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闘いから何が浮かび上がるか!? ――『グレンギャリー・グレンロス』インタビュー:堤真一×濵田崇裕

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左から)濵田崇裕、堤真一

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Bunkamuraの「DISCOVER WORLD THEATRE」シリーズ第17弾は、アメリカの演劇界を代表する劇作家デヴィッド・マメットによる『グレンギャリー・グレンロス』。不動産業界の顧客獲得競争を通して、成功を目指す男たちの欲望や葛藤、そして資本主義社会のひずみをあぶり出す。その熾烈な闘いに挑む堤真一と濵田崇裕が語り合った。この戯曲に取り組む難しさと面白さはどこにあるのか。

──『グレンギャリー・グレンロス』への出演が決まったときのお気持ちから聞かせてください。

堤:僕はまずこの、日本と海外のクリエイターとの共同作業で海外戯曲を上演するという「DISCOVER WORLD THEATRE」シリーズに参加するのが今回で7作目になるので、また呼んでいただいてありがたいことだなと思いました。脚本は難しいですけど(笑)。

濵田:難しいですよね(笑)。お話をいただいたときは僕はもうびっくりしました。こんな錚々たるメンバーのなかに入るのは緊張するだろうなとは思いますけど。こんなチャンスはないですし、お芝居ができることに喜びを感じました。

──この作品は「摩天楼を夢みて」という邦題で映画化もされていて、お二人とも映画もご覧になったとお聞きしています。映画や戯曲はどんな印象でしたか。今、お二人から「難しい」という言葉も出てきましたが……。

堤:不動産のセールスをしている男たちの物語で、業界用語が出てきたりするので、最初は話の内容が入ってきづらい感じがあったんです。映画のほうはそれでも、場所が変わったり実際に営業している場面も出てきたりしてわかりやすかったんですけど、舞台はそれがなくて会話だけで見せていかなければいけないですから。登場人物たちの関係や、彼らが何の話をしているのか、もちろん最終的にはわかるとは思いますけど、入口からわかってもらうにはどうしたらいいのか、大変だなという気がしています。

濵田:堤さんがおっしゃるようにまず業界用語がわからないから、今、長台詞を覚えている最中なんですけど、口に出しながら「僕は今一体何を喋ってるんだろう」と思ってしまうんです(笑)。だから、台詞を体に入れることと台詞の意味を理解することを同時進行でやらないといけないんですけど。ただ、目の前に人がいて一緒にお芝居していくとずいぶん変わると思うので。どういう表現になっていくのか自分でも楽しみです。

──その不動産の営業成績を競い合っている男たちのなかで、堤さんが演じられるのが、かつては成功をおさめていたけれども今は落ち目で必死なレヴィーン。そして濵田さんが、巧みな話術で次々に契約を結んでいるやり手のローマ。それぞれ役をどう捉えてどう表現したいと思われていますか。

堤:映画ではジャック・レモンが演じていて、歳を取って落ち目でかわいそうで、というふうに見えましたけど、僕がやるとたぶんかわいそうに見えないんじゃないかなと思います(笑)。意図的に変えるつもりはないですけど、あの雰囲気を出せと言われても無理だし、真似をする必要もないし。売ろうとする必死さや一生懸命さが、もう少し違う感じで出ればなと。

濵田:映画でローマを演じたのがアル・パチーノさん。年齢も雰囲気も貫録も違うし、あのローマの頭の回転の速さを僕に表現できるのかなと思って、不安でもあり楽しみでもあります。僕は人の台詞も全部ボイスレコーダーに録音して、それを聞きながら喋って台詞を覚えているので、とりあえずローマの台詞は録音したものより速く喋るという練習をしています。

──それぞれの役に共感するところはありますか。

堤:まったくないです(笑)。サラリーマンの経験は一切ないですし。とくに営業は、人を口説き落としてものを売る仕事なわけですから。生活のためということもありますが、自分だったらレヴィーンのようにそこまでそこにしがみつくことはしないで、辞めて別のことをするだろうなとは思います。若い頃からそれしかやってなくて潰しが効かないという意味では、僕も役者しかやっていないので同じかもしれないですけど。

濵田:僕も共感するっていうのは難しいです。そもそも、戯曲に書かれているローマは、「どれが本当のローマなんだろうか」と思うくらいの人で。ちょっと本性が見えたときに「口悪っ」と思いましたけど、それでもまだ隠している何かがあるような気がして。だから、僕が今まで会ったことのない人間なのかもしれないなと思うんです。

堤:僕は営業マンをやっている同級生がいて、彼も「いつでも辞めてやる」と言っていたヤツで本当に辞めましたけど、だから、その世界のことを理解できないことはないんです。ましてやこの歳になってクビになると言われたらすぐにほかの仕事は見つからないだろうし、焦るのはわかる。でも、僕も若い頃に食えないときがあったけど逆に楽しい部分もありましたから。

濵田:食えないからこその楽しさ。

堤:そう。上を見て突き進むしかないっていう。だから今も、別に役者にしがみつくのではなく、山で暮らすとか、ほかに楽しいことがあれば、その楽しいほうに進みたい。

濵田:えーっダメですよ(笑)。役者を続けてほしいです。

──今回の演出を手掛けるのは英国のジョン・ハイダーさん。海外の演出家とのタッグにはどんな楽しさがありますか。

堤:最近は変わってきましたけど、僕らが若い頃の日本の演劇は、演出家が「先生」で俳優が「生徒」になりがちだったんです。演出家の答えに近づくために頑張る。でも、海外の演出家は「君がそうするならこうしてみようか」と一緒に答えを見つけていく。一緒に作っている楽しさがあるんです。ジョン・ハイダーさんは日本で演出するのが初めてということですから、どうなるのか楽しみです。

濵田:僕は『プロデューサーズ』(24年)で初めて海外の演出家さんとやらせてもらったんですけど。僕が「今まで演じてきた人に近づけるのは難しいです。ごめんなさい」と言ったら、「前のことは気にしなくていい。あなたが演じる役で作品を作っていこう」と言ってくださって。本当に堤さんがおっしゃったような楽しさを感じました。だから、今回も楽しみです。

──最後に作品を楽しみにされている方々にメッセージをお願いします。

堤:難しい作品だと言いましたけど、どんな観方をしていただいても、自由に楽しんでいただければ大丈夫。とにかく、僕たちと一緒に同じ空間、同じ時間を過ごしていただければ、それだけで幸いです。

濵田:カメラを通して観る映像と違って、舞台はお客様自身の視点で観られるので、自由に楽しんでいただいて。観たあとに、台詞やシーンが一つでも心に残って響いたら、それをずっと大切にしていただけたら嬉しいです。

取材・文/大内弓子
撮影/荒川 潤
[堤 真一]ヘアメイク/奥山信次(barrel) スタイリスト/中川原寛(CaNN)
[濵田崇裕]ヘアメイク/井上ゆか スタイリスト/村田友哉(SMB International.)

<公演情報>
Bunkamura Production 2026/DISCOVER WORLD THEATRE vol.17
『グレンギャリー・グレンロス』

作:デヴィッド・マメット
翻訳:広田敦郎
演出:ジョン・ハイダー
美術・衣裳:リリー・アーノルド

出演:堤 真一 濵田崇裕 鈴木浩介 前川泰之 岩瀬 亮 小松和重 池内博之

【東京公演】
2026年11月6日(金)~30日(月)
会場:IMM THEATER

【大阪公演】
2026年12月5日(土)~11日(金)
会場:森ノ宮ピロティホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/ggr2026/

公式サイト:
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/ggr2026/

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