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キセル×池間由布子と無労村、花々に彩られた夏の一夜 『PLAY VOL.172 〜Floral Meeting〜』【オフィシャルレポート】

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『PLAY VOL.172 ~Floral Meeting~』 Photo:Tatsuki Nakata

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渋谷La.mamaを拠点に様々な企画を提示し、Kulture主催となり継続している名物ライブシリーズ『PLAY』。新代田LIVE HOUSE FEVERにて8月16日に開催された最新回のVol.172は「Floral Meeting」という副題が付けられ、キセルと池間由布子の二組と共にしとやかな夏の一夜を祝う集会となった。

本公演のフライヤーは、絵本作家の椎木彩子さんによるデザイン

猛威をふるった台風が去り、ジトッとした静けさだけが残った盆の週末。開演となる18時半前にLIVE HOUSE FEVERへ足を踏み入れると、ステージ上方に溌剌とした向日葵の花弁が溢れんばかりにぶら下がっている。BROWNSEA FLOWER SHOPのフローリスト・Kenji Kumakiによるフラワーアレンジだ。

先に登場したのは池間由布子。バンドメンバーである無労村(ノーローソン)と共にステージへ姿を表すと、池間の呼吸に合わせてアンサンブルが合流する「赤い実」から始まった。深呼吸するような、穏やかな緩急でうねるように音が転がり出す。続く「とんかつ」は日常の愛おしさへとしなやかに言葉が導かれる一曲。《トントンとキャベツを切る、今日はとんかつ》という一節へ、切なるバンドの演奏に合わせて流れ込んでいく。

今回の無労村はギターの潮田雄一にドラムの和田晋侍というレギュラー陣を迎えたほか、ベースにAnalogfishの佐々木健太郎、そしてパーカッションに宮坂遼太郎と新しい面々も加わった。アナトリアン・ロックのように、そしてムード歌謡のようにも響く怪しいアグレッシブなナンバーではその底力が窺える。しかしバンドにシリアスな空気は一切なく、MCでは池間がメンバーに「自分を花に喩えたら?」と尋ねる場面も。潮田はハナミズキ、宮坂はホタルブクロ、和田はドクダミ、佐々木はオオイヌノフグリ……池間は終始笑いながら、朗らかに質問を回していく。

ベースの存在感が際立つ「レモンちゃん」にフリー・フォークのような池間の歌とギターが強調される「薄荷」と、単なるシンガーとバックバンドの関係ではなく、相互作用的にアンサンブルの色を変えていく5人。「死神」ではそのテンションが最高潮に高まり、宮坂の自由闊達なパーカッションによってラテン・ファンクのような様相に姿を変えていく。頭上の向日葵が紫のライティングによって異なった表情を見せる光景は蠱惑的ですらある。

「お盆なのでみなさんのところにも来たかな?」と直後のMCで添えた池間の洒落っ気に和むオーディエンス。最後は「あなたの風景になりたい」で伸びやかなボーカルとユーフォリックなバンドの演奏に会場が浸りながら幕を閉じた。

続いて登場したのはキセル。辻村兄弟のデュオによる静かながらも抜け感のある独特のスタイルで、30年近くそのサウンドを瑞々しく育ててきた。花弁の下に椅子をふたつ並べ、ゆったりとしたフォームで「偶々」からショーを始める。辻村豪文の歌とギター、そして辻村友晴の笛。最新作『観天望気』からの、どこか超然とした歌詞が愛らしい発音を伴って届けられるナンバーだ。

パンデミック以降に着座スタイルでのライブがデフォルトになったというキセル。自嘲的な「華はない……花はあるけど」というMCがささやかな笑い声を誘う。池間由布子のステージ同様に、朗らかなフィーリングで音の隙間へと引き込んでいくようなステージだ。そのパンデミックの期間に作ったという「寝言の時間」にどこかトロピカルな「たくさんのふしぎ」、そしてシームレスに始まる「ナツヤスミ」とマジックアワーのようにゆるやかな景色の変化が音を伝って描写される。

無労村のメンバーと花について尋ねあった池間のMCを受けて、農業を営んでいるという豪文が自宅の畑に生えたというワルナスビの話題を友晴に振る。京都弁の軽やかな会話、その温度感が歌にそのまま繋がる箇所にキセルの不思議な美点がある。それは言葉遣いというよりも、むしろふたりにそこはかとなく流れている「おかしみ」によるもので、例えば高田渡のカバーとなった「おなじみの短い手紙」は和やかながらも内臓を掴んでくるような言葉が備えられている一曲だが、キセルのふたりが演じることによって丸みを帯びた印象へと変貌する。友晴によるミュージックソーの、どこか間の抜けた響きも微笑みを誘う。

新曲として披露したのは「八雲」。音源やバンド編成のライブで異国情緒溢れるサウンドを展開するキセルだが、民謡の節回しを取り入れた「八雲」はまさにそのムードを継ぐ一曲だ。同じく民謡風の「観天望気」では微細な電子音がギターとベースと歌に張り付くように底流する。ミニマムな編成ながらもメロディの抑揚とアレンジの機微によってシーンを切り替えていくキセル。朴訥としたベースがリズミカルに響き、ボサノヴァのようなリズムから最後は口笛の音に溶け込んでいく「ひとつだけ変えた」で本編が終幕した。

拍手に呼び戻され、すぐにアンコールへと姿を表したキセルのふたり。《会えない誰かもそばにいる》と歌われる「たまにはね」は、盆の終わりの夏夜をどこか象徴しているかのようなナンバーだ。《家より落ち着く歌もある たまにはね》とは、まさに新代田LIVE HOUSE FEVERのこの夜のことだろう。染み入るような心情を残し、万雷の拍手の中でステージを降りるキセル。

その後のステージでは頭上で花開いていた向日葵が来場者へと配られるサプライズも。爽やかな微笑みを残す花々と音楽に見送られ、「Floral Meeting」は静かにその夜を終えた。

Text:風間一慶 Photo:Tatsuki Nakata

<公演概要>
『PLAY VOL.172 〜Floral Meeting〜』
8月16日(日) 新代田FEVER(東京)
◼︎出演: キセル / 池間由布子と無労村(潮田雄一(g)、佐々木健太郎(b)、和田晋侍(ds)、宮坂遼太郎(per)
◼︎装飾: Kenji Kumaki  https://www.instagram.com/kuma_ken

◼︎フライヤーデザイン:椎木彩子  https://shiikisaiko.jimdofree.com/

SNSでは本公演のRECAP MOVIEを公開中!
X: https://x.com/storiaa_info

Instagram: https://www.instagram.com/storiaa_info/

<Kulture主催 今後のイベント情報>
『PLAY VOL.171』
9月4日(金) 新代田FEVER
開場 19:00 / 開演 19:30
出演: LEO IMAI [LEO今井 岡村夏彦 シゲクニ 白根賢一] / Enfants

【チケット情報】
前売りチケット:4,800円(税込) + ドリンク代
U-22チケット:3,500円(税込) + ドリンク代
https://w.pia.jp/t/play-vol-171/

『KrosSphere』
10月2日(金) 新代田FEVER
開場 19:00 / 開演 19:30
出演:Dept / Homecomings

【チケット情報】
前売りチケット:5,000円(税込)+ドリンク代
U-22チケット:3,500円(税込)+ドリンク代
https://w.pia.jp/t/krossphere/

『Cultivate vol.4』
10月9日(金) 新代田FEVER
開場 18:00 / 開演 18:30
出演: GeGeGe / BROTHER SUN SISTER MOON / Tocago / THEティバ

【チケット情報】
前売りチケット:4,000円(税込) + ドリンク代
学割チケット:2,500円(税込) + ドリンク代
https://w.pia.jp/t/cultivate-vol-4/

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