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北山宏光が考える“誰かと一緒にいる”ということ。「僕はギバーでありたい」

映画

インタビュー

ぴあ

(撮影/稲澤朝博)

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グアムを舞台に、マッチングアプリのキャンペーンに当選した、30代から50代の「結婚」に見放された男女8人が出会い、お互いの事情や、自分自身と向き合いながら本物の愛を模索していくドラマ『私があなたといる理由2』。

本作で、ある思いを胸にグアムを訪れる夏目陸を演じる北山宏光に、役との向き合い方や過酷だった撮影の裏側を聞いた。さらに、初対面の人との距離の縮め方や、人と長く関係を築いていくために大切なこと、そしてこれからの人生についても。北山が語る言葉から、“誰かと一緒にいる”ことへの価値観が見えてきた。

共感できなくても、役を全肯定してのぞむ

――男女の感情がリアルに描かれた『私があなたといる理由2』が放送されるということで、出演のオファーを受けたときにはどう思われましたか?

松本プロデューサーからお話をいただいたんですが、「グアムでドラマをやりたいんだ」と言われて。「グアムで何するの?」って聞いたら『走らせます(笑)』って言うから、「グアムでまた俺殺すのか」って思ったんですけど(笑)。そうではなくて、人をどう許すのか、みたいな話をやりたいんだと。登場人物それぞれが何か戦っていたり、過去とむきあっていたりしていて、一筋縄ではいかない話なのかなと感じました。

――夏目は最初は、あまり自分のことを話しませんし、クールなタイプなのかなと思ったのですが、モノローグで「人が誰かを愛したとき、その人のすべてを許せるのか」っていうセリフがあって、結構いろんなことを考えながら恋愛をするタイプなのかなと思いました。北山さんは夏目の恋愛観とか結婚観については、共感できましたか?

まったく共感できなかったです(笑)。できないけど、こういう人もいるんだろうなと思いながら台本を読み進めていました。家庭環境のこともあって、こういう結婚観になったんだろうなと。

――ではどうやって夏目の役に自分を近づけていきましたか?

俺は、台本を読むときは、共感はできなくても、その役を全部肯定して読むようにしているんです。だから、例えば、殺人鬼の役だったとしても、その幼少期にその人が歩んできた道があって、そこからこれまでの体験などでどんどん歪んでいってしまったんだな、寂しい人なんだなとか。夏目のことも、共感はできないけど、全部を肯定して読んでいった感じです。「どういう人なんだろう?」と思いながら、読んで、でも本の中に描かれていない部分もあるから、監督と「これって実はこういう側面がありますよね」とか話しながら、どんどん登場人物のディテールを濃くしていく、という方法をよくやります。

――他の登場人物で、この人の恋愛のしかたはわかるな、など共感できたキャラクターはいました?

雛形あきこさんの「桜井真梨子」はとてもリアリティーがあるなと思いました。年齢とともに恋愛の形は変わっていくんだけど、その中でも乙女な部分はあって。でもサバサバと思ったことを言っちゃう。そのへんはとっても共感しました。

©︎「私があなたといる理由2」製作委員会
©︎「私があなたといる理由2」製作委員会

過酷だった撮影「ジェットスキーがめっちゃ上手くなりました(笑)」

――ストーリーは最後までどうなるかわからなさそうで、ワクワクしています。北山さんがこの作品の一番面白いと思ったところはどこですか?

圧倒的に「画」ですね。「1」のほうも観たんですけど、CGかと思うぐらい、立体的な青空とか、画ですべて納得してしまうところが魅力だなと思いました。台本上だと、「ここって別に恋しないよな、なんでこんなに恋してるんだろう?」と思ったりするんですけど、グアムのシチュエーションで、限られた時間の中で、ああいうマッチングツアーがあったら、マジックがかかるんだろうなとか。シチュエーションで納得させられるものがあるから、撮影スタッフもみんな、この30分でしか撮れない画、みたいなのを狙っていました。ギリギリまで「撮れるか撮れないか粘って、スコール降った!解散!」みたいな。グアムの海も晴れているときと曇っているときと、色が全然違うし、そのときの恋愛模様もぜんぜん違って見えるし。撮影してみてわかったことがありましたね。

――北山さんもグアムでの撮影は楽しめましたか?

うーん、みんな、「グアムで撮影した」って言うと、「いいなー」って言うんだけど、いつスコールが降るかわからなかったりとか、とにかく暑いし。日没のタイミングで夕陽を撮らなきゃ!とかけっこう過酷でした(笑)
東京で仕事があったので、グアムと行ったり来たりしていたんです。3日間くらいで帰ってまた戻ったりしていて。でもそのグアムを離れていた3日間のあいだにスタッフさんたちが真っ黒に日焼けしていて、「えー!何があったんだ(笑)」って。みんな体力的な勝負をしていました。

――なるほど(笑) とはいえ、ジェットスキーのシーンなど、楽しそうなシーンもありました。楽しかった思い出は?

ジェットスキーは6時間くらい乗って、2カットしか撮れなかったり、やっぱり大変でした(笑)。天気待ちの時間も入れたら8時間くらいやっていたから、ジェットスキーがめっちゃ上手くなりました(笑)。ドローンの操縦士とスピード感を合わせて走るんですけど、ドローンの画角って右も左もわからなくて、どう撮られているかわからないから、「まっすぐ走って」と言われても、どの方向にまっすぐなのかわからないんです。だからスタッフさんとコミュニケーションを取って、ドローンに合わせてどれくらいアクセルを踏んで、どれくらいのスピードを出したらいいのか?を考えて走っていました。あと、海なので、岩が出てきたりするんですけど、どこに岩があるのかわからないから、それが超怖かった。自分で目視しながら「あそこに岩あんな。怪しいからそこ避けよう」みたいなことをやったり。ジェットスキーは楽しいとかじゃなかったです(笑)

――めちゃくちゃ大変そうです(笑)

ずっと日に当たっている状態で「もう一回お願いします、もう一回お願いします」って言いながらやっていたから、日焼けしちゃって。帰国してからテレビとか出ていると、「あいつ、夏楽しんでる」(笑)って思われて。俺は「ちげーよ!(笑)」って思っていました。

――プライベートで観光などをする時間もなかったんですね。

ちょっと空いてる時間はあったけど、過酷すぎて、行く気になれなかったのと、ちょうどアルバム制作もしていたので、その作業を部屋でやっていました。

――ではプライベートで海外旅行に行くとします。もし友人と2人部屋だとしたら、北山さんはストレスなく過ごせるタイプですか?

昔は全然2人部屋とか、3人部屋とかでも良かったんだけど、今は1人がいいな。少なからず気を遣ってしまうから。たとえば、お風呂にどっちが入る?みたいなときも何分入るかとか。そういう気を遣うことが面倒くさくなってきてしまった(笑)。昔はお金がなかったから、そういうのも楽しかったけど、今はお金で解消できるならしたいですね(笑)。

人と長く付き合うために大切なことは?

――初対面の男女がマッチングアプリで知り合って、「この相手はアリかナシか」を考えながら過ごしていくわけですけど、北山さんご自身がこういったツアーに参加したとしたら、10日間という短い時間で相手のどんな面を見ますか?

いやー決められないよね(笑)。でも決めないといけないなら、10日間の中でボロが出るかどうかを見るかな。ある程度はみんな、自分を良く見せようと取り繕うじゃないですか。考え方が合えばいいなあと思うけど、短い時間だと、合わせてくると思うし。
あとは家族仲や兄弟仲がいいかとか、そういうことを聞くかも。それが一番信頼できそう。いやでも、それも嘘つけそうかな(笑)。「仲悪いです」って答える人はいないですよね。でも家族のことは聞いてみたいかな。

――北山さんご自身はこういったシチュエーションで取り繕いますか? あえて自分の素を少し見せたりします?

繕うのは疲れちゃうから、向こうに判断を任せちゃうかも。「良く思われたいから作った自分を見せたりしないんだぜ」って一周まわって思わせるとかね(笑)。10日間で素をさらけ出せる人のほうが強い気がするから。

――では、恋愛や結婚ではなくても、北山さんが初対面の相手と円滑なコミュニケーションをとるために大切にされていることはありますか?

距離感を見るかな。話しかけてきてほしい人なのか、適度な距離感でいてほしい人なのか、というのはあるよね。「ここからは入らないほうがいいんだな」と思ったらサーッと引く。あとは自分の話をするようにします。相手のことを聞こうと思ったら、ある程度、こっちの話をしないとしてくれないと思うから。「どう腹を割ってくるか」は相手に任せます。

――なるほど。自分の話を初対面の人にするのって難しいところもあるのかなと思っていて、「人の話を聞かないな」と思われたらどうしようとか、悩む人もいるかなと思うのですが。

それは話をしたいタイプなのかとか、相手に聞いてみたらいいのかも。俺はなんとなく、信用してもらうために自分の話はします。初対面だとお互いどんな人かわからない不安があるから、話さないでいるとずっと関係が進まなさそうだし。

――たしかに。信用してもらうために自分の話をする、というのは大事ですね! 結婚の話題をもうひとつうかがいたいのですが、結婚は基本的には「一生を共にしよう」と思ってするものだと思います。長く相手と一緒に生きてくために必要なものって何だと思われますか?

根本的に「意地が悪くない」ってことじゃないかなと思います。意地というのは、「なんでこうしてくれないの?」とすぐ言ってくるとか、相手にばかり求めすぎる人のことなんですけど。その人の背景に寂しい気持ちがあるからそういうことを言ってくるんだとか、理由が分かれば可愛く思うけど、ただ求めてくる人はダメかも。
俺はギバーとテイカーがいるなら、ギバーでありたいし、誰かから何かを取って生きていく人はあまり好きじゃないかなあ。そういう人を見ると「意地が悪いな」って思ってしまう。

10年後に向けて、今は種まきをしている

――話はかわりますが、初対面、というところで言うと、今年もライブを精力的に行われていますが、ライブでのファンの方とのコミュニケーションも一期一会なのかなと思います。初めて観る方もいらっしゃるでしょうし、その日しかないライブで、たくさんの人に思いを伝えるときに、気持ちを届けるために意識されていることはありますか?

ライブの前の、楽曲制作のときに、ライブで伝えたい思いを歌詞にしたりしています。歌詞は自分を削って生まれるものなので、ファンの方たちへの手紙のようなもので。ライブで直接伝えられる言葉は歌詞だから、アルバムもそういう作り方をしています。それは自分の強みかもしれない。
誰かが書いた歌詞を歌うときと、自分が書いた歌詞を歌うときって、会場の空気が圧倒的に違うと感じていて。温度が違うというか。もちろん他の人が書いた歌詞をいいなと思うときもあります。自分には書けない歌詞だなとか、これは吸収したほうがいいなと思う部分は取り入れますけど、自分の歌詞は、頭の中で登場人物が動いている書き方をするので、気持ちを伝えやすいなと思っています。

――楽曲も言葉を大切にされているんですね。

そうですね。伝えたいことは歌詞に書いてあるから、それを歌う、っていう感じです。アルバムのときも耳で聴いて楽しんでもらうんだけど、ライブでそれを生で聴いてもらうと、伝えたいことの説得力が違うな、という感じはあります。

――では最後の質問です。最近、大人の落ち着いた、等身大の男性を演じられることが多いかなと思うのですが、北山さんが思う「大人の男性」ってどんな人だと思われますか?

俺自身は違うけど、イメージとしては、諦めたふうに見せて取り繕って、でも実はジタバタしている感じかなあ(笑)。周りの男性たちも、自分のキャリアを伸ばしたかったり、転職したいけど勇気がなかったり、今のリアルな人生と、本来自分が望んでいる人生と、天秤にかけてジタバタしている感じ。やっぱり、結婚とか家庭が絡んでいると、守るべきものや世間体とか、背負うものが増えていくから、思うようにはいかないところはありますよね。

――でも夢はまだ持っていたい、みたいな。

そうですね。会社では中堅以上になってきて、安定しているんだけど、本当はこういうことがやりたい、とかもありますよね。起業している人でも、次は何をやろうかなとか。まだまだいきたいところとか、やりたいことがあるのかなって。

――北山さんご自身は、今後年齢を重ねていく上でのビジョンはありますか?

ビジョンはありますけど、今やっていることの先に50代、60代があるから、今のうちにやりたいことをやろうと思っています。後悔がないように。だから、種まき状態かな(笑)。これが育っていったら、10年後どうなるかな、って思いながらやっています。

水ドラ25「私があなたといる理由2〜グアムを訪れた8人の男女の10日間〜」
テレ東ほか
10月7日(水)スタート
毎週水曜 深夜1:00~1:30
※初回は深夜1:15〜1:45


撮影/稲澤朝博、取材・文/藤坂美樹

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