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朝夏まなと、七海ひろき、夢咲ねねの“三重奏”がそっと背中を押してくれる 音楽劇『39歳』上演中

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音楽劇『39歳』公開ゲネプロより

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深い共感を呼んだ韓国ドラマを音楽劇として、世界で初めて舞台化した『39歳』が東京・IMM THEATERで9月13日(日)まで、大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでは9月18日(金)~24日(木)に上演される。友情、仕事、家族、恋愛。30代最後の年を迎えた人生の悩みをリアルに描いたヒューマンロマンス。初日9月5日に行われた公開ゲネプロの模様をお届けする。

39歳という年齢は、人生の折り返し地点とも言える絶妙なタイミングだ。世間的には、大人として成熟を求められる一方で、心の中では「自分は本当に思い描いていた大人になれているのだろうか」という迷いや揺らぎを誰もが抱える時期かもしれない。

夢を追い続けるのか、現実と折り合いをつけるのか。家族や仕事、パートナーシップにおける立場も変わり、若さゆえの勢いだけでは突破できない葛藤に直面する。本作は、そうした日常のリアリティを、決して重苦しくならずに、上質な音楽の力を借りて、爽やかに、そして味わい深く描き出している。

特に印象的だったのは、登場人物たちの「いびつさ」や「格好悪さ」がそのまま、人間としての愛おしさとして表現されていた点。完璧なヒーローやヒロインではなく、誰もがどこか不器用で、ちょっとした見栄を張ったり、素直になれずに回り道をしたりする。

そして、登場人物たちの言葉や選択に、観客の誰もが自分の人生のワンシーンを重ね合わせたはず。舞台上の誰かに必ず共感できる、そんなシナリオだ。実際、彼らの焦りやためらいに頷き、時にクスッと笑い、時にハッとさせられる瞬間が何度もあった。

また、「音楽劇」としての演出アプローチも非常に秀逸。ミュージカルのように感情を大きく歌い上げる華やかさとは一味異なり、言葉と音楽がシームレスに溶け合い、登場人物の心の声や行間を補完するように鳴り響く。音楽が台詞の延長線上として、自然に立ち現れるため、観客は物語の世界観へすんなりと引き込まれるだろう。

時に感情を揺さぶるメロディとして、時に日常の背景音のように、軽やかに、そして力強く作品全体を支える楽曲たち。キャストの歌声や表情からは、稽古場から大切に積み上げられてきた熱量とチームワークの良さがまっすぐに伝わり、舞台というライブ空間ならではの息遣いを全身で体感することができた。

宝塚歌劇団で同じ時代を駆け抜けた朝夏まなと、七海ひろき、夢咲ねねの3人が魅せる芝居の“三重奏”は、長年培われた信頼関係と、息の合った掛け合いが最大の魅力。劇中での3人それぞれの演技のアプローチや関係性の描き方は、非常に個性的で物語に奥行きを与えていた。各自が持ち前の個性を発揮しつつも、相手の芝居をしっかりと受け止めて引き立て合う、密度の高い芝居合戦は必見だ。

朝夏は物語の中心として、物語全体をパワフルに牽引。キャリアや人生の現実に直面し、悩みながらも前に進もうとする女性の強さと弱さを、伸びやかな歌声と全身を使ったストレートな演技で表現する。張り詰めた感情が、歌へと切り替わる瞬間の説得力が、観客の共感を強く引き出す。

一方、七海はクールな佇まいの中に、繊細な葛藤や人情味をにじませる演技が際立った。あえて抑えたトーンの台詞回しやふとした表情の変化で、言葉の裏にある「39歳ならではの迷い」をリアルに表現していた。

そして夢咲は可憐な華やかさを持ちつつも、生活感や現実的な悩みを抱える等身大の姿を体現。台詞やリアクションの間合いも自然で、重くなりそうな場面にも、ふっと柔らかな空気をもたらす存在だった。

決して、すべての悩みが晴れるドラマチックな結末ではないが、それこそが本作の人生に対する誠実さを表しているように思えた。何はともあれ、一歩前を向き、自分の人生と肯定的に向き合おうとする登場人物たちの姿には、「過去を振り返り、今の自分を受け入れ、未来を生きていく」そんな力強い希望が宿っており、そっと優しく背中を押された気持ちになれるはずだ。

取材・文/内田 涼

<公演情報>
音楽劇『39歳』

原作:SLL ユ・ヨンア
脚本:坂口理子
作曲・編曲:キム・ヒョウン
作詞:長田育恵
演出:小山ゆうな

出演:
朝夏まなと 七海ひろき 夢咲ねね
相葉裕樹 前田一世 高橋健介
篠山輝信 伊島 青/
小島 聖 あめくみちこ
佐戸井けん太
ほか

【東京公演】
2026年9月5日 (土)~13日 (日)
会場:IMM THEATER
【大阪公演】
2026年9月18日(金)~24日(木)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/39yo/

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