたい”というのを口実に、アニメーターの道を志すことを家族に伝えなかったなつのことを、天陽が咎めたのだ。こんなに厳しい態度の天陽も珍しい。なつは「じいちゃんのことを裏切れない」と口にするが、天陽は「言わない方が裏切りだ」と冷たく返す。

 なつに対して微かな恋心の芽生えのようなものを感じさせる天陽だが、彼は自身のどういった真意のもと、このような発言をしているのだろうか。なつのその背を押してあげたい気持ちは分かるのだが、いち視聴者として、日に日にもどかしさが募っていく。この後の展開に注目だろう。 

 一方、遭難したなつを救い出してくれたお礼にと、弥市郎と砂良の暮らす阿川家を訪れた富士子と照男。お礼の品には自慢の牛乳を持参した。そこで富士子は、なつが一晩中、眠らずに絵を描いていたことを知るのだ。それは、木彫りのアーティストである弥市郎に「あの集中力は尋常じゃなかった」と言わしめるほどのものであったらしい。こうしてなつは、いかに自分が絵を描くことが好きか、その想いを家族に知られることとなったのだ。

 ところで、照男と砂良の言葉少なのやり取りも、少し気になるものであった。自分たちが丹精を込めて搾った牛乳を、砂良は手料理の鍋の中に入れ、それを照男に供する。このあまりに自然なやり取りの流れと、照男の微笑みが気になるのである。

 この阿川家が、これからの『なつぞら』の展開のカギを握っていそうな気がしてならない。

(折田侑駿)