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JIJIM・シンジュ インタビュー |新EP『朝月』全曲解説とツアータイトル『Us』に込めた思いを語る「明日を生きる力を届けたい」

音楽

インタビュー

ぴあ

JIJIM・シンジュ / Photo:石原敦志

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Text:森朋之 Photo:石原敦志 Live Photo:若奈

2022年に結成された6人編成のバンド、JIJIM。トルコ語で“小さくて楽しい”を意味し、キリム織の技法でもある「ジジム」を冠したバンド名通り、1音1音、一つひとつの言葉に願いを織り込んだ楽曲によって確実に支持を集めている。シーケンスや打ち込みを使わず、6人の生音だけで届けられるライブパフォーマンスもこのバンドの魅力だ。
現在はライブハウスツアー『JIJIM LIVE HOUSE TOUR 2026 「Us」』の開催中。11月7日(土)の東京・代官山UNIT、11月23日(月・祝)の大阪・Yogibo HOLY MOUNTAINはワンマン公演となる。バンドの成り立ち、そして、新作デジタルEP『朝月』(あさつき)を携えたこのツアーについて、バンドの中心であるシンジュ(vo)に聞いた。

――JIJIMの結成は2022年。温かみのあるグッドミュージックを届けてきたバンドだと思いますが、結成当初はどんなビジョンがあったのでしょうか?

バンドをとりまく環境は少しずつ変わっているんですけど、根本は変わってなくて。幸せを届けたいんですよね。自分自身のいろんな感情も込めているんですが、音楽として誰かに届いたときは、その人の日常を彩ったり、幸せが増えていけばいいなって。「そんな音楽を届けたい」というところで集まった6人なんです、JIJIMは。

――幸せを届けられるバンドになりたいという願いには、シンジュさん自身の体験も反映されているんでしょうか?

そうかもしれないですね。もちろん悲しいことや辛いことはあったし、その状況から逃げて、音楽を辞めようとしたこともあって。そういうときって、なかなか音楽が聴けなかったりするんですよ。そのことに気づいたときに「楽しさを増やせる、ハピネスを作れる音楽をやりたい」と思ったんです。ライブに来てくれた人が、その瞬間を思い出して、きついときを乗り越えられるような音楽を作りたいなと。僕自身はロックやシティポップ、ジャズ、クラシックまで、いろんな音楽が好きで。それを踏まえてJIJIMの音楽はどうあるべきか?と考えたときに、聴いてくれる人たち、ライブの会場にいる人たちの日常に溶け込んでいくような音楽を届けたいという気持ちもあります。

Photo:石原敦志

――新作デジタルEP『朝月』(あさつき)にも、JIJIMのアイデンティティがしっかり刻まれていると思います。4曲を通して統一された世界観が描かれていますが、どんなテーマで制作に臨んだのでしょう?

ライブハウスツアー『Us』の前にリリースしたいというのが最初ですね。そのうえで「どんなEPにしようかな」って考えて。曲を書くのも夜だし、ライブも基本的には夕方から夜じゃないですか。ツアー中の移動も夜だし、友達と遊ぶときも夜が多いんですけど、いつも月がそばにいてくれる気がしたんですよね。しかも夜の月ではなくて、夜から朝まで残ってくれている月が好きで。不安なときも楽しいときも、眠れなかった日も早く起きてしまったときも、朝の月を見ると安心する。そんなEPを作ってみたいと思って取り掛かったのが、今回のEPなんです。

――実際に朝の月を目にすることも多いんですか?

そうですね。近所に川があるんですけど、月を見ながら河原を散歩したり。深夜に出かけて、そのまま朝まで歩くこともあるんですよ。以前は「散歩しながら曲を生み出したい」という気持ちもあったんですけど、最近は月を見て歩くことで頭がリセットされる感じがあって。自分自身をスッキリさせてから、「よし」という感じで音楽に取り組むことも多いですね。

――収録曲についても聞かせてください。1曲目の「ハイウェイライダー」は切なくてきれいなメロディが印象的なナンバー。〈もし僕が/あなたに会えたら〉と〈もし僕が/あなたを忘れたら〉のコントラストも心に残りました。

「ハイウェイライダー」は“大切なものが自分のそばから離れていく”というテーマで制作した楽曲ですね。僕の心のなかに器みたいなものがあって、いろんな感情が溢れ出たときに作品になったり、その作品がしっかり誰かに届くような音楽になったりするような気がしているんです。でも、自分のキャパシティは決まっているし、あまりにもたくさんの感情が湧き出ると、溢れる量も増えてしまう。そのせいで大切なものを押し出しちゃうこともあるんですよね。あと、僕はバイクに乗るのがすごく好きだったんです。以前、大切な人が離れてしまったときにふたりの思い出でもあるバイクで、ひとり高速を走ったことがあって。そのときに感じた風、目に入ってきた看板は今も印象に残っていて……。そのときの情景や思いをそのまま曲にしたのが「ハイウェイライダー」ですね。

――「ナイスガイ」は生々しいバンドサウンドが響き渡るアッパーチューン。ライブ映えしそうですね!

ありがとうございます。山梨から東京に出てきてもうすぐ2年なんですけど、地元にいたときに比べると電車移動がすごく増えて。どうしても電車に乗っている人が目に入るんですけど、いろんな方がいらっしゃるじゃないですか。つり革にぶら下がったまま居眠りしている人もいるし、電車の揺れに耐えながら勉強している高校生もいて。みんながんばって日々を生きているんだけど、それが評価されることはあまりないような気がするんです。「みんながやっていることで、当たり前でしょ」みたいな。でも、それは誰かがホメるべきじゃないかなって……という曲ですね、「ナイスガイ」は。

Live Photo:若奈

――まず歌いたい思いがあって、それが曲になっていく。

そうですね。最初に歌詞を書いて、そこにコードを当てて、メロディを作って。それをメンバーに共有して、話ながらサウンドを作っていくことが多いです。洋楽を聴くときはリズムやサウンドを意識することが多いんですけど、日本語の曲の場合は歌詞に耳がいくし、そのなかにある言葉に救われることもたくさんあって。本を読むのも好きで、日本語って美しいなと感じることも多いです。

――3曲目の「ムーンパイ -π-」は〈綺麗なπ/華麗なπ/大きなπ/小さなπ〉というリズミカルな歌詞が楽しい曲。タイトルに月が入っていますね。

これは僕自身が舞い上がっていた夜の思い出がもとになっていて(笑)。月を見ながら歩いているときに、いろんな想像を膨らませて書いた曲ですね。“終わらない幸せ”というテーマもあるような気がします。ずっと続いていくものって何だろうと思って、円、円周率、πにつながって。書き始めたら言葉遊びが楽しくなってしまって、こういう歌詞になりました。一緒に歌えそうなところもあるので、ぜひライブでシンガロングしたいです。

――最後の「イーゼル」はメンバーのみなさんの音と声が有機的に共鳴する楽曲。JIJIMらしさが出ていますね。

この曲は『Us』というツアーに対する思いと重なっているんです。今までのことを振り返って「本当によかったのかな」と後悔することが結構あるんですけど、「いや、そうじゃない。これで大丈夫だ」と自分に言い聞かせるようにこの曲を書いて。イーゼルはキャンバスを置く台のことで、絵が完成するかどうかではなくて、「あなたが描きたいものを描き続けることが大切だよ」と歌っているんです。自分の弱さにフォーカスしているところもあるんですが、ライブでみんなを包み込む曲になったらいいなと思うし、ぜひツアーで歌いたいですね。

Live Photo:若奈
Live Photo:若奈

――現在はライブハウスツアー『JIJIM LIVE HOUSE TOUR 2026 「Us」』の真っ最中。『Us』には“私たち”と“明日”のふたつの意味を重ねているそうですね。

はい。“私たち”はバンドのメンバーのことではなくて、ライブに来てくれる人たちを含めた“私たち”なんです。その中心にいる“あなた”が、自分自身の周囲を信じられるようになって、明日を生きる力を得てほしい。そんな思いを込めています。僕らがライブで大切にしているのは、クリックやシーケンスを使わず、自分たちの音だけを自由に届けることなんです。昨日と同じ演奏にはならないし、その日だけの音楽を演奏して、ひとつの空間を作り上げたくて。……ってマジメに話していますけど(笑)、僕らもすごくワクワクしているんですよ。福岡、愛知、山梨、宮城は対バン形式で、僕らが大好きなバンドにお声がけさせてもらって。それぞれの場所で、その日だけの音楽を作り上げたいと思っています。

――11月7日(土)の東京・代官山UNIT、11月23日(月・祝)の大阪・Yogibo HOLY MOUNTAINはワンマン公演です。

とにかくたくさん演奏したいですね! 大阪も東京も僕たちにとっては最大規模のワンマンですし、チャレンジでもあるんですが、ワクワクのほうが勝っていて(笑)。この日は本当にステージに僕たちしかいない。僕たちだけを見にきてくれる皆さんしかいない。そんな空間で今までリリースしてきた曲たちを一緒に楽しめたらと思っています!めちゃくちゃ楽しみです。

――ライブを通して、メンバーとの関係性も強くなっているのでは?

本当にそうだと思います。ステージの上で「彼は今日、こういう気持ちなんだな」とか「彼女はこういうことをやりたいんだな」というのがわかるし、そのなかでバンドのグルーヴが生まれるというか。もちろん意見がぶつかることもあるけど、空気が悪くなったり、ギクシャクすることはなくて。他の人がどう思っているかわからないけど(笑)、僕はいちばん仲がいいと思っている友達がメンバーなんです。

――素敵です。ライブを楽しみにしている方にはどんなことを伝えたいですか?

先ほどもお伝えしましたけど、明日を生きる力になるような音楽を届けられたらなと思っています。明日とは言わず、次に会えるときまで続くような楽しさを届けられたらなと。

――素晴らしいライブを体験すると、「これでしばらくがんばれるな」って思ったりしますからね。

そうですよね。9月の初めに桑田佳祐さんのライブを観させてもらったんですけど、本当に素晴らしくて。そのときの楽しさが今でもずっと続いています(笑)。

Live Photo:若奈




<リリース情報>
デジタルEP『朝月』
配信中

【収録曲】
1.ハイウェイライダー
2.ナイスガイ
3.ムーンパイ -π-
4.イーゼル

配信リンク:https://orcd.co/jijim_asatsuki

<公演情報>
『JIJIM LIVE HOUSE TOUR 2026 「Us」』
※終了公演は割愛
◆イベント形式
10月24日(土) 愛知・HeartLand
ゲスト:Broken my toybox / Lala

10月25日(日) 山梨・Live House 鹿
ゲスト:LUCCI / Akari Dritschler

10月28日(水) 宮城・LIVE HOUSE enn 2nd
ゲスト:chef's / 至福ぽんちょ

◆ワンマン公演
11月7日(土) 東京・代官山UNIT
11月23日(月・祝) 大阪・Yogibo HOLY MOUNTAIN

【チケット情報】
スタンディング:3,500円(税込/ドリンク代別) ※イベント形式
スタンディング:4,000円(税込/ドリンク代別) ※ワンマン公演
https://w.pia.jp/t/jijim-tour26/

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