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ソールドアウトで超満員の熱気! 吾妻光良トリオ+1×台風クラブ『PLAY VOL.170』レポート

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『PLAY VOL.170』より 写真:Tatsuki Nakata

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これまでにも妙なる組み合わせで数多の化学反応を生んできたライブシリーズ『PLAY』。VOL.170が8月11日に新代田・LIVE HOUSE FEVERにて開催された。出演は吾妻光良トリオ+1と台風クラブ、異様なまでに風通しの良い両者のステージには朗らかな日常への希望が滲んでいた。

前例のない進路を描いて台風が列島に上陸しようとしていた盆の入口、雨模様にも関わらず新代田には老若男女問わず多くのオーディエンスが詰めかけた。チケットはソールドアウト、開演の19時を待ちながらビールを開けたりこの日出店していたシンボパンに舌鼓を打つなどリラックスした時間が流れる。

最初に登場したのは台風クラブ。「傷だらけの天使」をフルサイズでかけ、西日のようなオレンジ色の照明と共に登場すると、乾いたロックンロールの「火の玉ロック」から始まった。京都というホームタウンをコンパスの軸足として、ゆったりとしたペースで自分たちのストレートなサウンドを温めてきた3人たちとの邂逅に、オーディエンスは歓声で応える。

ロカビリー風味のダンサブルな「春は昔」にミラーボールが回りはじめた「ダンスフロアのならず者」と、フロアの温度と呼応するかのようなナンバーを次々にドロップする台風クラブ。テンションが高まっているのはバンドも同じで、MCでは石塚が吾妻光良との共演に驚きを感じていると語った。「座右の銘とかあんまないですけど『やってたらあえるよ』っていうThe Beforesのケンジさんの言葉があって……今日叶いました」とその喜びを伝える。「台風クラブは台風クラブを全うします」と告げて幕を開けた「日暮し」の、湿気を孕んだメランコリックなメロディは、まさに台風クラブにしか歌えない「らしさ」に満ちていた。

シームレスに繋がった「八度五分」は真夏の一曲。それと対比されるように夏の出口を描いた「処暑」に、石塚と山本のデュエットによるドゥーワップ「不明の不演不唱(あけずのぶるうす)」と、爽やかにクールダウンへと誘うような曲が続く。かと思えば「退屈な田舎道に捧げます」と始めた「退屈」の目が覚めるようなガレージロックでオーディエンスにもう一度火をつける3人。今まさにここでバンドとしての音が生まれ直しているかのようなフレッシュネスに、フロアは満面の笑みで応える。

バンドを追ったドキュメンタリー映画『ひまつぶし、のようなもの』の上映が間近に迫った台風クラブ。《柔らかい暗がりの方へ/鈍臭い足を引きずって/今夜辿り着けるか》と歌われる映画のセルフ主題歌「身も心も」は、台風クラブの足跡をほのかに示すと共に、背伸びをせずに無邪気な音を求める彼らの指針を表すようなナンバーだ。純なる響きを残しながら、この後登場する吾妻光良に最大級のリスペクトを表しつつ、50分間のショーは幕を閉じた。

台風クラブの演出した歓迎ムードを受けながら登場した吾妻光良トリオ+1。ホーンセクションを交えたThe Swinging Boppersと共にステージへ上がることも多い吾妻だが、この日はそのBoppersのリズムセクションの面々と1930~50’sのリズム&ブルースを歌う。

「新代田FEVERのみなさん、こんばんは!」と威勢のいい挨拶からインストナンバー「Junk Man Rag」で幕を開けると、そのアップテンポなアンサンブルにオーディエンスも一段と解けて身体を揺らす。数多のギタリストが憧れる吾妻のギターソロが始まると、そこかしこで歓声が。その気持ちいいスウィング感を引っ張ったまま「Harlem Swing」に繋げた。

長い活動歴の中でも新代田・LIVE HOUSE FEVERに来るのは初めてだという吾妻。MCの合間にベースの牧とキーボードの早崎が茶々を入れ、限りなく自然体に近いフィーリングを保ったままショーの時間が流れていく。共演の台風クラブ、そして今まさに接近している台風に合わせたというR&Bナンバー「Blow Wind Blow」がライブハウスの景色を鮮やかに彩っていく。後半には日本語詞を交えて、フロアの上下に満面の笑みを振り撒きながら歌いギターを弾き倒す吾妻。ショーマンとしての卓越した側面を強調しながらも、続くThe Four Vagabondsのカバー「A G.I. Wish」では楽曲の背景を丁寧に説く。「4人の放浪者」というバンド名からは想像できないほどのロマンチックな反戦歌であり、8月の終戦記念日に捧げる意思を告げてから演奏に入る吾妻。台風クラブの描いた夏とは別のタッチで、しかし地続きでもあるかのような朗々とした歌を届けると、次なる「Sea Cruise」では煌びやかなビーチサイドへとオーディエンスを連れて行った。

この時点で自然に観客がコーラスを歌うなど、会場のボルテージは既に高まっていた。吾妻もそれに応えるようにコミカルな「Everybody Loves a Fat Man」のシンガロングを煽る。後半の日本語詞によるコーラスパートは「誰でもデブが好きさ」、皆が笑顔で口々に歌う。その間に挟む「デートはいつもサイゼリヤ」という吾妻のちょっとしたジョークに思わず吹き出す観客、この上なくハッピーな光景だ。

本編ラストは一段とアップテンポな「Just Fall In Love」、吾妻も気分上々でスキャットを繰り出すなどハイテンションなままステージから去っていった。

鳴り止まない拍手に呼び込まれ、すぐさまアンコールに登場した4人。ここで吾妻はフロア後方のPAにスピーカーを切るように告げると、アンプからの生音で控えめに「Swingin' on the Moon」を奏で始めた。それまで着座して演奏していた吾妻は、立ったままマイクを使わずに歌い始めると、そのままゆったりとした足取りで客席へ。バーカウンターの側でたおやかに歌っていると、鍵盤ハーモニカを抱えた早崎もそこに合流する。ふたりでフロアを徘徊しながら音を奏で、ついには場内を出て歩き回る早崎に「どこ行くんだ!」と笑いながら吾妻がツッコむ。

夢のように甘美で、それでいて風通しのいい時間に、オーディエンスは恍惚の表情を浮かべる。4人が再びステージで合流し、最後の一音が鳴り終わった瞬間には割れんばかりの喝采が送られる。夏の盛り、近づく台風の気配を吹き飛ばす陽光に照らされるような一日はかくして終演を迎えた。

文:風間一慶
写真:Tatsuki Nakata

<ライブ情報>
『PLAY VOL.171』

9月4日(金)東京・新代田FEVER
開場 19:00/開演 19:30
出演:LEO IMAI [LEO今井 岡村夏彦 シゲクニ 白根賢一]/Enfants

■チケット料金
前売-4,800円(税込)+ドリンク代
U-22-3,500円(税込)+ドリンク代

『KrosSphere』

10月2日(金)東京・新代田FEVER
開場 19:00/開演 19:30
出演:Dept/Homecomings

■チケット料金
前売-5,000円(税込)+ドリンク代
U-22-3,500円(税込)+ドリンク代

関連リンク

『PLAY VOL.171』チケット情報:
https://w.pia.jp/t/play-vol-171/

『KrosSphere』チケット情報:
https://w.pia.jp/t/krossphere/

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