姫川玲子シリーズ「夢の中・闇の色」を初映像化 『ストロベリーナイト・サーガ』葉山奨之の過去
映画
ニュース
『ストロベリーナイト・サーガ』(フジテレビ系)第6話は、ノリ(葉山奨之)の過去が明かされ、その過去が捜査に一役かうことになる。ノリは中学生の頃、家庭教師の有田麗子(新実芹菜)が目の前で刺されたことで心に傷を負う。ノリはこの事件のことを人に話す勇気がなく、警察にも黙ったままだった。この過去を悔やみ、心にずっとしこりとして残ってきたノリは、人一倍勉強熱心な刑事となる。今までの事件では弱気な一面を見せてきたノリであったが、今回の事件では被害者に寄り添うことで自分を肯定し、相手の心も解きほぐす。ノリの行動は事件解決の糸口となった。
【写真】重樹を演じたのは今井悠貴
さらに、第6話で扱った事件は、子供をきちんと育てられなかった女性に、子供が復讐をするものだ。弟想いの兄がずっと面倒を見ていたが、母親が世話をしないために弟は亡くなってしまう。母親は、弟の死を兄のせいにして幼い兄の心を傷つけるのであった。複雑な家庭環境と親子の因縁が絡み合った事件に、巻き込まれた第3者がいたことで事件はさらに深く描かれた。
兄の重樹を演じたのは今井悠貴である。今井は子役からキャリアをスタートさせ、2007年のドラマ『はだしのゲン』(フジテレビ系)でゲンの弟を演じ、役者としての存在感を示した。キャリアが長いだけあり、複雑な家庭に産まれ、居所不明児童である重樹を悲哀に満ちた瞳で演じた。首元に怪我をし、回復したばかりの状態で事情聴取を受けるという難しいシーンでも、弟のことを思い出すと顔を歪めてブワっと泣き出す芝居は視聴者の心を動かす力強さを感じた。あまりに悲惨で心を締め付けられる物語だが、今井の熱演があって、この事件における気持ちのやり場を見つけられたような気がする。姫川(二階堂ふみ)たちに対して重樹がお礼を言うシーンでは、重樹が抱えてきたものに対しての整理と覚悟を感じられた。
この件に関して、姫川が女性と子供、社会について考えるシーンがある。そこに菊田(亀梨和也)がやってきて、姫川の泣き言をすくい上げフォローするのであった。姫川は、自分は夢中になってしまうと他のことが気にならなくなる“怖いところ”があるという。しかし菊田は、「怖くないところをたくさん知っている」と優しく包み込むようにサポートするのであった。いつだって姫川の少し後ろをついて歩く菊田だが、決して気弱で頼りない男ではない。後ろからしっかりと姫川を支えているのであった。
この事件は誉田哲也の姫川玲子シリーズの『インデックス』に収録されている「夢の中」と「闇の色」を映像化したもので、この2作は初の映像化となる。今まで見せてこなかった姫川班の姿を描き、ノリの過去も明らかになることでますます姫川班のキャラクターのカラーがはっきりしてきた。次週は『ストロベリーナイト』(2013)として映画化もされた「インビジブルレイン」を原作にすると予告で発表されている。
(Nana Numoto)