『名探偵ピカチュウ』、日本に続いて全米でも大ヒット 今年は「ポケモン映画イヤー」に!?
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ゴールデンウィークの4強、『名探偵コナン 紺青の拳』、『アベンジャーズ/エンドゲーム』、『キングダム』、『名探偵ピカチュウ』が引き続き好調を維持している。その中で公開が最も遅かった『名探偵ピカチュウ』が先週末は動員ランキングのトップに立った。土日2日間の動員は20万9000人、興収は3億1200万円。累計では動員103万人、興収14億円を突破している。
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週末の動員ランキングでは1位→2位→2位と推移している『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、先週末は3億1600万円をあげて、興収では初週に続いて2週目の1位に。巷では、昨年に続いて公開時期が重なった『名探偵コナン』シリーズとの対比もからめて、グローバル・マーケットにおける日本国内での『アベンジャーズ/エンドゲーム』の伸び悩みを揶揄する声が今さらのように上がっているが、本作は既に累計では動員330万人、興収48億円に到達。前作『インフィニティ・ウォー』の最終興収37.4億円を大きく上回るシリーズ初の50億円突破は確実の情勢で、2010年代の日本の映画興行(だけではないが)を覆ってきたガラパゴス的状況は変化しつつあると見るべきだろう。
ところで、日本先行公開から1週間遅れて5月10日に全米公開された『名探偵ピカチュウ』は、さすがに公開3週目の『アベンジャーズ/エンドゲーム』には及ばず初登場2位にとどまったものの、アメリカの主要映画メディアの予想を上回る5800万ドル(約63億円)というオープニング興行収入を叩き出した。この記録は、2001年のアンジェリーナ・ジョリー版『トゥームレイダー』第1作を超えて、ゲームの実写映画化としては史上最高。渡辺謙、竹内涼真(カメオ出演)と日本ではお馴染みのキャストが出演しているものの、スターキャストで客を呼ぶタイプの作品ではないことも含め、日本発コンテンツのグローバルな映画化展開として歴史的な快挙となった。
「『ポケモン』映画の新展開」という点では、今年はもう1作、『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』の公開が7月に控えている。これは、1998年以来、これまで22年間続いているお馴染みの夏の映画『ポケモン』シリーズの最新作であると同時に、シリーズ初のリメイク版にして、『ポケモン』映画としては初の全編フル3DCG作品となっている。筆者も含め、今回の『名探偵ピカチュウ』はこれまで『ポケモン』映画を劇場で観てこなかった大人の観客層を取り込むことに成功している一方で、ここまでの興行成績は近年の『ポケモン』アニメ映画作品の水準とそこまで大きな違いはない。つまり、今のところ子供の観客層を取りこぼしているわけだが、多くの新機軸が仕掛けられたこの夏の『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』はどのような結果をもたらすことになるだろうか?
今回の『名探偵ピカチュウ』の世界的ヒットによって、ワーナー・ブラザース&レジェンダリー・エンターテインメントによる『ポケモン』映画もシリーズ化に向けて現実的に動き出しているだろうし、『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』への世界的な注目も高まっているはず。言うまでもなく、『ポケモン』はゲームの世界においては長らく大人気を誇るグローバルコンテンツだったが、2019年、それが遂に映画界のキープレイヤーとしても躍り出たわけだ。(宇野維正)