Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 中村芝翫が挑むシェイクスピア劇シリーズ第3弾、四大悲劇の最高峰『リア王』の幕が上がる

中村芝翫が挑むシェイクスピア劇シリーズ第3弾、四大悲劇の最高峰『リア王』の幕が上がる

ステージ

ニュース

チケットぴあ

中村芝翫

続きを読む

フォトギャラリー(8件)

すべて見る

東京・新橋演舞場にて2026年9月6日(日) から22日(火・祝)、舞台『リア王』が上演される。歌舞伎俳優の中村芝翫が、演出家・井上尊晶とタッグを組み挑んできたシェイクスピア劇のシリーズ。第1弾の『オセロー』(2018年/新橋演舞場)、第2弾の『夏の夜の夢』(2022年/日生劇場)は、普遍的な物語に新たな解釈を加え好評を博してきた。

第3弾となる今回新たに挑むのは、シェイクスピア四大悲劇の中で最高峰と称される『リア王』。老いた王が娘たちの愛を言葉で量ろうとしたことから始まる、人間の根源に迫る作品だ。親と子、老いと孤独、愛と理解。その関係が崩れていく過程を通して、普遍的な問いを静かに厳しく観客に突きつける。

中村芝翫

このたび、都内で稽古場取材が行われ、取材に応じた芝翫は「花道があって、客席に提灯がぶら下がっている。そんな演舞場ならではの『リア王』を見ていただければ。今年は襲名10年目。役者・芝翫というテリトリーに留まるのではなく、尊晶さんとご一緒して、新しい1ページを刻んでいく。そんな感じがします」と意気込みを語った。

稽古場取材では第一幕の一場~三場のシーンが披露された。ブリテンを治めるリア王(中村芝翫)は老境にあり、国土を分割して3人の娘に分け与え、退位して静かな余生を送ろうとする。

言葉巧みに美辞麗句を並べて、リアを喜ばせる長女ゴネリル(松下由樹)と次女リーガン(朝月希和)に対し、虚飾のない実直な物言いをする末娘コーディリア(井上小百合)に、リアは激怒。姉二人に領土を分け与えてコーディリアを勘当し、放逐同然にフランス国王に嫁がせ、コーディリアをかばった忠臣ケント伯爵(二反田雅澄)も国外追放とした。

松下由樹

まず、驚かされるのは『リア王』でありながら、キャスト陣が和装に身を包んでいること。これは「戦火の爆撃で廃墟となった演舞場が舞台となっているためだという」。「もっともっと驚いていただけることがあるので、本番をお楽しみにしていただければ」(芝翫)。

一方、リアの家臣グロスター伯爵(村田雄浩)の庶子エドマンド(大野拓朗)は私生児であるが故の不当な扱いに不満を持っており、父親の領地と権力を手に入れるため、長男エドガー(三浦涼介)を陥れる陰謀を企てている。また、ゴネリルは父と臣下の態度に憤り、リアを邪険に扱い始め……。

村田雄浩

はじめこそ「和装でシェイクスピア?」という戸惑いを覚えつつも、芝翫をはじめ、実力派たちの緊張感あふれる熱演によって、芝翫が言うところの“リア王がだんだんと乗り移る”感覚が見る側にも共有され、グイグイと物語の本質に引き込まれる。実際に新橋演舞場で本番を迎えたら、どんな演劇体験になるのだろう。早くも期待が高まる第1幕であった。

「昨今は『リア王』流行りだと聞いておりますが、やはり1605年に書かれた物語が、今の時代に通じるのはすごいこと。描かれているのは親子関係でしたり、家督のこと、それに老害。本自体がしっかりしているので、言い訳できないのが辛いですけど(笑)、そのくらい素晴らしい作品。うちは3人の息子ですけど、子どもたちにああいう扱いをされないように、気を付けていかないと。まあ、冗談ですけども(笑)」(芝翫)

左から)大野拓朗、三浦涼介

続けて、稽古は第三幕四場に突入。傲慢だった老王リアが娘たちに裏切られ、すべてを失って荒野をさまよい、狂気に陥っていく象徴的な「嵐の場面」の断片を垣間見せる。

失意のリアは娘たちの家を出て、道化(小倉久寛)、変装して再びリアに仕えているケント伯爵とともに嵐の中荒野をさまよい、怒りと嘆きで正気を失っていく。そこへ、狂人に身をやつし荒野をさまよっていたエドガーと、リアの助けとなるため追ってきたグロスター伯爵が遭遇し、彼らはリアと行動を共にする。

今回の翻訳は、河出書房新社刊の『真訳 シェイクスピア四大悲劇』が好評の石井美樹子が担当。イギリス史の研究をベースとした、当時のロンドンの社会背景への深い理解を土台に、言葉が生身の人間の感情として立ち上がる翻訳が、シェイクスピア作品の本質を現代に鮮やかによみがえらせる。

左から)二反田雅澄、村田雄浩

「シェイクスピアはト書きがないものですから、当時の言葉には理解できないものもありますが、今回のお稽古には翻訳の石井先生もついていてくださって、丁寧に教えてくださる。台本の読み合わせは、本当に学校の授業みたいで(笑)。いかにして難しい言葉をちゃんと内面で噛みしめて、自分の肉体から出てくる言葉に立体的に置き換えるか。苦しいですけど、楽しいですね」(芝翫)

『リア王』における嵐の場面といえば、老王の錯乱を連想する観客も多いかもしれないが、ここでも石井氏の助言が、リア王に新たな解釈を与えている。それを体現する芝翫は「石井先生がおっしゃるのは、リア王は落ちぶれたのではなく、成長していくんです、とのこと。いろんなことを学んでいくリア王を演じるのは、役者としても楽しいですね」と、困難を乗り越え“成長する”リア王に、難役に挑む自分自身を投影しているようだ。

左から)朝月希和、井上小百合、松下由樹

最後に、襲名から10年目を迎え、新橋演舞場でシェイクスピア戯曲に挑むことについて、思いと決意を聞いた。

「演舞場でシェイクスピアといえば、僕にとって印象深いのは、二代目松緑のおやじさん(二代目尾上松緑)の『オセロー』ですね。子どもの頃に観て、カッコいいなと憧れたものです。芝翫を襲名して初めての翻訳劇が、演舞場で尊晶さんとの『オセロー』。シェイクスピアも初めてで、当時は無我夢中でした。襲名10年目でリア王を演じさせていただけるのも、本当にありがたいこと。この先ですか? まさか『ハムレット』は無理ですけど(笑)、次は『マクベス』をやらせていただけるように精進したいと思っております」(芝翫)

左から)中村芝翫、小倉久寛

取材・文:内田涼

<公演情報>
『リア王』

作:W.シェイクスピア
訳:石井美樹子(河出書房新社『真訳 シェイクスピア四大悲劇』収録)
演出:井上尊晶

【キャスト】
リア王:中村芝翫

ゴネリル:松下由樹

エドガー:三浦涼介
リーガン:朝月希和
コーディリア:井上小百合
エドマンド:大野拓朗

オズワルド:大堀こういち
コーンウォール公爵:駒井健介
オールバニー公爵:中村松江

ケント伯爵:二反田雅澄

道化:小倉久寛

グロスター伯爵:村田雄浩

2026年9月6日(日)~22日(火・祝)
会場:東京・新橋演舞場

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/kinglear/

フォトギャラリー(8件)

すべて見る