馬場ふみかが一人二役の近現代戯曲に挑む「思春期を思い出しながら観ていただけたら」
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ドラマ「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」の新人フライトナース役で注目を集め、女優として数々の映画やドラマに出演してきたか馬場ふみかが舞台に挑戦する。
『恐るべき子供たち』は1929年に上梓した、フランスの詩人・小説家・劇作家 ジャン・コクトーの中編小説を元にした、思春期の少年少女の‘生’と‘性’をテーマにした近現代戯曲だ。
美しくも残忍で傲慢な姉・エリザベート(南沢奈央)と、青白い肌の美しい弟・ポール(柾木玲弥)。ポールの友人・ジェラール(松岡広大)、そしてエリザベートのモデル仲間のアガート(馬場ふみか)、4人の奇妙な共同生活から生まれる、愛情と憎悪、嫉妬・・・思春期の姉弟の歪んだ関係を、劇作家・演出家・俳優として活躍するノゾエ征爾が独自の視点で戯曲化。演出の白井晃とともにジャン・コクトーの世界を現代によみがらせる。
アガートと、ポールが幼いころ憧れていたダルジュロスの二役を演じる馬場ふみかに、本作について聞いた。
誰にでも覚えのある“思春期の残酷さ”がテーマ
─── 『恐るべき子供たち』は、1929年の小説を元にした戯曲ということで、現代を舞台にしたドラマや映画とはまた違った役作りが必要だったと思うのですが、いかがでしょうか?
そうですね、でも台詞は、堅苦しくない、現代の人にもわかりやすい言葉なので、難しくはなかったです。内容は子どもたちの無邪気で純粋なゆえの恐ろしさというのがひとつのテーマになっていて、それは現代にも共通するものなのかなと思います。私も思春期のときそうだったかもしれないな、と思うような、ある意味、残酷な子どもたちの姿を描いています。
今、大人になって思い返してみると、よくあんなことを人に言えたな、と思うことって誰にでもあると思うんです。それが影響して、物語は哀しい方向に進んでいくんですけど、みなさんに「こういうこと昔あったな」と思っていただけるような作品になっていると思います。
─── アガートは、ポールにとって憧れの年上の女性ですね。
あまりそこは意識して演じていないかも(笑)確かにアガートはポールより年上ですけど、子供というくくりの中で演じているので、年上の女性の魅力を出そうというよりは、彼女の特徴である純粋な女の子の部分を出せるようにと思っています。
ポールとアガートは同じ家で生活するようになるので、またふつうの男の子と女の子の関係とも違うのかなと。
─── 映画やドラマに出演されるときと、舞台で演じるときとの違いは、意識されていますか?
特別、これをこう変えようというのはないんですけど、何度も稽古を重ねてみんなでひとつのものを作り上げて、本番を迎えて、実際にお客様が目の前にいるところで演技をする、というのは映画やドラマとはまったく違うので、意識は自然と変わりますし、舞台に立てることがすごく嬉しいので、1ヶ月間みっちり、この作品のことだけを考えて稽古ができる日々をわくわくしながら過ごしています。
─── 稽古現場は、どんな雰囲気ですか?
どうかなぁ?(笑)稽古が始まると、みんなガッと集中して、白井さんが頭の中に思い描いていたものをひとつひとつ、形にしていくという作業をいまはしています。休憩時間はどうでもいい話をしています。ポール役の柾木玲弥さんが独特な感じの方で(笑)柾木さんの話をみんなで聞いています。「小学生や中学生って言葉を略してしゃべるけど、これ何て意味だと思う?」とか、実際ほんとにその言葉があるのかわからない問題を出してきたりして。みんなで「え~」って言いながら聞いてます。松岡くんと柾木くんがしゃべっているのを、私と南沢さんとは両脇で、聞いてます。
─── 南沢さんとはいかがですか?
いるだけで安心するあったかさがある。すごく素敵な方だなって思います。
─── この舞台はどういうところを観てほしいですか?
少年少女たちの心が、歳を重ねるごとに、「大人になりたくない」と願いながら、苦しみ変わっていく様が描かれているので、その変わっていく様が見どころかなと思います。今回の舞台は演出もすごく面白くて、大きなセットを動かしたり、というよりは、自分たちでその場の情景を作っていくので、そんなところも観ていただけたらうれしいなと思います。
─── 舞台だと、表情がアップになって画面にうつるわけではないので、表現も体ごと、と言う感じになりそうですね。
そうなんですけど、上演する神奈川芸術劇場の大スタジオは、お客さんとの距離がめちゃくちゃ近いんですよ! 私も『春のめざめ』の舞台を観て、思ったんですけど、今まで出演させていただいた舞台のどこよりもお客さんとの距離が近いんです! なので、細かいところまで見えるのではないかなと思います。
─── それはなんというか、気が抜けないですね!
本当に恐ろしいですよ(笑)
─── 舞台はフランスですけど、フランスは行かれたことはありますか?
まだないんです。行きたいなとは思ってるんですけどね。お仕事でいけたらいいな、フランスに行けるお仕事をください!(笑)
─── 思春期の少女を演じることって、なかなか今ないですよね?
そうなんです。私、学生よりも働いている女性を演じることが多くて、男勝りな強い女性の役が多かったんですけど、今回は17歳の純粋な女の子と、やんちゃな男の子を演じるので、すごく新鮮です。
私が17歳のときは、ふつうに高校に通って、1分でも早く家に帰ることをがんばってました(笑)部活にも入っていなくて、通っていた高校が家から遠かったので、がんばって家に帰っていました。友達は部活に入っていたりもしていたので、あまり放課後に友達と遊ぶこともなく。家が大好きだったんです。すごい家にいました(笑)
─── 舞台は体力づくりも大変かなと思います。
そうですね、なかなかハードなので、ごはんをしっかり食べなきゃなと思っています。痩せたらいいな(笑)1公演やっただけで痩せそうなくらい、動いてるので。台本を初めて読んだときはこんな激しいものになるとは思わなかったです。休憩で気持ちを切り替えながら、集中力を高めています。
ただ、男の子の役も演じるので、そこは精神力を使っているかも。極力、男の子っぽい声を出すように、低い声をふだんから出す練習をしていたりします。ふだんの声も低めではあるんですけど、男の子に聞こえるように、低い声の幅を広げられるように意識しています。歌と一緒で、練習していると出るようになるんですよ。
─── 少年っぽさを出すには、動きも重要ですよね。
そうですね、ダルジュロスはやんちゃな、ガキ大将みたいなタイプの子なので、大きく走り回ったりとか、新しい挑戦をしています。
アガートのほうは、可愛らしい女の子なので、その対比がしっかり作れたらいいなと思っています。ポールとエリザベートの姉弟にまきこまれていく存在ではあるんですけど、ポールが惹かれるだけの魅力的な女の子として映るといいなと思います。
純粋な女の子って、今まであまり演じてこなかったので、新しい挑戦ですね。ちゃんと少女に見えたらいいな。
─── 稽古中って、稽古が終わっても役を引きずったりしますか?
引きずりはしないんですけど、友達としゃべるときもしゃべり声もいつもより低くは心がけています。友達は私の声なんてそんなもんだと思って、気づいてないみたいですけど(笑)
─── ぴあはエンタメの情報サイトなので、最近の趣味やハマっていることをうかがってもいいですか?
えーなんだろ? あ、Netflixとか、パソコンで映画やドラマを観ていることが多いです。キッチンでご飯食べながら観て、そこからソファに移ってまた観て、ベッドに移って、パソコンを移動させながら観ています。私の世代ではない昔のドラマが面白くて。まだ観ていないんですけど、「ロマンスは別冊付録」という韓国ドラマが気になってます。あとフジテレビの昔の月9とか、リアルタイムでは観ていなかったものをいっき観して楽しんでます。
Netflixオリジナルのドラマも面白いですよ。
FODのオリジナルドラマも面白いです。キラッとした学園ものから大人なもの、昔のドラマも配信してますし。基本はインドアということで(笑)
部屋にいるときはすっぴんパジャマです。家から出ないときは、パジャマから着替えないので、部屋着とパジャマは一緒です!(笑)お風呂に入ったら、別のパジャマには着替えますけど。わざわざ休みの日に起きてから、パジャマから部屋着に着替える、とかはしないです。というか、部屋着って何ですか??(笑)
─── では最後に『恐るべき子供たち』を観たいと思っている人、これから観る人に向けて、一言お願いします。
ジャン・コクトー原作で、フランスの小説で、というとすごく難しいお話なのかなと固いイメージを抱かれるかもしれないですけど、子供のころにしかない純粋さや無垢さゆえの恐ろしさ、残酷さを描いているので、大人の方なら昔の経験を思い出したり、思春期の子達が観ても何か考えさせられるものがある作品になっていると思いますので、ぜひ劇場に足を運んで、舞台の近い距離を楽しんでいただけたらと思います。きっと汗まで見えます。
─── ありがとうございました!
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(撮影/高橋那月、取材・文/藤坂美樹)
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