ニッポンのロックンロールバンド “climbgrow” が証明した15年目の現在地 『climbgrow -15TH ANNIVERSARY ONEMAN GIG-』東京公演【オフィシャルレポート】
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『climbgrow -15TH ANNIVERSARY ONEMAN GIG-』 Photo:ミワカナコ
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すべて見る2026年8月1日、SHIBUYA CLUB QUATTROにて行われた『climbgrow -15TH ANNIVERSARY ONEMAN GIG-』。今年1月から2月にかけて開催された『climbgrow pre. TWOMAN SHOW “GIVING”』のファイナル名古屋編にて、解禁された結成15周年記念ワンマンライブだ。
2012年に活動を開始したclimbgrowは、2014年には10代限定オーディション「閃光ライオット」で準グランプリを受賞。インディーズシーンで注目を集め、2020年にメジャーデビューを果たし、2023年にはベースの谷川が加入。現在の体制となった。
そして、ソールドアウトとなった本公演。先行物販の開始前から多くのファンが会場に集まり、開演を待ちわびる熱気に包まれていた。ライブは予定時刻から7分遅れてスタート。入場SEであるDr. Feelgoodの「Boom Boom」が流れると、フロアから手拍子が沸き起こり、メンバーが登場。赤い照明に包まれた4人の凛々しい姿が、これから始まるステージへの期待をさらに高めていく。
ハウリングが響き渡る中、ライブの幕開けを告げるゴングのように、太く力強いドラムの一音目が鳴り響く。杉野泰誠(vo/g)の「最高の景色にしようぜ」という言葉に続くように、1曲目「極彩色の夜へ」が始まる。バンドを象徴する一曲とも言えるこの曲で、会場全体が、幕開けから一気に沸き上がる。曲中、杉野が「大好きだぜお前ら かかってこい! 塗りつぶしてやろう俺たちで!」という叫びに、フロアはclimbgrowの世界に惹き込まれていく。色鮮やかで煌びやかな照明に包まれる中、会場を包み込むように、近藤和嗣(g)のギターサウンドが駆け巡り、華やかに躍動する谷口宗夢(ds)のドラムが観客の心を掴む。「俺はこんな所で終わらせるつもりはない」――その言葉からは、このライブと、そして15年という歩みへの彼らの強い思いが、まっすぐに伝わってきた。
2曲目は「THIS IS」。赤い照明の中で激しく瞬くストロボ、近藤のギラギラとしたギターと谷川将太朗(b)の深く響くベース、そして息の合ったキメが織りなす迫真の音像に、思わず心が躍る。その勢いのまま、3曲目の「LILY」へ。ライブの定番曲が続き、キメと一体化するように突き上がる拳が、フロアの熱気を物語っている。近藤のクールなギターソロから、アレンジを重ねながら畳み掛けるような力強いアウトロへ。ギターサウンドが生み出す緩急に引き込まれていく。縦横無尽に動き回る谷川、天を仰ぎながら気持ちよさそうにドラムを叩く谷口、そして杉野の「ねえねえQUATTRO、夢の話をしようよ」というアレンジや、音源を再現するような咳払いなど、随所に見せる彼ららしいパフォーマンスが、オーディエンスをさらに惹きつけていく。

そして、杉野が「こんなんじゃ夜も眠れねえよ」と始める、「OBAKATACHI NO RARABAI」を皮切りに、セットリストはピンボーカルが際立つゾーンへと突入する。青に黄色い光が差し込む演出の中で演奏される「RAIN」では、確立された世界観の中、杉野が発した「これがニッポンのロックンロールです」との言葉通り、climbgrowらしい芯のある演奏でオーディエンスを圧倒。存在感のある鋭い目をする谷川や、曲中まるで雨を切り裂くような近藤のギターに魅せられながら、ラスサビ前の間奏ではさらに激しさを増していき、心を掻き立てるような演奏に惹き込まれる。「BANG BANG BANG」では、谷川のベースが緩急を生み出し、その自在なプレイから目が離せない。間奏では近藤のジャジーなギターが鮮やかに響き渡り、息の合ったキメに思わず息を呑む。

再び杉野がギターを手にし、始まったのは「ROCK`N’ROLL IS NOT DEAD」。「声出てんな、お前ら最高なんですけど。もっと声出してもらっていいですか」と観客を煽ると、やがてフロアとの熱い歌の掛け合いへと発展していく。「天才が600人も集まってます、よろしく」と声をかけると、会場とバンドの息はぴたりと重なり、フロアの一体感がさらに高まっていく。そして、次に披露されたのは、2015年にリリースされた初の全国流通盤mini album『Enter Here』に収録された「太陽はまた昇り」。15周年記念ワンマンにふさわしい、原点とも言えるこの曲にフロアから歓声が上がる。踊るように奏でられる谷川のベース、語りかけるような杉野のボーカル、テクニカルに輝く近藤のギター、そして心に響き渡る谷口のドラム。それぞれの想いが重なり合い、より一層力強さを増していき、近藤と谷口が目を合わせながら演奏する姿から確かな信頼関係も感じられた。そして、「正真正銘のロックンロールやりに来ました」と、間髪入れず「mold Hi」へ。谷川の激しいベースが鳴り響き、シンセを思わせるギターが存在感を放つ。杉野の「かかってこいQUATTRO」という言葉通り、エネルギーに満ちた演奏で、序盤のブロックを一気に駆け抜ける。

ブレイクを挟み、「15周年おめでとう、俺たち」の言葉とともに届けられたのは、メジャー1stアルバム収録曲「MONT BLANC」。アップテンポな楽曲で駆け抜けた序盤から一転、スローテンポなナンバーでじっくりと聴かせたこの曲。透き通るような歌声に耳を奪われ、ラスサビでは観客も歌声を重ね、会場がひとつになっていく。間奏では、研ぎ澄まされた演奏力を存分に見せつけた。「ワンダーランド」が始まると、妖しく揺らめく派手な照明の中、中毒性のある近藤のギターがギラつく。緻密さと芯の強さを併せ持つ谷口のドラムを筆頭に、それぞれの楽器が存在感を放ち、立体的に響き渡る。
「KLAXON」では、息を吸う音さえも観客の耳に届き、ステージの臨場感を際立たせる。谷口のドラムが楽曲を力強く引っ張りながら盛り上げていくと、キメに合わせてフロアから一斉に拳が突き上がり、全力で真っ直ぐに叫び歌う姿に胸を打たれる。そして最後は、杉野がアカペラで歌い切り、楽曲を締めくくった。「アメージング・グレイス」が始まる前、曲名を間違える杉野のお茶目な一幕に会場から笑いが起こるも、ひとたび曲が始まると空気は一変。繊細な演奏と、歌詞がすっと心に入ってくるような、どこか儚げな杉野の歌声が切なさを誘う。澄み切った音色を響かせる谷口のドラムソロも圧巻で、息の合った華やかな演奏が楽曲の壮大さをさらに際立たせる。ギターがリードする洗練された繋ぎから、杉野の「今日来てくれてありがとう」と心から出てきた言葉に胸を打たれる。

谷口の重厚なドラムが鳴り響く中、杉野の「どんどんやる、見逃すなよ。閃光ーー!」というシャウトで始まった「閃光」。オーディエンスの拳が一斉に突き上がり、フロアの熱気はさらに高まっていく。サビへ向けて期待を膨らませるように演奏が加速し、ラスサビ前では、奥底から込み上げるような谷口のドラムが楽曲を力強く押し進める。続く「FENCE」では、堂々とした間の取り方に15年を重ねてきた彼らの確かな歩みを感じる。まるで映画のワンシーンを切り取ったかのような美しい光景に、思わず見入ってしまった。
前半を締めくくりは、2016年にリリースされた「BLOOD MONDAY」。杉野が「climbgrowの文句を俺に言え、確変突入」とタイアップCMの言葉をなぞり始まり、カリスマ性が輝くステージに、高速で切り替わる照明がさらに華を添え、会場を盛り上げていく。どこか幻想的でミステリアスな雰囲気を纏いながらも、強く真っ直ぐな姿勢が共存する演奏は、まさに彼ららしさを感じさせ、新旧の楽曲を織り交ぜたブロックで、前半のステージを終えた。
MCでは、当日会場限定で販売されたCDについての紹介がありながら、その収録曲でもある新曲「マーチングソング」を披露。ダイナミックな谷口のドラムや、SEに至るまで細部までこだわり抜かれた音作りからも、これからのclimbgrowへの期待がさらに高まっていく楽曲だ。そして、「LAVENDER」に繋がる流れは非常に情緒的で、重なり響く近藤のギターサウンドに心が洗われ、安定感のある谷川のベースを土台に、十面相のように表情を変えていくバッキングの虜になる。息遣いまで聞こえるような艶やかな歌声に徐々に楽器が重なり、リバーブのかかったドラムを軸に、楽曲はさらにスケールを増していく。
杉野が「会いたいから会いに来ました、SHIBUYA QUATTRO。理由はそれだけ。お前らとロックンロールやりに来ました」と叫び、全身全霊の演奏で観客を引き込んでいく。曲が始まると、中毒性のあるサウンドに、切り裂くような近藤のギターが重なり、彼らの魅力が存分にあふれ出す。バスドラムやシンバルが鳴り響くたび、会場には次々と拳が突き上がり、裏打ちへと変化する巧みなアレンジにも魅せられる。高く突き上げられた谷川のベースは、まるで羅針盤のように進むべき方向を示している。
「QUATTROにしか灯らない灼熱の太陽持ってきました」という言葉で始まった、「沈まぬ太陽」では彼らにしか表現できない、唯一無二の世界へと引き込まれる。谷川の鼓動のように響くベースサウンドに語りが重なり、彼らならではの魅力が次々と弾け、まるでテーマパークを巡るように、目まぐるしく展開していく演奏に心を躍らされる。2ndアルバム『LOVE CROWN』の流れと同じく、続けて披露されたのは「罪と罰」。杉野の「SHIBUYA QUATTRO、ぶっ壊しにきました」という言葉通り、4人から放たれているとは思えないほどの重厚な音圧が全身を包み込む。細やかなアレンジが衝動を掻き立て、後半に向けて演奏はさらに熱を帯びていく。ラスサビでは観客の歌声も重なり、その輪がフロアいっぱいに広がった。

杉野がギターをおろし、「ソールドアウトって最高ですよね。ソールドしても全然金ないんすけどね」と語り始め、そのまま「No money」へ。「明日競馬がある。ここでNo moneyゆーたら負けそうな気がして」と話す杉野に、会場から笑いが起こる。しかし、ひとたび演奏が始まれば空気は一変。魂の叫びのような歌と演奏が響き渡り、会場のボルテージは最高潮に達した。「純粋な気持ちでいちばん優しいライブハウスにしたい」との言葉に続いて披露されたのは「癇癪世界ノ少年少女」。高い表現力で思いを叫ぶ姿が印象的で、後半戦の熱気をさらに高めていく。優しさと強さが同居するこの曲は、まさに彼らの真骨頂と言えるだろう。
「未来は俺らの手の中」が始まると、さらに心からの叫びが真っ直ぐと刺さってくる。それは、まさに“届け愛のうた”そのもので、会場がひとつになって大合唱が始まる。白い照明がまるで未来へと導く道標のように伸び、その光景に心を掴まれる。谷川がしゃがみ込み、観客と目線を合わせる場面も印象的だった。 ライブの定番曲「ラスガノ」のバッキングが聴こえると、フロアから大きな歓声が上がる。拳を突き上げるよう煽り、クライマックスへ向けてさらに加速していく。視界を真っ赤に染め上げる鮮烈な照明と、近藤の鋭いギターサウンド。まさにすべてを壊すかのような爆発的なエネルギーに、本能を揺さぶられる。しかし、ただ激しいだけではない。強固で説得力のある演奏が、深く胸を射抜く。
そして、当日会場限定で販売されたCDに収録されたもう1曲、再録曲「街へ」について触れる。同曲は2014年にリリースされたミニアルバム『EL-CAMIRO』の収録曲で、友人に向けて作った楽曲だという。これまでの歩みを振り返り、「生きて歌い続けてきてよかった」と語ると、「今が大事なんだよ」という言葉から演奏へ。杉野の心のこもった歌声に、近藤の繊細で抑揚に富んだギターが重なり、天にも届くような美しい響きを生み出す。谷川の優しいタッチのベースも相まって、叙情的な演奏が会場を包み込んだ。
杉野が「最高です! QUATTROありがとう。今日はやるしかないっしょ!」と声を上げ、始まったのは「POODLE」。フロアでは再び大合唱が巻き起こる。「またQUATTROで会えたらいいよね。そうやってずっと繋いでいこう」と語りかける姿に、ここに集まったファンとclimbgrowがともに歩んでいく、明るい未来を思い描かずにはいられない。
そして、本編ラストを飾ったのは「STEADY」。杉野の弾き語りから始まり、「なんかうまく行きそうな気がするっすよね」と語りかけると、会場全体から“Everything gonna be alright”の大合唱が響き渡る。音楽を通じて心を通わせ、互いに支え合うような、climbgrowとファンの関係性が垣間見える瞬間だ。「愛してるよ。一緒に歌おう」という杉野の言葉に導かれ、再び大きな歌声が重なっていく。そして杉野が「おれたちがニッポンのロックンロールバンド“climbgrow”」と声を張り上げる。エモーショナルかつ壮大な演奏で「STEADY」を締めくくり、本編は幕を閉じた。
アンコールを求める声が沸き上がる中、メンバーが再びステージへ。杉野は「寄せ書きありがとう」と、客席から贈られたフラッグを掲げていたが、これは15周年を迎えたclimbgrowへのプレゼントとして、ファンが用意したもの。日本国旗に“climbgrow”のロゴがあしらわれ、ファンからのメッセージがびっしりと寄せられていた。

愛にあふれた贈り物を肩にかけた杉野が、「俺らかっこいいっしょ。応援してよ」と語り、始まったのは「叫んだ歌」。この曲は、2014年に準グランプリを獲得した「閃光ライオット」でも披露された楽曲だ。当時を再現するかのような始まりから、バンドの原点ともいえる日の記憶をたどるように歌う姿に、15周年という節目を迎えたこの日の意味がより深く刻まれていく。拳で埋め尽くされたフロアに向かって、「QUATTROのために歌いに来たぜ。歌おう」と叫ぶ彼らの姿は、まさに光そのものだった。「俺たちがニッポンのロックンロールバンド “climbgrow” でした! サンキュー、バイバイ」と告げ、アンコールは終了。しかし、熱の冷めやらぬフロアからは、すぐさまダブルアンコールを求める声が沸き上がる。
再びステージに戻ったメンバー。本編ではMCがほとんどなかっただけに、メンバー同士の微笑ましいやり取りに会場が和んだところで、「舞い上がる俺達は花になる」へ。アップテンポなバッキングと谷口の激しいドラムが会場を再び沸騰させ、大合唱が巻き起こる。近藤のメロディアスなギターも鮮やかに響き渡り、杉野がしゃがみ込んで観客と同じ目線で歌う姿からは、ファンとの距離を大切にするclimbgrowらしさが伝わってきた。


そして、これで終演かと思いきや、最後にショートチューン「OBAKATACHI NO RARABAI」を再び演奏。1回では終わらず、そのまま2回目へ突入すると、杉野は歌いながらフロアへダイブする。さらに3回目。谷川がベースを高々と掲げながらステージを動き回り、谷口の力強いドラムとともに、残されたエネルギーをすべて放出するかのような演奏を繰り広げる。それでもまだ終わらない。「まだやる?」と尋ねる杉野に、谷川が「うん、人の上で弾きたい」と返し、まさかの4回目がスタート。イントロを弾き終えた谷川はそのままフロアへダイブし、観客の上でベースをかき鳴らす。その勢いのまま5回目へ突入し、最後のキメに合わせてステージへ帰還。杉野の「もういい」の一声で、怒涛の5連続「OBAKATACHI NO RARABAI」はようやく幕を閉じた。最後は「気をつけて帰れよ〜」と観客へ声をかけ、約2時間半に及ぶステージは終演を迎えた。
全身全霊の演奏に圧倒された、まるで一本の映画を観たかのような濃密なステージだった。激しく駆け抜ける瞬間もあれば、繊細な歌や演奏にじっくりと耳を傾ける時間もある。そんな人生のような緩急を描くセットリストと、人間らしい感情の揺れまで映し出すような音に、最後まで引き込まれた。 そして何より、15年という時間を重ねても、彼らが大切にしてきたものは変わっていない。一方で、その芯を持ちながら新しい表現へ挑み続けていることも、この日のステージから確かに伝わってきた。15周年はひとつの到達点でありながら、決してゴールではない。「俺はこんな所で終わらせるつもりはない」という杉野の言葉の通り、climbgrowはここからさらに先へ進んでいく。
9月6日(日)には、彼らの地元・滋賀の浜大津B-flatでも15周年記念ライブが行われる。東京・SHIBUYA CLUB QUATTROで見せたステージとはまた異なる、ホームだからこその景色が生まれるに違いない。15年のその先へ向かうclimbgrowが、そこでどんなロックンロールを鳴らすのか楽しみだ。

Text:io Photo:ミワカナコ
<公演情報>
『climbgrow -15TH ANNIVERSARY ONEMAN GIG-』
9月6日(日) 滋賀・浜大津B-flat ※SOLD OUT
開場17:15/開演18:00
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