野沢雅子が声の無断利用に幻滅、島田敏は深いため息 日俳連が生成AIによる音声利用のガイドライン発表
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日本俳優連合による「音声に関する生成AI利用ガイドライン」発表記者会見の様子
日本俳優連合による「音声に関する生成AI利用ガイドライン」発表記者会見が本日10月15日に東京・芸能花伝舎で行われ、副理事長の池水通洋、常務理事の島田敏、佐々木優子らが登壇したほか、副理事長の野沢雅子がビデオメッセージを寄せた。
このガイドラインは、生成AIによる音声の利用について共通認識を広め、安心・安全に活用できる環境の実現を目指して作成されたもの。津田健次郎の声をめぐる訴訟で、「声も肖像と同様に個人の人格の象徴でありパブリシティ権の保護対象である」と認められたものの、法の整備がなされていないことも浮き彫りとなっており、日俳連は実演家の声や肖像が無断でAIの学習に使用され、本人の許諾なく歌唱や発言が生成されることなどに懸念を示している。
スケジュールの都合で会見を欠席した野沢は「AIの進歩はすごいですよね。子供の頃に夢見たことがどんどん現実になっていっている感じで、私もワクワクするんです!」と技術の発展に期待を寄せる一方、「でも、私たちの声が無断で使われているなんてね。ちょっと幻滅してしまうんですよ。みんながルールを守って、人間もAIもお互いに楽しくなれる未来を作れたらなって、私は願っています」と思いを伝えた。
自身も生成AIによる音声の無断利用を経験した島田は「テレビアニメや劇場版が数多く制作されてきた『ドラゴンボール』シリーズで、私はブロリーを演じています。あるとき、ブロリーの声を再現した生成AIがAdoさんの楽曲『うっせぇわ』を歌う音声を聴きました」と振り返り、「初めて聴いたときは目が点になりました。深いため息が漏れました。そして時間が経つにつれて怒りが増してきたんです」と明かす。続けて「個人で楽しむのはいいです。ですが、実演家の知らないところで言ってもいないこと、歌ってもいない歌がインターネット上に公開され、フォロワー数を稼ぎ、収益化するというのはどう考えても納得がいかない」と訴え、「アニメーション作品ではシナリオや画、音楽などが制作され、収録現場では役者同士がセリフを交わし、演出の指示を受けながら感情を表現していきます。そうやって魂を吹き込んだ作品が世に出ていくんです。アニメーションは総合芸術だと考えています。生成AIでその一部を使うのは作品への冒涜ではないかと思います」とコメント。「一般のユーザーにも実演家の声を無断で利用し、インターネット上に公開することには問題があると理解していただくことで、俳優文化が守られ、発展につながっていくと思います」と言葉に力を込めた。佐々木は「AIが怖い、嫌いと言っているだけでは進めない。今後も声優の仕事はなくならないと信じて、やっていきたいです」と口にする。
ガイドラインでは、特に重要な課題として「事前の許諾」「対価」「多言語化」「物故者の声の利用」の4項目を設定。事前の許諾については、AIの学習、生成、公開・利用の各段階で、対象となる音声の持ち主である実演家に利用目的を明示し、許諾を得ることを必須としている。また、AIによって生成された音声の利用を新たな形での「実演の提供」と同等と位置付け、実演家に適切な報酬が支払われるべきだと定めた。
多言語化については、AIを用いて実演家のセリフをほかの言語に翻訳し、本人の声を再現した吹替音声を生成する際の留意点を定めた。演技のニュアンスが意図せず変化することや、契約外の地域で無断利用されることを防ぐため、言語ごとの利用許諾と追加の対価を求めている。これにより、海外展開においても、現地のファンにオリジナル声優の声を公式かつ適切な形で届けるビジネスモデルの構築につながるとしている。さらに、死去した実演家の声をAIで再現する場合についても、倫理的なルールを設定。生前の本人の遺志を最大限尊重するとともに、権利を継承する遺族や管理者の厳格な許諾を必須とすることで、故人への冒涜を防ぐとしている。
池水は「マネージャーや音声製作者連盟の方々に、このルールを使って仕事していただく。実例を作っていこうと。それが法律を作ることにつながっていくと思います」と、ガイドラインの運用実績を積み重ねることが法制化につながるとの考えを示した。また、動画配信プラットフォームと無断利用者の利益関係にも触れ「お互いかばい合う場合もある。これはちょっとおかしい」と疑問を呈し、「声優は声を仕事にしている。人格そのもので仕事をしているので、それを侵されるのは非常に厳しいです」と訴えた。
ガイドラインでは、故人の音声のAI利用を原則として禁止。故人の死亡時点ですでに制作が始まっていたシリーズ作品の続編や、生前に出演を承諾していたプロジェクトなどについては、遺族らの事前の同意を得ることなどを条件に、例外的な利用を認める余地を設けている。故人に人格権は認められないのではないかという声が上がると、日俳連の顧問弁護士・大久保修一は「故人の声を使用して新たな作品を作るということは、現在活動している実演家や、これから活動を始める実演家の仕事の機会を奪ってしまうと思います。また、故人がその作品に出演したいかどうかも確認できない。ですから、このようなガイドラインになっています」と説明した。
日俳連は今後、ガイドラインを業界内のルールとして定着させるとともに、「声の権利」の法制化に向けて国や政府機関への働きかけを強化する方針だ。ガイドラインの詳細については日俳連の公式サイトで確認してほしい。

