超能力戦士ドリアンが全国19カ所を巡ったツアー『とびだせ!スペースアドベンチャー』ツアー。そのファイナルは新しくできたホール、Shibuya LOVEZでのワンマン。チケットは即完となった、バンドにとっての初めてのホールワンマンになったこの日の公演をレポートする。
ホールならではのステージ背面に映し出されたのは宇宙船を運転するキャプテンによる前説的な映像で、一気にこの会場をツアータイトル通りのスペースアドベンチャーに変貌させると、紹介映像とともにメンバー3人(ドラムまでちゃんと紹介されるのがこのバンドならでは)が登場すると、「口から炎を吐けたら強い」でライブが始まる。やっさん(vo&g)もおーちくん(vo)もこのホール全体にしっかりその歌声を響かせている。けつぷり(g&cho)のギターもこのバンドが持つロックさとサウンドの幅広さを感じさせてくれるように鳴らされている。
着ぐるみの猫がステージに登場しながら可愛らしい猫の映像が、振り付けをナビゲートするようにおーちくんが踊る映像が映し出されたりと、ホールだからこその巨大なスクリーンが実に効果的で、このバンドがホールにふさわしい存在であることを実感させてくれるけれど、3階席の端の席はほぼステージの真横ということでスクリーンが見えづらいことから、近くに立っているスタッフがパソコンで映っている映像を見せるというのはこのバンドらしいユーモアと観客たちへの配慮だ。それはもちろん身振り手振りの提案が多いバンドだけれど、やれるところだけでいいというおなじみの声かけにも表れている。もちろん観客たちは特大の「興味ある!」で応えてみせる。
ワンマンということで普段はやらない、いわゆるレア曲も披露されることによってこのバンドの音楽性の幅広さに驚かされていると、「被りまくりタイムテーブル」はこのツアーのコンセプトに合わせて「月に土星が被っている」という形で演奏され、「渋谷区ふれあい植物センター」という渋谷のマニアックなスポットをちゃんと韻を踏んだ歌詞によって歌い、観客に「S・F・C」と頭文字で人文字を作るこの日だけの新曲にするというアイデアもさすがである。
テーマパークの歌である「おいでよドリアンランド」では、曲中にスペースシャトル内に異物が発見されたというアナウンスが入り、宇宙服に着替えたおーちくんが客席の中を歩くと、宇宙人の卵を発見する。その卵を奪うために宇宙転売ヤーがスクリーンに登場すると、その転売ヤーを成敗するために拳を振り上げる「ムカつくやつは敵」、宇宙人の卵を温めて孵化させるためにステージに炊飯器も持ち込まれてけつぷりがタイトルを実践する「ご飯を多めに炊いてラップで包んで冷凍する人を褒めるラップソング」とさらにこのツアーのコンセプトが色濃くなっていく。そのコンセプトに合わせることによって今まで聴いた曲たちが違った意味を持って聴こえてくるのも面白いし、ドリアンのライブが毎回違ったものだということを実感させてくれる。
その卵から無事に宇宙人の子供が生まれると「E.T」よろしく人差し指をくっつけ合って友達だということを示すために、サビで人差し指を突き上げる「レモン1個分のビタミンC」が演奏されると、会場にはレーザーの演出が飛び交い、曲終わりにはステージにレーザーで「トモダチ」の文字が描かれる。さらには「ボールを奪い合う選手全員に1つずつあげたい」では様々なボールが客席に放たれて、タイトル通りに奪い合うんじゃなくて観客たちが分け合うようにして宙に飛ばしている。これもまたホールだからこそ、これからもっと大きな場所を目指す、ステージに投げ返さないという観客を信頼しているバンドだからこその演出である。
するとやっさんはコロナ禍の規制の中で悔しい思いをしてきたことを語り、その時に作った「今は曲の中やけど」を演奏する。ユーモアもあるある的なネタもまったくない、ドリアンの熱い面を感じさせてくれるこの曲はやっさんも「大事な曲」と言っていた。この曲を演奏すれば、その時の悔しさを思い出すことができる。それがバンドの原動力になっていることを感じさせてくれる。ただ楽しいだけでも面白いバンドでもないということも。
するとライブでおなじみの「いきものがかりと同じ編成」では、最後のサビ前に宇宙転売ヤーが復活して宇宙人の子供を連れ去っていく。ステージには実写版キャプテンも登場して、一旦客席に座った観客たちが体を右や左に曲げて障害物を避けながら転売ヤーをスペースシャトルで追いかけるのだが、キャプテンはレーザー光線の攻撃を浴びて倒れてしまう。その際に客席から「キャプテンー!」と大きな声が上がっていたのは、観客たちがこのコンセプトに完全に入り込んで楽しむだけではなく、このライブを一緒に作っている乗組員たちだからだ。
キャプテンを失って制御不能になった宇宙船は真っ暗になってしまう。そこに光を灯すように観客たちがスマホライトを掲げると「ヤバイTシャツ屋さんと同じ人数」が演奏されて、やっさんとおーちくんだけでなくけつぷりもその歌唱力の高さを発揮する。ただSNSでバズったからホールでワンマンをやっているのではない、この規模の会場に響く歌の力を持っているからだということがわかる。観客たちも合唱する曲だからこそ、歌うのが本当に難しい曲だということも。
その曲中に登場した宇宙人の両親の力によってキャプテンが復活すると明るくなったステージで最後にキラーチューン「焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね」で最上階、端までいる観客たちが踊り、飛び跳ねる姿はどこか感動的ですらあった。
「アンコール聴きたかったらすぐ呼んで!」とやっさんが言ったことによって観客たちがすぐにアンコールするとメンバーもすぐに出てくるのはこの会場が21時で完全に音止めという理由が明かされるが、それでもできる限り曲を演奏することを告げて、おーちくんが恐竜の着ぐるみを着て歌う「恐竜博士は恐竜見たことないでしょ」、最新リリース曲「もっと早く寝ればよかった」、この曲の時だけ動画撮影が許可された「フォローしてください」と次々に曲が演奏されていく。コンパクトな曲が多いということもあるが、コンセプトがあって映像も使いながらこのテンポの良さは驚異的だ。それはやりたい曲、観客が聴きたいと思っているであろう曲をできる限り演奏したいという思いによるものだろう。
そしてやっさんがここShibuya LOVEZが日本武道館の会場のイメージに近いということ、その武道館でいつか必ずライブをやれるバンドになるという目標を口にして、最後にバンド最大のキラーチューンと言える「カフェかと思ったら美容院だった」を演奏する。このバンドのあるあるソングの極地と言える曲だが、曲中にやっさんとけつぷりがカメラマンの方を向いて並んで写真撮影をする場面もあったけれど、鳴らしている音と歌唱には確かにロックバンドとしての熱さが宿っていた。
日本武道館と似ている造りだからこそ、Shibuya LOVEZは観客の歓声が降り注いでくるようだった。その声の大きさは観客たちが一緒にライブを作っている存在だからこそのもの。このホールワンマンを果たしたのも、武道館に挑もうとしているのも、バンドだけではないから。こうして一緒にライブを作ってくれる存在が目の前にいるから。この日発表された次のツアーの東京公演はZepp Haneda。階段を飛ばしていくんじゃなくて、一歩ずつ登っていく。それもやはり一緒に登っていく、一緒にいろんな景色を見ていきたい存在がいるから。この日、最も強く感じたのはそのバンドと観客の絆の強さだからこそ、一緒に武道館に行く未来に興味ある。
<公演概要>
超能力戦士ドリアン『とびだせ!スペースアドベンチャー』
8月7日(土) 東京・Shibuya LOVEZ
【/ Setlist】
1. 口から炎を吐けたら強
2. 猫の手を借りたら大変な事になった
3. 尊み秀吉天下統一
4. 人見知RIVER
5. 万有インド
6. 被りまくりタイムテープ
7. 渋谷区ふれあい植物センター
8. チャーハンパラパラパラダイス
9. おいでよドリアンランド
10. ムカつく奴は敵
11. ご飯を多めに炊いてラップに包んで冷凍する人を褒めるラップソング
12. ファミリーコンサート
13. レモン一個分のビタミンC
14. ボールを奪い合う選手全員に1つずつあげたい。
15. 今は曲の中やけど
16. ドラゴンの裁縫セット(笑)
17. いきものがかりと同じ編成
18. ヤバイTシャツ屋さんと同じ人数
19. 焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね
ENCORE
1. 恐竜博士は恐竜見たことないでしょ
2. もっと早く寝ればよかった
3. フォローしてくださ
4. カフェかと思ったら美容院だった
<ライブ情報>
超能力戦士ドリアン ワンマンライブツアー『ドキドキ異世界ファンタジー』
11月22日(日) 宮城・仙台Rensa
開場16:45/開演17:30
12月4日(金) 群馬・前橋DYVER
開場18:30/開演19:00
12月5日(土) 栃木・HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
開場17:30/開演18:00
12月11日(金) 石川・金沢EIGHT HALL
開場18:15/開演19:00
12月17日(木) 香川・高松MONSTER
開場18:15/開演19:00
12月18日(金) 広島・広島CLUB QUATTRO
開場18:00/開演19:00
12月24日(木) 愛知・名古屋ダイアモンドホール
開場18:00/開演19:00
2027年1月17日(日) 福岡・DRUM LOGOS
開場16:30/開演17:30
2027年1月28日(木) 東京・Zepp Haneda(TOKYO)
開場18:00/開演19:00
【チケット情報】
スタンディング:4,000円(税込/ドリンク代別)
Zepp Haneda(TOKYO)公演のみ
スタンディング:4,000円(税込/ドリンク代別)
2階指定席:4,800円(税込/ドリンク代別)
▼オフィシャル超最速先行(チケットぴあ)
受付期間:9月6日(日)23:59まで
https://w.pia.jp/t/kyomiaru/
超能力戦士ドリアン オフィシャルサイト
https://www.durian.band/