【聖飢魔II / Setlist】
1. 聖飢魔IIミサ曲第Ⅱ番「創世紀」
2. 地獄の皇太子
3. Kiss U Dead Or Alive
4. Next Is The Best!
5. 老害ロック
6. LOVE LETTER FROM A DEAD END
7. Oblivion
8. 蠟人形の館
9. FIRE AFTER FIRE
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『Music Splash!!』凛として時雨 / 聖飢魔II
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すべて見るText:石角友香 Photo:Terumi Fukano
多くの音楽ライヴの企画制作やEXシアター六本木などの運営も行うEXエンタテインメントが開催する音楽イヴェント『Music Splash!!』。2025年から続く同シリーズの第4弾が、10月17日に.ENDRECHERI.、Lucky Kilimanjaro、10月18日に凛として時雨、聖飢魔IIのジョイントギグとして、東京・SGC HALL ARIAKEで行われた。ここでは2日目の模様をレポートする。ヘヴィメタル/ハードロックと体験的なオルタナティヴロックという、異なる音楽性を持つ2バンド。お互いのファン・信奉者は初見の人も少なくなかったようだが、結果的には、他に類を見ない世界観を新鮮な気持ちで楽しむオーディエンスの熱気が会場に溢れることになった。

先攻は聖飢魔II。去年に続き今年も全国TOURを成功裡に終了、年明けの日本武道館2DAYS公演のチケット争奪戦も熾烈を極め、ハードロック/ヘヴィメタル界のみならず、音楽シーンで不変の存在感を示している。 熱い信奉者(ファン)が見守る中、ゴジラの鳴き声が響き、ルーク篁参謀(g)、ジェイル大橋代官(g)、ライデン湯澤殿下(ds)、サポートメンバーの大桃俊樹(b)、RENOファウスト(g)、KAMISORI SYUTO(key)が登場し、「聖飢魔IIミサ曲第Ⅱ番『創世紀』」の重厚な演奏でスタート。そこに黒装束の使徒が棺を運び込み、スモークと共に中からデーモン閣下(vo)が登場する演劇的なオープニングに、恐ろしく大きな歓声が起こる。地獄の底から湧き出るようなデーモン閣下の笑い声はやはり桁外れの迫力だ。ユニゾンするトリプルギターの疾走感、デーモン閣下の脳天を突き抜けるようなハイトーンが「ここに聖飢魔IIあり」を証明する「地獄の皇太子」と、畳み掛ける。そして大桃のイーヴィルでエフェクティヴなベースラインがホールを振動させるイントロから、最新作『Season Ⅱ』のタームに突入。ラウド/ヘヴィロック寄りの重いアンサンブルが、サウンドを更新し続ける現在のバンドを印象づける「Kiss U Dead Or Alive」だ。思い切りクランチなギターリフ、16ビートを感じるグルーヴも新鮮だ。

「若手のバンドのファンの前でライヴをするのが楽しみだ。ついてこいとは言わないが、ま、適当に観てろ」と、余裕綽々なデーモン閣下。威厳とユーモアを両立するMCはさすがだ。さらに、凛として時雨に対する愛あるイジリも。「(凛として時雨も)声、高いな」と、TKの真似をしたり、「50、60(歳)になったらどうするんだ? と思ったが、我々もそう言われてきたが、なっちまったぜ!全員10万60歳超えに!だからキレッキレの動きとかない! だが、凛として時雨もないようだ!」と、時雨ファンをリラックスさせる話術も飛び出す。プレイのソリッドかつヘヴィな側面から一転、ベテランの懐の深さを思い知る場面だ。自身の闘病と克服も振り返り、「もう体はガタガタだ。だが今やれることを全力でやるだけ。そうすれば過去一が出せるかもしれないぞ?」と、続く「Next Is The Best!」の核心にあるメッセージに接続していく。フラッグを手に人々を鼓舞する姿と彼の現在が<迷うことなく進めそのまま><今さら曲げてどうなるもんじゃない><生きるためにもがき続ける、明日を探して>という普遍的なメッセージに強度をもたらすのだ。


「Music Splash!! 音楽の飛沫を浴びて感染するかもよ?」、こんな煽りから「老害ロック」に突入すると、信奉者(ファン)はダンベル状のグッズを筋トレよろしく振り上げる。曲ごとのセオリーが多様にあるのも聖飢魔IIの黒ミサならではだ。ここでデーモン閣下は旧友から年明けの日本武道館大黒ミサのチケットを懇願されるもファンを優先するために断ったという旨のコントっぽい曲中アドリブに満場の拍手。サポートキーボードのSYUTOがツッコミを入れるタイミングも絶妙だった。爆笑に上書きするようにファストな「LOVE LETTER FROM A DEAD END」が繰り出されるとフロントの3名はステージを縦横に動き回る。サポートメンバーも含め、黒ミサというよりどこか見果てぬ夢に向かう勇壮な集団に見えてきたから不思議だ。

SYUTOのピアノソロから、美しいメロディーラインが心を衝くバラード「Oblivion」では、シャウトや高音のロングトーンに止まらないデーモン閣下の飾らない歌の凄さに圧倒される。そしてお馴染みの物語の導入の語りから、現役の少女、元少女たちの叫びを促し、「蠟人形の館」へ。大音量の“ラーララ、ラララーラ”のシンガロングに時雨ファンも参加して一体感が生まれた中、「FIRE AFTER FIRE」で怒涛のラストスパートをかける。デーモン閣下の歌唱力と肺活量を実感するロングトーン、仁王立ちするその姿から漂うオーラ。ハードロック/ヘヴィメタルからラウドロックまで、現在のシーンとも呼応する貪欲さを含む唯一無二性を確認させた50分だった。



聖飢魔IIとは打って変わって、ステージセンターにコンパクトにセッティングされた、3ピース仕様が凛として時雨の登場を予感させて心拍が上がる。結成以来のストイックな3ピーススタイルは20年以上の時間を経ても変わらない。デーモン閣下いわくの「若者らしい動きは凛として時雨も、ないようだ!」と言い放たれたのはキャリアだけじゃなく、このバンドの態度も指していたのかもしれない。暗転すると、ピエール中野(ds)がひとり登場し、バンド史上初のドラムソロからのスタート。夥しい数のストロボライトの中、複雑なソロを決め、そこにTK(g/vo)、345(b/vo)が現れると、「abnormalize」でスタート。静謐なヴァースから攻撃的なサビに竜巻のように駆け上がる構成、TKのシャウトと345のハイトーンに聖飢魔IIの信奉者(ファン)も惹き込まれているのが分かる。
続く「竜巻いて鮮脳」では、ドラムもギターやベースリフも一塊の圧としてフロアに襲い掛かり、続いては目下の最新EP『Lost God of SASORI』から「Sα.SO.RI.」をドロップ。ギター、ベースが鉄の弦の軋みであることを実感させるサウンドは様式美ではなく、もっとフェティッシュなもの。ソリッドなロックを好むリスナーの感覚をどんどん開いていくのが時雨の真骨頂なのだ。また、345のスキャットとTKの叫びの対比がドラマ性を帯びる。 一転、礼儀正しいTKの謝辞。「まさか蠟人形にされるとは思いませんでしたが、10万年前、ルークさんがライヴに来てくださったことがあって、そこから何万年の時を経て、今日に至っております。最後まで楽しんで行ってください」と、大先輩を立てながら、このレアな対バンを楽しんでいる。そこからメロディラインが比較的明快な「アレキシサイミアスペア」へ突入。力強さを増した345のボーカル表現が堪能できた。
ピエールが「まさか地球征服経験のあるバンドと対バンすることになるとは。蠟人形にされた我々、『nakano kill you』という最も激しい曲をやります」と発言。このタイトルコールに歓声が上がり、そこにビートとリフが切り込んでくる。20年以上に及ぶバンドの様々な時期のレパートリーで構成されているが、ソリッドで攻撃的、どこか疎外感のある世界を表現するバンドの世界観は一貫してブレない。続く「I was music」では色が失われたようなモノトーンの照明。乾いたリムショットが響き、サビに向けて爆発的にカタルシスが高まっていく。さらに重いベースのイントロにループするギターで脳内がかき混ぜられる感覚に陥る「DISCO FLIGHT」と、何度もライヴで演奏され研ぎ澄まされてきたレパートリーが繰り出された。冒頭は聴き入っていた聖飢魔IIのファンも思い思いのリアクションを見せるに至っていた。
冷たい狂気と呼びたい空間に圧倒されたフロアに、イントロを追加した「Telecastic fake show」の重いリフと叫びのようなチョーキングが放たれると、数えきれないほど体験したこの曲の変わらない極限の表現にまたしてもやられる。 “君の自由にもう飽きて”という歌い出しが象徴するように、自由すら退屈に感じるこのバンドの表現は常にフォーマットを逸脱していく。
ホール全体が演奏に集中する中、全力のプレイのせいで訥々としか言葉を発せない345が、「今日は聖飢魔II大先輩と一緒にできてうれしいです。私たちもまだまだ高い声を出せるな、って」とこの機会に感謝を述べる。そしてTKが「閣下も仰っていたように、我々も10万年、高い声が出るように続けていきます」と告げた。ユーモアを含んではいるが、高い声=ハイトーンボイスは物理的な共通項だけでなく、聴き手に届けるための動機だ。そして、時雨のライヴ定番ラストの「傍観」。共感を拒否するような孤独と痛みを演奏に直結させたこの曲の最後で、345は跪きベースを鳴らし、ピエールはシンバルを掲げて投げつけ、TKはループするノイズを発生させたまま、ステージを後にした。時雨ファンはもちろん、聖飢魔IIファンも体験的なステージに惜しみない拍手を送っていたのが印象的だった。
これまでもユニークな対バンを見せてくれた『Music Splash!!』だが、第4弾の今回は2日間とも普段は重ならないであろうファンがお互いにリスペクトを持った上で、未知のバンドに出会う、体験価値の高いものになったはずだ。フェスでの出会いより濃厚なカルチャーとして、今後も音楽ファンにはぜひ注目してほしい。
<公演情報>
『Music Splash!!』
10月18日 東京・SGC HALL ARIAKE
出演:凛として時雨、聖飢魔II
1. 聖飢魔IIミサ曲第Ⅱ番「創世紀」
2. 地獄の皇太子
3. Kiss U Dead Or Alive
4. Next Is The Best!
5. 老害ロック
6. LOVE LETTER FROM A DEAD END
7. Oblivion
8. 蠟人形の館
9. FIRE AFTER FIRE
1. abnormalize
2. 竜巻いて鮮脳
3. Sα.SO.RI.
4. アレキシサイミアスペア
5. nakano kill you
6. I was music
7. DISCO FLIGHT
8. Telecastic fake show
9. 傍観
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