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『ルックバック』釜山国際映画祭レポート到着 是枝裕和監督が明かすロトスコープ演出と“背中”の演技

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第31回釜山国際映画祭での舞台挨拶より

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アジア最大規模の映画祭「第31回釜山国際映画祭」ガラ・プレゼンテーション部門に正式出品された実写映画『ルックバック』。是枝裕和監督、出口夏希、蒔田彩珠、七瀬ふうり、岡田六花が参加したオープニングセレモニー、記者会見、舞台挨拶のレポートが到着した。

10月6日のオープニングセレモニーのレッドカーペットに登場した出口は、赤と黒のコントラストが印象的な華やかなドレスを着こなし、蒔田は首元に煌びやかな装飾が施されたシックな黒のノースリーブロングドレスをエレガントに身にまとった。七瀬は爽やかな刺繍が施されたドレス、岡田はふんわりとしたボリュームスリーブが可愛らしいグレーのドレスで登場。是枝監督は落ち着いたベージュの上品なスーツスタイルでキャスト陣に寄り添った。キャスト陣と監督が仲睦まじい笑顔で姿を現すと、場内では「コレエダヒロカズ」と監督の名前を称える楽曲が流れる演出があり、まさかのサプライズに思わず顔を見合わせて笑みをこぼす場面も。会場からは割れんばかりの大きな拍手と歓声が巻き起こった。

翌7日には、メイン会場「映画の殿堂」で記者会見が行われた。朝からの開催にもかかわらず会場は満席となり、約80名の報道陣が詰めかけた。会見の冒頭、是枝監督は「昨日も開幕式が非常に華やかで、僕の名前を歌にまでしていただき、驚きましたけれど楽しい時間を過ごさせていただきました」と前日のレッドカーペットを振り返り、「デビュー作からずっと呼んでいただいている映画祭ですので、思い入れも非常に強く、ホームという形で誇らしく思える映画祭です。そこでこの作品を皆さんに届けることができ、大変うれしく思っています」と喜びを明かした。

藤野役の出口は「昨年も釜山国際映画祭に来させていただきました。美味しいものをいっぱい食べて帰りたいと思います」と2年連続での参加を喜んだ。京本役の蒔田は「初参加の釜山国際映画祭なのですが、昨日もすごい人たちが集まっている中で、オープニングセレモニーを間近で見ることができて、すごく貴重な経験ができたなと思いました」と笑顔で挨拶。子ども時代の藤野を演じた七瀬は「ヴェネチアでもレッドカーペットを歩いたんですけど、韓国ではまた違う感じのレッドカーペットで、たくさんの人が集まっていて緊張もしたけれど、有名な人とかも見られてうれしかったです」と初々しく語った。子ども時代の京本を演じた岡田は「この作品、そしてこのメンバーで一緒にここに来られているということがとてもうれしく、夢のような時間です」と喜びをにじませた。

著名な漫画作品の実写化に臨んだ思いについて、是枝監督は「原作を読んだときに、“なぜ自分は映画を作るのか”という衝動や、背負ってしまう業のようなものを描いた物語でしたから、あらためて映画と向き合い直すきっかけになった作品でもあります。ですので、その衝撃をこの作品にどう込めていけるかというのを考えました」と明かした。撮影については「とても和やかな現場で、僕が細かく演出するというよりは、4人が共有している時間と、あの街に流れている季節の光の変化を丁寧に積み重ねて、時間をかけて撮っていこうと意識しました。自分にとっては非常に幸せな時間になりました」と振り返った。

映画の始まりと終わりで描かれる“背中”の演技について問われた出口は、「今作ではすごく背中のカットが多くて、背中でしか伝えきれない場面がたくさんありました。監督には“背中で京本を感じて”と言われました」と回顧。「ずっと(蒔田)彩珠とふたりで撮影していたので、京本がいなくなったあとの撮影では、急にさみしくなって、(京本が)いるけれどいないような感じがして、心が空っぽのまま撮影をしていました」と、当時の心境を打ち明けた。

フィルム撮影へのこだわりについては、是枝監督が「今作に限らず、フィルムで撮れるものはフィルムで撮りたいと思っています。今回は映画化が決まった段階で、“この作品は35ミリフィルムで撮りたい”“四つの季節を捉えましょう”ということを最初から提案していました」と説明。「フィルムで撮るということの一番の理由は、今ここにしかない、その瞬間に対する緊張感と集中度の度合いが全く変わってくるからです。その緊張感が集まった時に、何か特別な“磁場”みたいなものがその場所で生まれてくる。それが作品に映り込むと信じているし、それが観客に伝わると信じて映画を作っています」と語った。

作中に盛り込まれたアニメーション表現の意図については、「藤野が京本に“わたしの夢は自分の漫画をアニメにすることなんだ”と言った一言が、ふたりを一旦分かれさせ、どこかでふたりがまた出会い直すきっかけになる物語の流れを考えていました。しかし、それは絶たれてしまった可能性ですけど、京本の部屋で藤野がふたりの夢見た未来を幻視するという意味で、アニメーション表現のアイデアが生まれました」と是枝監督が説明。「通常のアニメーションよりは、ロトスコープというアニメと実写のちょうど中間の映像が、京本の描いた背景画の中で、叶えられなかった夢として動くというのが適切だと思い、あの表現になりました」と、その経緯を明かした。会見の最後には次回作についての質問も飛び出し、是枝監督は「(次回作でも)また釜山に戻ってきたい」と笑顔を見せた。

同日には映画の殿堂・ルーフシアターで野外舞台挨拶も行われ、5名が大きな拍手に包まれながら登壇した。是枝監督が「新作をもってまたこの会場にくることができて本当にうれしく思っています」と挨拶すると、出口は「皆さん、こんにちは! 出口夏希です。カムサハムニダ!」と韓国語を交えた挨拶で観客から大きな歓声を受けた。「昨日のレッドカーペットも、本当に皆さんが温かく迎えてくださったので、釜山を楽しんでます!」と弾けるような笑顔を見せた。

原作漫画との出会いについて、是枝監督は「5年ほど前になると思いますが、この漫画が出版されてすぐに本屋さんで、表紙の背中の絵に惹かれて買って、その日のうちに読んで。ちょうどコロナ禍でいろんなプロジェクトが止まっている状況でしたから、何かこう背中を押されたような、自分はなんで映画を撮っているのか、映画を撮り続けているのかっていうことをあらためて考えさせてくれるような、そんな出会いをこの作品を通して経験しました。それが今回の映画化につながっています」と回顧。

キャラクターを演じる上で大切にしたことについて、七瀬は「私の場合は台本とか渡されずに口頭で伝えられて演じていました。アニメも原作の漫画も“見ちゃダメ”っていう形だったので……自分らしく、というところを大事にしました」と語った。岡田は「京本は秋田の方言を使う子だったので、やっぱり方言の練習をするところから始まって。全然ゆかりのない方言だったので大変だったんですけど、今はその方言自体が楽しいし好きで、日常でたまに使ってます」と笑顔を見せた。

出口は「最初お話をいただいたときは、すごくたくさんの方に愛されているキャラクター、作品だったので、私はもううれしさよりもプレッシャーの方が上だったんです。でも、実際に秋田のにかほ市に行って撮影していく中で、そこで生活をして、自然と撮影できたと思います」と当時を振り返った。蒔田は「最初に実写化のお話をいただいたときに、原作と台本がほとんど一緒で、文字をそのまま起こしたような脚本だったので、どこまで原作に寄せるべきか、どのくらいアニメに近づけるかを悩みました。でも現場に入ったら、夏希ちゃんとふたりの空気感のままお芝居できましたし、監督も見守ってくれていたので、自由に演じることができました」と現場での信頼関係を明かした。

観客へ向けた注目ポイントも語られた。七瀬は「私が演じる藤野が雨の田んぼ道を走るっていうシーンで、藤野の感情があふれてるシーンなので、そこを注目してほしいです」と力強くアピール。蒔田は「作品の半分くらいを子ども時代のふたり(七瀬、岡田)が担ってくれているので、ふたりの約1年間の頑張りを韓国の皆さんにも見届けてもらえたらうれしいなと思います」とふたりへの思いを寄せた。岡田は「ぜひ見てもらいたいシーンは京本と藤野が初めて会うシーンで、撮影も大変だったんですが、その分本当にいいシーンになりました」とアピール。出口は「今回は春夏秋冬、どの季節も美しく映し出されていて、実写ならではの繊細で美しいところが分厚く作品に詰まっていると思うので、ぜひ韓国の皆さんに見ていただけたらうれしいです」と語りかけた。

最後に是枝監督は「全部のシーン、全部のカットに愛を込めて作ってます。その愛にたぶん満ちあふれた映画になったと思っているので、あまりないことなんですが、自分で見ていて別に悲しいシーンではないんですけども、涙が出ることがしばしばあります。ぜひご覧になってその愛を感じていただければなと思います」と、作品への深い愛を明かした。会場全体が作品への期待感に包まれる中、大きな拍手に見送られながら舞台挨拶は幕を閉じた。

<作品情報>
実写映画『ルックバック』

公開中

公式サイト:
https://k2pic.com/film/lb/

(C)藤本タツキ/集英社 (C)2026 K2 Pictures・集英社

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