岩田剛典、初ミュージカルで見せる新境地 福田雄一「新しい岩ちゃんは面白くて、かっこよくて、かわいい」
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インタビュー
左から)福田雄一、岩田剛典 (撮影/大野代樹)
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すべて見る三代目 J SOUL BROTHERSのメンバーで俳優の岩田剛典が、ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』でアーサー王役を務め、ミュージカルに初挑戦する。モンティ・パイソンの映画『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』を基にしたコメディ・ミュージカルで、日本では6年ぶり4度目の上演。上演台本・演出を担う福田雄一は、自身のミュージカル演出の原点である本作を「バッキバキのダンスミュージカル」へと刷新する。これまで映像作品でタッグを組んできた2人に、オファーの舞台裏や、新生『SPAMALOT』の構想、独特の稽古方法、岩田が挑む新境地などについて聞いた。
──岩田さんは今回、ミュージカルに初挑戦します。主演のオファーを受けたときの率直な心境を教えてください。
岩田 福田さんとは映像作品で何度もご一緒させていただいていますが、舞台自体、僕は10年近くやっていないんです。それに加えて、ミュージカルはまた違うじゃないですか。ましてやミュージカル未経験なので、自分にとってすごく新鮮な仕事ということもあって、めちゃくちゃフレッシュな気持ちです。初めましての共演者の方がほとんどだと思うので、稽古からどんな雰囲気になっていくのか、今からすごく楽しみにしています。
──今回は座長でもあります。どのような雰囲気の稽古場にしたいですか。
岩田 喜劇ですから、楽しい稽古にしたいですね。笑いの絶えない稽古にしたいですし、風通しよくやりたいと思っています。

──福田さんにとって、『SPAMALOT』は今回が4度目の上演となります。過去3回から、どのように変えようと考えていますか。
福田 僕は『SPAMALOT』が、多分世界で一番好きなミュージカルなんです。初演のとき、エリック・アイドルに「この台本を、日本のお客さんが爆笑できる台本に書き換えなきゃダメだよ」と言われました。
ただ、過去3回を振り返ると、このミュージカルが好きすぎるがゆえに、僕が好きなところをそのまま残したいという思いがあったんです。そこをブロードウェイで見たときに面白いと思ったから。でも、今回はそれを一度忘れようと思っています。僕が面白いと思っていても、明らかに説明不足なところや、日本のお客さんにはわかりにくいところがいっぱいある。改めて、日本のお客さんが理解しやすく、笑いやすいものにしなければいけないと考えました。
──そこで、よりエンターテインメント色の強い作品にしようと。
福田 そうです。そのときに一番大事だと思ったのが、ダンスを強くすることでした。過去3回は「踊れる人」という選び方をしていないんです。1、2回目は小劇場の人たちに集まっていただいて、3回目は映像の人たちに集まっていただきました。今回は抜本的にエンターテインメントへ振ると考えたときに、岩ちゃんを中心として、エンターテインメント性の強いダンスをやりたいと思ったんです。ほかのメンバーも、それに合わせて集めさせていただきました。
──主演に岩田さんを迎えたいと考えた理由は、ダンスだけではないのでしょうか。
福田 より笑いをわかりやすくしたいという思いもありました。僕は、笑いに能力があるかないかではなく、笑いが好きな人でなければ絶対に笑わせられないと思っています。逆に、笑いが好きな人なら、その面白さは伝わってくる。岩ちゃんとは過去に何度かご一緒していますが、笑いや、みんなを楽しませることに対して、ものすごく貪欲であると感じていました。だから、本当に岩ちゃんしか考えられなかったんです。
岩田 プレッシャーがすごいです(笑)。
──福田さんからの期待を、岩田さんはどう受け止めていますか。
岩田 本当にありがたいことだと思います。ただ、映像作品で何度かご一緒させていただいた上での今回なので、よりハードルが上がっている部分はあると思います。本番で、いい芝居、いいショーを見せたいですね。
福田 本人はプレッシャーと言っていますけど、全然余裕だと思います(笑)。
──そもそも、岩田さんへのオファーはどのように行ったのでしょうか。
福田 本当に受けてもらえると思わなかったんです。年末に稽古して年始に本番という、アーティストにはお願いしてはいけないような時期ですから。本来ならプロデューサーがLDHに電話して、マネージャーさんと相談して、返事を待つものだと思います。でも、岩ちゃんに僕のミュージカルを見に来ていただいて、楽屋で直接「やってください」と言いました(笑)。
岩田 確か、最初はLINEでいただいたと思います。その後、『グラウンドホッグ・デー』を見に行かせていただきました。その前に福田さんから「これが面白かったら、ぜひ」と言われていたんです。
福田 LINEでは「つまらなかったら断ってください。面白かったらやってください」と書きました(笑)。
岩田 すごいですよね。誰も断れないです(笑)。でも、本当に楽しみです。年明けなので、気持ちも新たにできそうな気がします。「明けましておめでとうございます」という、新春一笑いのような形で届けられるのもいいですよね。

──かなり大胆なオファーだったんですね。福田さんが考える、コメディ・ミュージカルに必要な姿勢とは何でしょうか。
福田 コメディ・ミュージカルでは、お客さんに楽しんでもらおうという姿勢がなければ絶対にダメなんです。「私は歌がうまいので聴いてください」ではなく、「僕の歌を聴いて楽しんでください」という姿勢が絶対必要です。
例えばミュージカルによっては、歌を上手に歌ってくれればいいのかもしれない。でも、コメディ・ミュージカルでは、お客さんに笑ってもらわないと始まりません。歌うことで楽しんでもらいたい、踊ることで楽しんでもらいたいという姿勢が必要です。その座長として岩ちゃんを迎えられることは、僕が考えられる中で最高のキャスティングだと思っています。
──岩田さんには、人を楽しませたいという感覚が常にありますか。
岩田 それは、これまでずっとやってきたことだと思います。自分の根底にあるものだと思いますね。
福田 三代目 J SOUL BROTHERSのライブを見ていても、そう感じます。見てくださっているファンの方たちが楽しんで、気持ちよく「楽しかったね」と言って帰れるものを目指している。そのスピリットは、結局一緒なんだと思います。
──歌や芝居、ダンスなど、さまざまな要素が求められます。現時点で課題に感じていることはありますか。
岩田 僕はタップダンスをやったことがないんです。今回はタップもあるので、そこは特訓が必要かなと思っています。
福田 原作の『SPAMALOT』では、アーサーがタップをするシーンはありません。「キャメロット」というナンバーで、アーサーがタップを踏めないから、その音をパッツィがココナッツで鳴らすというシーンがあるんです。でも、今回はせっかく岩ちゃんが来てくれたので、それなしで、本当にタップをやりたいと思っています。
──福田組の稽古では、3日目に通し稽古を行うそうですね。岩田さんはどのように受け止めていますか。
岩田 まだ共演者の呼吸も、お互いの素性もきちんとわかっていない段階の3日目なので、結構ヒリヒリした稽古になりそうな気がしますね……。
──なぜ、そこまで早い段階で通し稽古を行うのでしょうか。
福田 僕は、劇場に入る1週間前まで何一つ文句を言わないんです。演出もしないし、極端に言えば「ここに立ってください」とすら言いません。僕が「こうやってください」と言ったら、演出家の言葉は絶対になってしまう。例えば「そこに座ってください」と言ったら、役者さんは座らなければいけません。でも、稽古しているうちに、立っているほうが面白いとわかるかもしれない。
映像でもそうですが、基本的に役者さんのアウトプットを全部いただいてから、何かを決断していくという流れなんです。映像の場合は、段取りをやって、カメラリハーサルをやって、本番を迎える。その流れを、舞台では20日間かけてやるような感覚です。その間、僕は何も言わないので、皆さんが思った楽しいことを、時間を気にせずやってくださいと。
その後、台本の1ページ目から「ここはこれでやりましょう」と、急に僕が演出を始める日が来ます(笑)。それまで何も言わずにセンターにいた僕が、急に「2番に立ってもらっていいですか」と言い始める。そこから10日間くらい稽古して舞台に上げると、ものすごくいい感じになるんです。新鮮で、フレッシュな笑いを持ったまま本番に入れるんですよね。
──岩田さんは、福田さんの演出方法にどのような魅力を感じていますか。
岩田 役者のアウトプットを一度受け止めて、風呂敷を広げ、選択肢を狭めないようにしてくださるということは、映像作品のときも感じていました。想像もつかないような着地になるかもしれないし、ゴールがより高いところに行くかもしれない。そこはすごく楽しみですね。
福田 絶対にそうだと思うんです。僕が一人で考えるよりも、みんなで考えたほうが絶対に面白いに決まっていますから。
──これまで映像作品でご一緒してきた中で、岩田さんは福田組にどのような印象を持っていますか。
岩田 本番に行くまで、全然リハーサルをしないんです。段取りが終わったら「よし、じゃあ本番」という流れにはだんだん慣れてくるんですけど、みんな、めちゃくちゃ変えてくるんですよ。
「今のままではダメだ」「もっと出していかないとダメだ」と、みんな必死にやる。映像なんですけど少しライブ感があって、毎回違うことをやるんです。「違うことをやれ」と言われているわけではないんですけど、そこで違うものが生まれて、それがすごく面白いシーンになったり、いいものになったりする。その日の、その瞬間にしか生まれないものがあることは、ほかの組と違うと思いますね。
福田 段取りと同じことを本番で役者さんがやると、僕は「今ので大丈夫?」と聞くんです。「大丈夫です」と言われたら全然いいんですけど、そうすると役者さんが「すみません、もう一回」と言ってくる(笑)。
岩田 引き出しを求められるので、緊張感がありますよ……。

──今回の舞台で、岩田さんから新たに引き出したいものはありますか。
福田 岩ちゃんは、僕の映像作品では今までボケしかやったことがないんです。基本的にボケのポジションなんですよ。今回は、ちょっと面白いツッコミをやってほしいと思っています。横には、とても優秀な一色洋平という役者をつけていますので、岩ちゃんが間違ったツッコミをしたときに「ツッコミが違う」と言われるようなことは、やりたいと思っています。
──岩田さん自身は、普段はボケとツッコミのどちらでしょうか。
岩田 どちらかというと、普段もボケのほうかもしれないですね。ツッコミとは全く違う頭の使い方だと思うので、すごくプレッシャーです。そこはもう、稽古でやるしかないですね。
福田 岩ちゃんは、稽古をしていたら自然にせりふが出てくると思います。以前、井上芳雄くんと舞台をやったときに、「何か不可解なことが起きたら、自分が思ったことを言っていいよ。台本になくても」と伝えたんです。
そしたら芳雄くんは、「僕は台本にないせりふを言っていいという教育を受けていません」と言っていて(笑)。なので「今までの人とは全然違うと思ってください!」と伝えたら、思ったことをどんどん言うようになり、それを採用していったら、台本の余白に赤字でせりふが足されていったんです。「台本がバラの咲いたような感じになって、もう余白がありません」と言っていました。岩ちゃんも、そのタイプだと思っています。
──岩田さんにとって、本作はどのような挑戦になりそうですか。
岩田 僕はこの世界に入って16年目なんですけど、まだやっていないことがあるのは幸せだと思いますし、そこへ飛び込めることも幸せですよね。今回は、今までやってきたことをなぞるのではなく、本当に新人なので、気持ちとしてはすごくフレッシュです。僕のファンの方を含め、お客さんにとっても、こういう姿を見ていただくことは新鮮だと思います。何が生まれるのか、自分自身も想像がつきません。まだ幕開け前ですけど、それは本当に幸せなことだと感じています。
──福田さんは、岩田さんにどのような思いで本番を終えてほしいですか。
福田 この舞台が終わったとき、岩ちゃんに「いや、舞台楽しいっすね」と言ってもらうことが、僕の一番の目標です。「もう一回やりたいっす」くらいのことを言ってもらえたら、僕にとって一番いい結果ですね。
岩ちゃんは舞台をあまりやっていないですし、舞台に出てお客さんの爆笑をもらうという体験も、あまりしたことがないと思います。その気持ち良さだったり、三代目 J SOUL BROTHERSとは違う質のお客さんの拍手だったり、そうしたものを味わってもらえるように頑張りたいです。岩ちゃんが「またやりたい」と言ってくれるなら、このメンバーでもう一度再演したい。それくらいの感覚でいます。
──最後に、公演を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
福田 今回、吉池プロデューサーと「今、我々の周りで考えられる、ギャグミュージカルを作れるベストの役者さんをそろえよう」と話したことが、キャスティングのコンセプトでした。岩ちゃんで言えば、本当に新しい岩ちゃんです。面白くて、かっこよくて、かわいい。岩ちゃんをはじめ、すべての役者さんが笑いとエンターテインメントを提供し、それぞれの魅力をすべて見せられる作品を目指して頑張ります。それができるという確信めいたものがあるので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。
岩田 2027年の年明けからの舞台ですが、自分にとって初挑戦がいっぱい詰まった仕事です。未体験のタップダンスもありますし、これまで少しずつやってきたことが生きる部分もあると思います。ただ、基本的には僕自身も見たことがない景色なので、ぜひ皆さんと一緒に共有して、最高の空間にできたらと思っています。東京公演の会場は、先日の記者会見で見せていただいたのですが、めちゃくちゃすてきでした。音響なども整ったすばらしい舞台で芝居ができることが、本当に楽しみです。難しいことは何もないと思うので、ぜひ頭を空っぽにして楽しんでもらえたらと思います。

ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』は、2027年1月6日(水)から31日(日)まで東京・EXシアター有明、2月5日(金)から8日(月)まで大阪・オリックス劇場、2月12日(金)から14日(日)まで福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホールで上演される。
取材・撮影/大野代樹
<公演情報>
ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』
脚本・詞:エリック・アイドル
音楽:ジョン・ドゥ・プレ&エリック・アイドル
原作:映画『Monty Python and the Holy Grail』より
上演台本・演出:福田雄一
翻訳・訳詞:福田響志
振付:Sota(GANMI)
音楽監督・指揮:上垣聡
【キャスト】
アーサー王:岩田剛典
ロビン卿:山下幸輝
ガラハッド卿:藤原大祐
パッツィ:一色洋平
ランスロット卿:安西慎太郎
湖の貴婦人:Mehri
マルチ:坂口涼太郎
ベディヴィア卿:小手伸也
歌って踊る人々:
磯部杏莉 植村理乃 岡本拓也 神谷玲花 坂元宏旬 咲良
高山裕生 田中真由 常住富大 堀江慎也 山田美貴 横山達夫
スウィング:
荒木啓佑 森田有希
【東京公演】
2027年1月6日(水)~31日(日)
会場:EXシアター有明
【大阪公演】
2027年2月5日(金)~8日(月)
会場:オリックス劇場
【福岡公演】
2027年2月12日(金)~14日(月)
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール
チケット情報:
https://www.spamalot.jp/
フォトギャラリー(5件)
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